麦船橋句会

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まりさん (8md9x4e2)2023/10/30 15:54 (No.77122)削除
617回投句一覧&選句

「柿」
柿吊す家族の簡易郵便局
熟柿落つ犬の鳴かない峡の村
竹籠に飴色の艶柿を盛る
柿たわわ一揆の哀史残る村
伝説の太郎と次郎柿は実に
島の子は十人木守柿高し
渋抜きの身不知柿や里便り
故郷から届き直ぐ剥く庄内柿
円相の汝(な)へ福相の富有柿
柿捥ぐやオヤツなど無き少年期

「結」
菰巻の結び目揃う松並木
直会の結びの言葉雁渡る
クラフトの固き結び目今年米
里芋の煮え結論の出ぬ話
結界はこれより先と烏瓜
黄落や作務衣の紐の片結び
靴の紐結ぶ練習秋高し
冬近し南の窓にもう結露
結末を見逃すドラマ夜長かな
末枯や虚線で結ぶ国と国

「雑詠」
切株の重なり合いて初なめこ
マイク持つジャズメンの皺秋深し
別院はビル一階やうそ寒し
十三夜針孔探る刺繡糸
吾影の両手の荷物十三夜
濁声の「日なたの道で」首都晩秋
声明の怒りにも似て紅葉寺
秋惜しむ四方を山に囲まれて
下の名で呼び合う奴と酌む新酒
秋深む夜明けの町や虹が立つ


ふたばさんはしばらくの間お休みです。
返信
太郎さん (8oylunww)2023/11/11 14:54削除
麦っこ617選句
◎柿たわわ一揆の哀史残る村
○十三夜針穴探る刺繍糸
○吾影の両手の荷物十三夜
○声明の怒りにも似て紅葉寺
智美さん (8kfpafc0)2023/11/5 22:41削除
第617回  選句

◯柿たわわ一揆の哀史残る村
 「一揆」はどれも「哀史」として残っています。たわわに実った柿がお供え物のような・・・。

◯菰巻の結び目揃う松並木
 歴史ある松並木の菰巻はきっとことさら気を使うことでしょう。
 整然とした街道のたたずまいが想像できます。

◯十三夜針孔探る刺繍糸
 「針孔を探る」悩ましさも「刺繍糸」でそれほど深刻にならず救われます。
 「十三夜」との取り合わせもいいと思います。 

◎吾影の両手の荷物十三夜
 十三夜の美しい、何となくロマンチックな夜と、両手に荷物をぶら下げて帰る我が姿とのちょっとしたミスマッチに
 自分の影を見て気づいたという。少し離れたところにいる己が見えているようで面白いと思いました。
ちこりんさん (8mmormpc)2023/11/4 20:17削除
617回 選句
○熟柿落つ犬の鳴かない峡の村
犬の鳴かない村に想像が膨らみます。静けさよりも住人の既に消えた廃村なのではなかろうかと。中七のリアルな描写に惹かれました。

◎濁声の「日なたの道を」首都晩秋
かつての朝ドラで、心に響いた曲。優しい歌声とメロディ。登場人物の人生に重なりました。都会のジャズバーの風景も広がります。

○声明の怒りにも似て紅葉寺
実際には聞いた事はありませんが、中七に作者の思いが投影されています。この時代の怒りの行き場が見当たりません。無力感をどうすればいいのでしょう。
ジュピターさん (8pymq0ud)2023/11/4 17:14削除
◎濁声の「日なたの道で」首都晩秋
 大都会の片隅で、しみじみと更けゆく秋を実感するのは、アート・ブレーキーのこの歌。
 あの濁声は今もなお懐かしい。
〇クラフトの固き結び目今年米
 丈夫なクラフト紙にぎっしり詰め込まれた今年米。固い結び目は、丁寧に保存された証です。
〇黄落や作務衣の紐の片結び
 作務衣はいろいろな人が身に着けるが、この場合はやはりお坊さんか?細部に目が行き届いており
 立ち姿の良い句。
こがめさん (8atk17xs)2023/11/4 14:28削除
第617回麦っこ選句

◎柿たわわ一揆の哀史残る村
「中七」の表現から歴史に詳しいかたかなと思いました。「柿たわわ」まで作ってそのあとが続きませんでした。参考になりました。

○柿捥ぐやオヤツなど無き少年期
懐かしいです。干柿にして食べていました。今は干柿にして義姉が送ってくれるのを待っています。

○十三夜針孔探る刺繡糸
「 針孔探る」から年代を感じますが刺繍が大好きな方なんだなと思いました。

○下の名で呼び合う奴と酌む新酒
いいですね。仲良しの良さが浮かんできます。
天馬さん (8wo186pe)2023/11/4 14:25削除
617選句
○熟柿落つ犬の鳴かない峡の村
犬も長生きに。子供と同居していない年配のご近所の皆さんは、飼いたいけれど最後までみれないからなぁと、うちの老トイプードルを撫でてくれます。
○結界はこれより先と烏瓜
烏瓜、見かけなくなりました。子供の頃は毒々しさやぶら下がり方がとても怖かった。
◎末枯や虚線で結ぶ国と国
ウクライナ、ガザ…、戦闘ニュースにどこか麻痺している自分を感じて反省しますが、では何をしたら良いのか…。
○切株の重なり合いて初なめこ
夫のヤマのナメコは大豊作で、冷凍庫がパンパン。
天然ナメコはつやつやで旨い!
のんさん (8b8xe2bx)2023/11/4 13:54削除
第617回 選句
〇柿たわわ一揆の哀史残る村
 この句を読みながら何故か、今年多発している熊の出没を思いました。この句の主題とはずれるかもしれませんが、村が動物とも共存していって欲しいです。

