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太郎さん (8aq3zcoi)2023/9/24 19:28削除麦っこ610選句
○爽やかや男バリの貸農園
NPO法人船橋市時活村は、定年後に誰もが持つ10万時間の余暇時間ををはずんで生きるための事業を行い、生涯学習の実践に寄与している。令和4年度は、コロナ禍のなかとはいえ、約40の一人一活行事に延べ6,600人が参加して活発な活動を展開した。一活行事の中に「自由農園」もあって掲句のような様相を呈している。数的に男性の方が多く、年齢層も高齢者や後期高齢者が多いのだが、爽やかな秋空の下、快い汗を流している。
◎雲疾る行き合いの空美し国
「行き合い」は、二つの季節にまたがる時季で、「雲疾る」と「美し国」と併せると夏が過ぎて秋らしくなる頃の季節感がぴったりである。無季句であるが、春、夏、冬の感じはなく、秋そのものの感じが横溢している句である。
○地蔵盆畏まりたるいぼむしり
六道の衆生を教化し救済するという地蔵の縁日は、いぼむしりも畏まっているのである。私にとって「いぼむしり」は、威嚇の姿勢しか印象になく、どうしても好きになれない生き物である。掲句の作者は、そんな蟷螂を暖かい、親しみの籠もった眼差しで見ているようである。
○赤とんぼ交む太古の息吹して
とんぼがその発生の時以来永永と生命をつないできた営為を目の当たりにして「太古の息吹して」という。この世に存在する全ての生物の死生きる姿は、計り知れない程の「不思議」と「感動に満ちている。