〇菰巻の結び目揃う松並木
 防寒と害虫対策としての菰巻、庭園等では見たことがありますが、並木は見たことがありません。「結び目揃う」に臨場感があります。

〇クラフトの固き結び目今年米
 米袋の口の閉じ方は独特ですね。視点が新鮮です。

〇黄落や作務衣の紐の片結び
 さりげない句ですが、秋の終わりのしっとりとした空気感を感じます。

◎声明の怒りにも似て紅葉寺
 声明の力強い声が佳境に入ると怒りにも似る、今の時代祈りに心が籠るほどそうなるのでしょう。
まりさん (8md9x4e2)2023/11/4 09:41削除
617回選句

〇熟柿落つ犬の鳴かない峡の村
中七に意表を突かれました。深い意味を含むのでしょう。

〇直会の結びの言葉雁渡る
かっちりしたお手本のような形の句。神事での直来は経験ありませんが、仏事でも似たような場面があり、幾度か経験しています。

〇吾影の両手の荷物十三夜
実景をそのまま句にしたのでしょうが、気負いのない取り合わせに惹かれました。十三夜も十五夜も美しい月でした。
今年は8月も9月の名月も10月も美しい満月でした。

◎声明の怒りにも似て紅葉寺
二人の声明はまるで二重唱のような美しい響きですが、たくさんの僧の声明は、佳境にはいると怒りのようにも聞こえます。
この世界情勢の中では猶更そう聞こえそうです。
ハナハナさん (8ws7lb4p)2023/11/3 18:15削除
617回選句

「柿」
〇柿吊す家族の簡易郵便局
局長は父、地方には簡易郵便局を見ることがあります。季語で家族の簡易郵便局とわかりやすい景
〇伝説の太郎と次郎柿は実に
柿の種類に輝太郎柿、次郎柿、が有ることを知りました。太郎と次郎の伝説は無知ですが
掲句にひかれました。

「結」
〇直会の結びの言葉雁渡る
直会に出会った経験はないのですが、神の供物は神聖なるものと父や母からきかされていました、結びの言葉も尊いものなのでしょう。


〇クラフトの固き結び目今年米
「クラフトの固い結び目」に収穫されたお米への気持ちが全部入っているように思います

雑詠」
◎十三夜針孔探る刺繡糸
針孔を探る刺繍糸、共感です本当に針孔に糸が通せなくなりました。
幸せに送ってこられた年代そして十三夜が輝いています。
〇秋惜しむ四方を山に囲まれて
今年は遅い紅葉でしたが駆け足で冬がきそう、素敵な秋の山に囲まれて名残を惜しんでおられるのでしょう。
不来方さん (8b8tdv36)2023/10/30 21:34削除
第617回麦っこ選句

○熟柿落つ犬の鳴かない峡の村
○柿たわわ一揆の哀史残る村
 趣きは若干異なるが二句とも山間の限界集落に近い寒村の句。かつては栄えた村の名残りが十七音の端々に垣間見える。前句は「犬の鳴かない」の侘しさと「熟柿落つ」の音がピッタリ。後句は代々語り継がれて来た一揆の哀史と、誰も採るものもいないたわわに実った柿との対比が味わい深い。

◎ 直会の結びの言葉雁渡る
 直会を経験したことはないが、歴史ある人界の神事と自然界の変わることない営み「鳥渡る」との放れ具合が丁度良い塩梅。

○ 黄落や作務衣の紐の片結び
 黙々と落葉を掃く修行僧の作務衣姿がありありと目に浮かぶ。

○ 吾影の両手の荷物十三夜
 「両手の荷物」の影のリアル感がいい。

※固有名詞の柿の句はそれぞれ特長をよく捉えた佳句揃い。絞り切れなかった。
返信10
不来方さん (8b8tdv36)2023/10/29 08:23 (No.76947)削除
第618回 麦っこお題

季語  黄落
文字  雲
テーマ 数
(このテーマは以前にもありましたが久しぶりです。「数」そのものでも「数字」でもその他「数」からの連想であればなんでも可。)
返信
智美さん (8kfpafc0)2023/11/5 22:10削除
第618回  投句

黄落や将軍墓への長い段
残照の秋夕雲へ入る機影
一椀を呈す尼寺の白い萩
のんさん (8b8xe2bx)2023/11/5 17:37削除
第618回 投句

 校庭は昔のままに黄落期
 雲速き日の反戦集会暮の秋
 七十は若手たわわに柿すだれ
太郎さん (8aq3zcoi)2023/11/5 09:49削除
麦っこ618投句
黄落や道着の群の鬨の声
打杭機の反響さやに鰯雲
柿熟れて又三郎が駈けてくる
こがめさん (8atk17xs)2023/11/4 14:32削除
第618回麦っこ投句
黄落や捨墓隠る杜の隅

雲梯でサルのものまね文化の日

庭先で障子を洗う夫ひとり
天馬さん (8wo186pe)2023/11/4 13:53削除
618投句

黄落期馬搬の深き轍跡
せめぎ合う姫神山よ冬雲よ
全児童八人校庭は花野
まりさん (8md9x4e2)2023/11/4 11:37削除
618回投句

黄落を湛える水面歩く歩く
入港の汽笛のどやか鰯雲
銀杏ちるひらひら手話の十の指
ちこりんさん (8mmormpc)2023/11/3 19:42削除
618回 投句
黄落の鴨場や江戸の風渡る

雲を成す将軍の松秋麗

一杯の離宮の御薄白秋忌
ハナハナさん (8ws7lb4p)2023/11/3 18:31削除
618麦っこ投句

黄落や公衆電話の消えた駅
乱雲の広がる湖面スワン来る
一杯の新酒の試飲蔵の町
不来方さん (8b8tdv36)2023/11/3 16:27削除
第618回投句

黄落の外苑無口なる過客

金色の雲に隠るる後の月

工房の三畳一間秋惜しむ
ジュピターさん (8pymq0ud)2023/10/30 18:31削除
618回投句

 黄落や豊後臼杵の摩崖仏
 捨案山子雲の流れを刻みゐて
 コスモスの数だけ風の吹きゐたる
返信10
まりさん (8md9x4e2)2023/10/23 10:33 (No.76266)削除
616回投句一覧&選句

「星月夜」
ごめんねのごを口ごもり星月夜
母許へ弟が逝く星月夜
山峡に絶えぬ囁き星月夜
パソコンの不調回復星月夜
けものめく安房の岬山星月夜
旅一夜会話の弾む星月夜
星月夜遠回りしてポストまで
母の香の残る離れ家星月夜
嘗て父子相伝の島星月夜
星月夜みんな主役の野外劇
塾の子を出迎える駅星月夜

「長」
長距離バス明け行くほどに野路の秋
長き夜の弾く者のなき竪ピアノ
まあ長いこと連れ添いて菊日和
長き夜やサティの曲をリピートす
長老のいつも控え目草紅葉
福助の耳朶長し秋日和
長き夜の心それぞれ灯それぞれ
錦秋の山の音聞く長湯かな
一望の駱駝薯畑長寿村
ワクチンの長い行列冬隣
長き夜の枕辺に聴く芥川

「海の幸」
なめろうは男の料理鰯雲
戦争は身の裡にあり秋刀魚焼く
焼立てのホタテ振舞う芋煮会
豊の秋人気メニューの海鮮丼
芝浦の運河狭しと鯔の群れ
骨密度年相応と鰯干す
トロ箱の隠れんばかり初さんま
五年後を目指す発射やさんま焼く
望郷や鮭をぶっ込む漁師鍋
故郷の水の甘やか鮭遡上
鮭上る側溝網走番外地
返信
智美さん (8kfpafc0)2023/11/5 16:34削除
第616回  選句

◯嘗て父子相伝の島星月夜
 今はもう昔のしきたりはなくなってしまった。星の数と美しさは変わらない。

◯長き夜やサティーの曲をリピートす
 長き夜と付き合うにはサティーはうって付け。
 弾いても聴いても慰められ、癒されます。でもかえって、悲しみが湧いてくることもあるので
 引き込まれ過ぎないようにしないと・・・。

◎望郷や鮭をぶっ込む漁師鍋
 燃える火、鍋からの湯気が見え、味噌と鮭と野菜の匂いがしてきます。
ジュピターさん (8pymq0ud)2023/10/29 19:25削除
616回選句
 ◎望郷や鮭をぶっ込む漁師鍋
  上五がやや説明っぽいが、海の恵みの豊かさが存分に詠み込まれていると思います。
 〇母の香の残る離れ家星月夜
  ここはやはり母の香ですか。父の香では詩になりませんかね?
 〇錦秋の山の音聞く長湯かな
  その昔、黒湯温泉の露天風呂に一人で浸かっていた時、もし熊が出てきたらどうしようと不安になり
  慌てて宿に駆け込みました。
天馬さん (8wo186pe)2023/10/29 13:43削除
616選句

◎母許へ弟が逝く星月夜
夫の兄はずっと独り暮らしで、義母に一番心配されてましたが、一人で逝ってしまいました。みんなを心配させて…と、あの世で母に小言を言われていそうです。
○母の香の残る離れ家星月夜
晩年の母を思い出しています。
○錦秋の山の音聞く長湯かな
北上高地の夫の作った石風呂の窓を全開すると天の川が見えます。缶ビール片手に長湯…最高です。
太郎さん (8aq3zcoi)2023/10/29 12:17削除
麦っこ616選句
「星月夜」
○母許へ弟が逝く星月夜
◎母の香の残る離れ家星月夜
「長」
○まあ長いこと連れ添いて菊日和
○福助の耳朶長し秋日和
のんさん (8b8xe2bx)2023/10/28 12:22削除
第616回 選句

〇母許へ弟が逝く星月夜
 自分より若い兄弟との別れは辛いものです。星になった母の元へ向かっていると思うと心が少し安らぎます
 
〇まあ長いこと連れ添いて菊日和
 今は長寿の方が多いのでご近所にも金婚式を遙かに超えたご夫婦が結構います。大変な事もあったけれど今は幸せ、良い季語です。

〇錦秋の山の音聞く長湯かな
 「錦秋の山」日本の山の一番美しい頃、一人音無き音に浸っているのは自分へのご褒美の時間です。

◎戦争は身の裡にあり秋刀魚焼く
 現実とは思いたくない程悲惨な戦争が日々報道されています。見守る事しかできずサンマを焼いている自分に歯がゆさを感じているのでしょう。

〇望郷や鮭をぶっ込む漁師鍋
 豪快で美味しそう、「ぶっ込む」がいかにも漁師鍋です。
ちこりんさん (8mmormpc)2023/10/26 18:23削除
616回 選句
○母の香の残る離れ家星月夜
母屋から少し離れた隠居部屋なのでしょうか。お母様の思い出と星月夜が響き合います。

○まあ長いこと連れ添いて菊日和
あらまぁ。呟きに温かな情愛を感じます。共感。

◎戦争は身の裡にあり秋刀魚焼く
身の裡にある戦争が重いですね。重層的で様々な事を考えさせます。下五の軽みもいい。見事な構成。
ハナハナさん (8ws7lb4p)2023/10/26 08:22削除
616回選句

「星月夜」
〇山峡に絶えぬ囁き星月夜
〇けものめく安房の岬山星月


「長」
◎まあ長いこと連れ添いて菊日和
人生の大部分がご夫婦ですごされ、菊日和の季語で幸せを感じます。
〇錦秋の山の音聞く長湯かな

「海の幸」
〇トロ箱の隠れんばかり初さんま
〇望郷や鮭をぶっ込む漁師鍋
まりさん (8md9x4e2)2023/10/25 19:53削除
616回選句

〇母許へ弟が逝く星月夜
悲しみも、こういう措辞に抱かれたら美しい。

〇母の香の残る離れ家星月夜
共感。離れ家とはいわゆるご隠居部屋だったのでしょうか。星月夜がちょっと切ない。

〇まあ長いこと連れ添いて菊日和
天馬さんちのご主人はモノづくりの天才。生活に必要なもので作れない・造れない・創れないものはないのではと思うくらい。廃材使いの名手というか、もはや発明家。菊日和がのんびりとあたたかい。山小屋は今、白樺の黄落のころでしょうか。

〇福助の耳朶長し秋日和
長い耳朶は当たり前ですが、季語によって新鮮に感じます。

◎戦争は身の裡にあり秋刀魚焼く
ロシアに次いで突然のハマス。虐げられてきた歴史を考えると複雑ですが、あまりの非人道的さに目をそむけたくなります。戦争は「身の裡」にあるというとらえ方に共感しました。静かに強い。俳句としては理が勝つという見方もあるでしょうが。。。

〇望郷や鮭をぶっ込む漁師鍋
海の傍で育った方の句なのでシンプルで力強い。何よりおいしそう。食べ物の句はおいしそうに思えないとダメなそうですよ。
こがめさん (8atk17xs)2023/10/25 11:18削除
第616回麦っこ選句

◎まあ長いこと連れ添いて菊日和
〇福助の耳朶長し秋日和
「季語」により気持ちが伝わってきます。「まあ長いこと」の表現が自然にでてきたんですね。いいですね。いつまでもお幸せに。
「耳朶長し」の焦点化がいいなと思いました。

〇芝浦の運河狭しと鯔の群れ
〇トロ箱の隠れんばかり初さんま
〇望郷や鮭をぶっ込む漁師鍋
自然、環境への感謝を忘れたくないですね。地域の景が浮かんできます。私は海の幸より川の幸で大きくなりました。自分で釣ったり掴み取りをしました。でも「秋刀魚」「鮭」はよく食べましたが。車で売りにきていました。鯨肉もたべたな。
不来方さん (8b8tdv36)2023/10/23 18:23削除
第616回選句

○ 母許へ弟が逝く星月夜
 切な過ぎる句意だが読み手としては「星月夜」で救われる。

○ 嘗て父子相伝の島星月夜
 「嘗て」が眼目。殆ど跡取りのいなくなった島。今は島に限らず日本全国至るところにこういう「村」はある。限界集落の句は多いが、この社会的テーマは「戦争」やか原爆」のテーマと同様いくらでも読む価値あり。

○ まあ長いこと連れ添いて菊日和
○ 福助の耳朶長し秋日和
二句とも季語が効いている。
前句は口語の呟きと菊日和がピッタリ。後句は如何にも秋日和の句。幸せな気分になる。取合せの妙。

◎ 望郷や鮭をぶっ込む漁師鍋
上五で難しい観念語を「や」切れで使い、中七下五の客観的表現で上五を補完する作り方。作者の郷愁にある豪快な「漁師鍋」が見事に描かれていて、故郷の人の気質まで想像出来る。
返信10
まりさん (8md9x4e2)2023/10/16 21:05 (No.75569)削除
615回投句一覧&選句

「無花果」
無花果熟れ牛らひたすら草を食む
無花果や種の数ほど愛がある
仏壇の無花果下げて話継ぐ
おもちゃで喧嘩いちじくを半分こ
無花果やものは平たく良いほうに
無花果啜る少年の日の飢餓に似て
無花果や跡取りが来て味見する
無花果や跡継ぎのゐぬ産土社
食べ頃の無花果探す朝の庭

「端」
マフラーの端が絡まるリュックサック
後の月銀座の端の定食屋
端座して虫の音を聞く猫の居て
夢の端に母どこまでも秋桜
鈴本の跳ねて夜長の池之端
十三夜端切れの眠る小抽斗
山の端に月登り来る弥陀ヶ原
秋深し村に秘蔵の木端仏
終点は島の突端秋深む

「雑詠」
黄落や金網錆びし焼却所
明王の背負う火焔や秋深し
満月や瓦礫の街の子の涙
鳥影は塒へ筑波まで刈田
鴉鳴く釣瓶落しのノッポビル
鯖雲へ生るる若き波しぶき
病得て木偶の眼にひつじ雲
水枯れた井戸がそのまま金木犀
碧空や無花果熟るる法学部
返信
智美さん (8kfpafc0)2023/11/4 15:06削除
第615回  選句

◯無花果啜る少年の日の飢餓に似て
 毎朝、熟れた無花果と鶏の玉子を庭から探してくるのが私の「仕事」でした。
 玉子はせいぜい3個どまり、無花果が家族5人分採れた時は本当に嬉しかったのを覚えています。
◯鈴本の跳ねて夜長の池之端
 固有名詞が二つも入っているのに気にならないのが不思議。
 それぞれの固有名詞の持つ歴史や、イメージが読者に広がりを与えてくれるのでしょう。
◎十三夜端切れの眠る小抽斗
 「端切れの眠る」がとてもいい。実感として受け止められる。
 「十三夜」との取り合わせも美しい。 
◯秋深し村に秘蔵の木端仏
◯鳥影は塒へ筑波まで苅田
太郎さん (8aq3zcoi)2023/10/30 16:07削除
麦っこ615選句
○鈴本の跳ねて夜長の池之端
○秋深し村に秘蔵の木っ端仏
○満月や瓦礫の街の子の涙
◎鯖雲へ生るる若き波しぶき
ちこりんさん (8mmormpc)2023/10/26 18:03削除
615回選句
◎無花果啜る少年の日の飢餓に似て
飢餓の記憶は無きに等しいのですが、掲句の思いは分かるような気がします。
取り合わせの妙。

○十三夜端切れの眠る小抽斗
抽斗の中の端切れ。捨てるに捨てられぬ思い出があるのでしょう。もしかしたら、実家で見つけたお母様の取り置いた品かとも。
季語と響き合います。

○明王の背負う火焔や秋深し
何故に火焔を背負うのかと仏に詳しくないながら、強烈な印象を抱いたものです。我が身に重ねて様々な思いを抱いている作者の姿。

○鳥影は塒へ筑波まで刈田
広々とした秋らしい風景。シンプルですっきりとした描写がいいですね。
ジュピターさん (8pymq0ud)2023/10/22 17:09削除
615回選句
◎後の月銀座の端の定食屋
 銀座にも寂れた場所がある。そこにある定食屋を名残の月が煌々と照らしている。
〇無花果や種の数ほど愛がある
 イチジクの果肉は小さい花の集まりで、その中には種子があるが、日本産の無花果は発芽しないと聞いている。
 しかし夥しいほどの愛が詰まっていると作者は詠んだ。
〇秋深し村に秘蔵の木端仏
 村民だけが知るお宝の円空仏がある。年々歳々短くなって行く秋であるが、ほんのささやかなことに驚き、感動したいものだ。
〇鳥影は塒へ筑波まで刈田
 利根川流域の刈田千畳、雄大な景色が時間の移ろいと共に詠まれている。
ふたばさん (8augfkle)2023/10/22 11:46削除
第615回選句

〇無花果啜る少年の日の飢餓に似て
 「無花果を啜る」に、飢えていた子供たちの戦後の映像が髣髴とされます。

〇後の月銀座の端の定食屋
 オシャレな銀座に庶民的な定食屋。意外性があります。

〇夢の端に母どこまでも秋桜
 母恋う詩ですね。秋桜の広がる野の風景が美しい。

◎満月や瓦礫の街の子の涙
 毎日流れる悲惨な戦争の映像に言葉を失います。機能不全な安保理には苛立つばかり…。
のんさん (8b8xe2bx)2023/10/21 21:53削除
第615回 選句

〇無花果や種の数ほど愛がある
 無花果の種、言われてみれば小さいのが沢山、愛は多いほど素敵です。

〇無花果やものは平たく良いほうに
 少し舌足らずな感じがしたのですが、世界では新たな紛争が起きています。平たく良い方に向かって欲しいと切に願います。

◎後の月銀座の端の定食屋
 銀座も広い、端っこには日常があります。季語の少し冷たい空気感も良く合っていると感じます。

〇鈴本の跳ねて夜長の池之端
 リズムの良い句です。下町の粋がお洒落な句です。

〇明王の背負う火焔や秋深し
 怒った顔の多い明王、深まりゆく秋に背負うものは火焔だけではないのでしょう。
こがめさん (8atk17xs)2023/10/20 11:01削除
第615回麦っこ選句


○無花果や種の数ほど愛がある
○無花果啜る少年の日の飢餓に似て
無花果は最近になってじっと見ることがありますが、よく知りませんでした。上記の句は無花果のへの思いが異なっているように感じます。どうしてだろうなと。。。。。
小さい時は野山の食べられる実がおやつでした。それが当たり前と思っていましたし、林檎、栗、あけび 桑の実らはよく食べていました。世代と環境の違いからくるのかな・・・。

◎夢の端に母どこまでも秋桜
母を思う作者の気持ちは「秋桜」にこめられているように感じます。爽やかなきれいな心の持ち主だったのだろうな。

〇満月や瓦礫の街の子の涙
テレビで見る戦争のむごさに胸が痛みます。「子の涙」でさらに切なくなります。月はどこでも変わらないのに・・・。
まりさん (8md9x4e2)2023/10/19 09:22削除
615回選句

◎無花果啜る少年の日の飢餓に似て
無花果に少年の日を合わせるのはごくごく普通ですが、飢餓で深まりました。不来方さんの年代では、食べ物の飢餓ではないかもしれません。心の飢えとか。
私、人生の半分ぐらいは無花果を知りませんでした。

〇後の月銀座の端の定食屋
銀座とはいえ、端っこに行けば庶民の定食屋はあるでしょう。後の月がいい。ちなみに、今年の後の月は10月27日です。

〇夢の端に母どこまでも秋桜
時間軸のちょっと不思議な句ですが、もう会えないお母さんと秋桜は似合いすぎるほど。

〇終点は島の突端秋深む
島ですから、電車やバスではなく、生活道路の終点なのかもしれません。静かな秋。
先日の初島吟行で「島に一本生活道路草の花」という句を作ったのは大御所でした。生活道路という固い言葉にさりげなく添わせた草の花。頂きませんでしたが、そうか、こう来るのかと思いました。

〇満月や瓦礫の街の子の涙
満月を見上げながら、全く終わりの見えない戦争を思う。瓦礫の中の子の涙や叫び声を思う。ただ抱きしめてやることもできない切なさ。
不来方さん (8jrlsjab)2023/10/17 10:16削除
第615回選句
◯無花果や種の数ほど愛がある
 無花果でなくても種の多い果物はいくらでもあるが、「愛がある」で妙に納得させられてしまう。実りある無花果はキリストの愛でもあり、母の愛でもある。その他色んな愛にもつながっていきそう。

◯後の月銀座の端の定食屋
 雅と俗の取合せが絶妙。

◎満月や瓦礫の街の子の涙
 時宜的にはガザ地区のパレスチナの子供の涙であろうが、もちろんウクライナ戦争やモロッコ地震、アフガニスタン地震など「瓦礫の街の子の涙」には枚挙に暇がない。満月はいつの時代でもどこでも煌々と照らすのみ。

◯鳥影は塒へ筑波まで刈田
 目線の焦点が良い。筑波まで一面の刈田。その刈田に映る鳥影。「地」の大景が動画のように移ろいでゆく。

◯病得て木偶の眼にひつじ雲
 この「木偶」は病を得た作者の自己投影であろうか。茫々とした心象風景とひつじ雲が重なって味わいがある。
返信9
智美さん (8kfpafc0)2023/10/22 07:06 (No.76133)削除
第617回 麦っこお題

 季語  柿

 文字  結

 当季雑詠
返信
太郎さん (8aq3zcoi)2023/10/30 15:27削除
麦っこ617投句
柿吊す家族の簡易郵便局
直会の結びの言葉雁渡る
濁声の「日なたの道で」首都晩秋
智美さん (8kfpafc0)2023/10/29 23:03削除
第617回  投句

熟柿落つ犬の鳴かない峡の村
靴の紐結ぶ練習秋高し
声明の怒りにも似て紅葉寺
のんさん (8b8xe2bx)2023/10/29 18:28削除
第617回 投句

竹籠に飴色の艶柿を盛る
里芋の煮え結論の出ぬ話
秋惜しむ四方を山に囲まれて
天馬さん (8wo186pe)2023/10/29 13:28削除
617投句

柿たわわ一揆の哀史残る村
クラフトの固き結び目今年米
下の名で呼び合う奴と酌む新酒
ちこりんさん (8mmormpc)2023/10/29 10:20削除
617回 投句
伝説の太郎と次郎柿は実に

末枯や虚線で結ぶ国と国

秋深む夜明けの町や虹が立つ
まりさん (8md9x4e2)2023/10/28 21:43削除
617回投句

島の子は十人木守柿高し
黄落や作務衣の紐の片結び
十三夜針孔探る刺繡糸
ハナハナさん (8ws7lb4p)2023/10/27 21:04削除
617回投句
渋抜きの身不知柿や里便り
結末を見逃すドラマ夜長かな
吾影の両手の荷物十三夜
こがめさん (8atk17xs)2023/10/26 23:15削除
第617回麦っこ投句

故郷から届き直ぐ剥く庄内柿
菰巻の結び目揃う松並木
切株の重なり合いて初なめこ
不来方さん (8b8tdv36)2023/10/26 14:25削除
第617回投句

円相の汝(な)へ福相の富有柿

冬近し南の窓にもう結露

マイク持つジャズメンの皺秋深し
ジュピターさん (8pymq0ud)2023/10/23 16:20削除
617回投句
 柿捥ぐやオヤツなど無き少年期
 結界はこれより先と烏瓜
 別院はビル一階やうそ寒し
返信10
ジュピターさん (8pymq0ud)2023/10/14 17:38 (No.75173)削除
616回出題

 季語  星月夜
 文字  長
 テーマ 海の幸
返信
天馬さん (8wo186pe)2023/10/23 10:13削除
616投句

ごめんねのごを口ごもり星月夜
まあ長いこと連れ添いて菊日和
トロ箱の隠れんばかり初さんま
智美さん (8kfpafc0)2023/10/22 23:41削除
第616回  投

母許へ弟が逝く星月夜
錦秋の山の音聞く長湯かな
五年後を目指す発射やさんま焼く
ちこりんさん (8mmormpc)2023/10/22 21:16削除
616回 投句

ハナハナさん、ようこそ!
一緒に俳句を楽しみましょう♪

山峡に絶えぬ囁き星月夜

長き夜の枕辺に聴く芥川

望郷や鮭をぶっ込む漁師鍋
のんさん (8b8xe2bx)2023/10/22 19:16削除
第616回 投句

パソコンの不調回復星月夜
長老のいつも控え目草紅葉
故郷の水の甘やか鮭遡上
太郎さん (8aq3zcoi)2023/10/22 15:58削除
麦っこ616投句
けものめく安房の岬山星月夜
長き夜の弾く者のなき竪ピアノ
鮭上る側溝網走番外地
こがめさん (8atk17xs)2023/10/22 14:41削除
第616回麦っこ投句

旅一夜会話の弾む星月夜

長距離バス明け行くほどに野路の秋

豊の秋人気メニューの海鮮丼
ふたばさん (8augfkle)2023/10/21 23:07削除
616回投句
星月夜遠回りしてポストまで
長き夜やサティの曲をリピートす
芝浦の運河狭しと鯔の群れ
ハナハナさん (8wiupmvi)2023/10/19 19:12削除
初めまして
お仲間に入れて下さい、俳句よちよち歩きですが皆様宜しくお願い致します
616回投句
母の香の残る離れ家星月夜
ワクチンの長い行列冬隣
骨密度年相応と鰯干す
まりさん (8md9x4e2)2023/10/19 09:23削除
616回投句

嘗て父子相伝の島星月夜
長き夜の心それぞれ灯それぞれ
なめろうは男の料理鰯雲
不来方さん (8jrlsjab)2023/10/18 09:26削除
第616回投句

星月夜みんな主役の野外劇

一望の駱駝薯畑長寿村

戦争は身の裡にあり秋刀魚焼く
ジュピターさん (8pymq0ud)2023/10/16 21:53削除
616回投句

 塾の子を出迎える駅星月夜
 福助の耳朶長し秋日和
 焼立てのホタテ振舞う芋煮会
返信11
まりさん (8md9x4e2)2023/10/8 19:57 (No.74427)削除
614回投句一覧&選句

「秋蚕」
子が走る天井裏の秋蚕棚
皇室の小石丸なる秋蚕かな
終バスは六時秋蚕の眠る村
指先に透ける秋蚕の重さかな
風の郷秋蚕と睡る宿しんしん
秋蚕の観察日記継続中
千年の系譜の山家秋蚕飼う
さわさわと桑食む秋蚕峡の暮
駐在に灯点る頃や秋蚕眠る
秋蚕飼う西に諏訪湖を望む村

「焚」
藁焚いて煙広がる苅田原
火を焚いて嬶ら迎える 秋刀魚船
焚き口の湯加減どうだの声良夜
懸崖の枯菊を焚く父の背ナ
風呂焚くもスイッチ一つ雁渡し
雁渡し風呂焚いている旅の宿
護摩焚きの読経一山曼殊沙華
暮れなずむ村籾殻を焚く煙
秋さぶや胸中深く焚く芥
秋冷の寝屋に焚きしむラベンダー

「雑詠」
秋水のひかりを違え音違え
叩き売る陶器の音や黄落期
観音の朱の唇に宿る秋
岩盤の湧水なるや新走り
何処とも知らず鳴く虫朽ちる虫
黄落や風を探せる風見鶏
一陣の風一服の昼の虫
野仏の崩れて坐る椿の実
対岸の声の近さや秋澄めり
秋思ふと動く歩道に身を委ね
返信
智美さん (8kfpafc0)2023/10/22 07:02削除
第614回  選句

◯終バスは六時秋蚕の眠る村
 終バスが六時!遠い遠い村ですね。お蚕さんと一緒に自然の営みの中に暮らす村人を想像します。

◎指先に透ける秋蚕の重さかな
 蚕(子供の頃から「お蚕さん」と呼んでいました)は、しっかりとした柔らかさで、意外に冷たく、重さがあります。
 摘まみ上げた時、「生きもの」の柔らかさと重さを感じます。子供の頃の指先の感覚が今でもはっきり残っていることに
 今回気が付いてびっくりしています。桑の葉を食べる音も意外と大きくて、その「さわさわ」とした音も耳に残っています。
 棚からはみ出しそうなお蚕さんをよく桑の葉の中に戻していました。でもお蚕さんは棚から落ちません。

◯秋さぶや胸中深く焚く芥
 燃やしてしまいたい芥や大事にしまっておきたい宝ものやら・・・。人間は厄介です。

◯対岸の声の近さや秋澄めり
 川向こうの声や山道の奥からの声が思いがけず近くに聞こえてびっくりすることがあります。
 秋の爽やかさ、澄んだ空気を感じる時です。
太郎さん (8aq3zcoi)2023/10/19 21:28削除
麦っこ614選句
「秋蚕」
○千年の系譜の山家秋蚕飼う
 「千年の系譜」は、およそ平安時代の末期頃に発するので、山奥の、先祖を落人とする平家谷伝説の伝わる集落などを想定するのが順当であろう。華やかではないが由緒ある家々が代々養蚕を生業のひとつとして暮らしているのである。
○さわさわと桑食む秋蚕峡の暮
 オノマトペが効果的で、軒並みに蚕を飼っている集落が眼に見えるようである。「暮」は、この場合日暮れ、夕、晩などの意であることは歴然としているのだが、幾分紛らわしいのは否めないだろう。、
「焚」
○暮れなずむ村籾殻を焚く煙
晩秋の夕方の、あの煙の匂いは未だに記憶の底にあり、掲句を読むと少年時代の田園風景が蘇ってくる。私の生まれたところは、令和になっても陸の孤島で、田畑や里山にこんな雰囲気がたっぷりと残っている。「村」は、少しく漠然としているので、眼に見えるモノを描写することも考えたい。
「雑」
◎対岸の声の近さ屋秋澄めり
 秋になって大陸から移動性高気圧がやってくると、空気が澄み、眼に入るものすべてがくっきりと鮮やかに見え、耳に入るもの全てがはっきりと聞こえる。対岸の人たちの声が思いがけない近さに聞こえてきたのである。結語は、「…澄める」と連体形にするところかもしれない。
○秋思ふと動く歩道に身を委ね
額に汗を滲ませ、せかせかと歩いてきて、動く歩道に身を置いた途端、そこはかとない秋思が湧き起こってきた。「身を委ね」が巧い表現だ。
ちこりんさん (8mmormpc)2023/10/18 10:19削除
614回 選句

○終バスは六時秋蚕の眠る村
限界集落は全国各地に。そんな山深い地にもバスは日に何本か通ります。コミュニティバスかもしれませんね。緩やかな時間の流れを感じる一句。

○さわさわと桑食む秋蚕峡の暮
現在地が明らかなので、景が浮かびます。さわさわと蚕が桑を食む音が効いてます。

◎秋さぶや胸中深く焚く芥

中七に詩情が滲みます。
眼前の芥、そして来し方の心の芥…深みある一句。

○対岸の声の近さや秋澄めり
秋の透明感を感じる共感の一句です。
天馬さん (8uov4p4u)2023/10/16 10:33削除
614選句

○終バスは六時秋蚕の眠る村
夫の遊ぶ丸太小屋から数キロ先のバス停は一日に3便ですが、乗客はひとりいればよい方です…。
○指先に透ける秋蚕の重さかな
しっとりとした重さが伝わります。
○千年の系譜の山家秋蚕飼う
北上高地を走っていると、思いがけぬ大きさの旧家に出合うことがあり、集落の歴史を考えることがあります。
◎秋水のひかりを違え音違え
せせらぎをこんなふうに表すことが出来ると勉強になりました。
ジュピターさん (8pymq0ud)2023/10/15 15:05削除
614回選句
 ◎暮れなずむ村籾殻を焚く煙
  昭和の中頃までの農村の原風景でしょうか。籾殻を焚く煙と匂いまでも伝わってくる。
 〇指先に透ける秋蚕の重さかな
  実際に蚕を触ったことはないが、こんな感じなのかな。
 〇火を焚いて嬶ら迎える 秋刀魚船
  漁船が着いて水揚げした跡には焚火の跡が残っていた。秋刀魚が大漁であった頃が懐かしい。
 〇対岸の声の近さや秋澄めり
  秋気澄めば対岸の声さえも間近に聞こえてくる。
ふたばさん (8augfkle)2023/10/15 00:04削除
第614回選句
〇千年の系譜の山家秋蚕飼う
〇火を焚いて嬶ら迎える 秋刀魚船
〇護摩焚きの読経一山曼殊沙華
◎暮れなずむ村籾殻を焚く煙
〇対岸の声の近さや秋澄めり

(コメントなくてすみません)
のんさん (8b8xe2bx)2023/10/14 11:51削除
第614回 選句
〇千年の系譜の山家秋蚕飼う
 山深い落人の村でしょうか。昔からの伝統的な暮らしが残っているようです。

〇秋蚕飼う西に諏訪湖を望む村
 村の場所が特定できそうですが、湖を望む澄んだ空気が感じられます。

〇護摩焚きの読経一山曼殊沙華
 護摩焚きで真っ先に浮かぶのは成田山ですが、護摩焚の炎と曼殊沙華の花の様子が響き合います。

◎暮れなずむ村籾殻を焚く煙
 ミレーの晩鐘を思わせる景でもありますが、そこに煙と匂いが加わり立体的な懐かしい日本の原風景となりました。
 
〇対岸の声の近さや秋澄めり
 秋になり、散歩するのにも心に余裕が出来ました。暑さの中では気付かなかった事、色々と発見しそうです。
まりさん (8md9x4e2)2023/10/13 10:45削除
614回選句

◎終バスは六時秋蚕の眠る村
蚕。幼い頃、隣家で飼っていたのを見ていましたし、大人になってから卵から孵化したばかりの小さな蚕を20匹ほど頂いて蛾になるまで育てた経験はありますが、どうしても昔話から出られませんでした。その上「秋」という負荷のついた「蚕」にはもう降参。この句は、終バスとの取り合わせで「現代の蚕村」がくっきり出ていて成功していると思います。

○風の郷秋蚕と睡る宿しんしん
これも現代。風の郷が曖昧でもあり詩的でもあります。

○暮れなずむ村籾殻を焚く煙
古き良き時代のあたたかい景。今でも時折見かけますが、あの広い田んぼでの煙さえ規制されるようになってもうどれくらいたつのでしょうか。

○一陣の風一服の昼の虫
稲刈りの途中の畦道での一服でしょうか。軽トラから熱い珈琲とちょっとしたおやつ。蒸芋や果物もあるかもしれません。

○対岸の声の近さや秋澄めり
「秋澄む」の秋はかなり短そうです。五感をフルに使って楽しみたいものです。
こがめさん (8atk17xs)2023/10/12 11:42削除
題614回麦っこ選句

○子が走る天井裏の秋蚕棚
小さい頃に隣の家でよく遊んでいました。蚕の繭をとったりと。
でも蚕より「桑子の実」を食べたことが思い出に残っています。二階や隣の小屋で育てていました。遊んで怒られました。

○指先に透ける秋蚕の重さかな
透かしてみてカラカラしていた景を思い出します。

○暮れなずむ村籾殻を焚く煙
もみ殻をてんこ盛りにしていぶしていました。煙たかったけどいい匂いでしたよ。

◎秋水のひかりを違え音違え
中七、下五の表現がとてもいいです。よく見てよく聞いての表現です。

○秋思ふと動く歩道に身を委ね
納得です。歩く歩道があるとすぐ乗ってしまいます。「愁思」の季語がぴったしです。
不来方さん (8jrlsjab)2023/10/9 09:49削除
第614回選句

◯指先に透ける秋蚕の重さかな
 とにかくリアルな句。秋蚕の透明度、質感、肌ざわりまで伝わって来る。

◎火を焚いて嬶ら迎える 秋刀魚船
 これもリアルな句。未明の秋刀魚の水揚げ港の生活感が余すところなく表現されている。

◯暮れなずむ村籾殻を焚く煙
 こういう農村の原景は都会近郊では見られなくなって久しいが、地方ではたまに見かける。ホッとする。「籾殻」に焦点を合わせたのもいい。文字詠「焚」の効用かも。

◯秋水のひかりを違え音違え
 秋の水の透明感がモチーフ。ひかりの角度も水自身の音も微妙にずれる感覚に共鳴。

◯秋思ふと動く歩道に身を委ね
 考え事が先か後かはともかく「歩く歩道」に感じた秋思に新しみあり(秋思は何でも合いそうだが、類想の罠にはいりやすいので難しい)
返信10
まりさん (8md9x4e2)2023/10/2 17:01 (No.73773)削除
613回投句一覧&選句

「虫」
サイフォンの香り俄に虫の声
杖頼る手紙投函昼の虫
北の地に虫の骸という現
昼の虫縄文人の暗き家
昼ちちろ小人の消えた童話館
静けさや雑木林の虫の声
聞分けのよい子わるい子くつわ虫
起重機の孤高の角度昼の虫
満天の星へ往信虫しぐれ

「読」
秋の原風読み飛ばす紙飛行機
更けて冷ややか辿り読む歎異抄
積読のアウトドア本秋時雨
読みかけの本の進まず衣被
句読点無き電子メールやそぞろ寒
萩繚乱句読点無き離縁状
捨てるはずの本読み始め秋の雷
秋暁やキンドルで読む歎異抄
A Iの誤読棒読秋薔薇

「雑詠」
時折は無口になりぬ新走り
鵙の声機能訓練バー掴む
紙垂ゆらぐ田の神さぁに宿る秋
林道の小闇分け合い虫時雨
コーヒー待つテラスの前に富有柿
深更の臨蘭亭帖茶立虫
思い出をたぐる鶏頭の零れ種
コオロギ科キリギリス科や天の川
新蕎麦ともっきりの酒宵の口
返信
智美さん (8kfpafc0)2023/10/21 17:04削除
613階選句

◯昼の虫縄文人の暗き家
◯昼ちちろ小人の消えた童話館
◎萩繚乱句読点無き離縁状
◯時折は無口になりぬ新走り
◯紙垂ゆらぐ田の神さぁに宿る秋
天馬さん (8uov4p4u)2023/10/10 16:01削除
613選句
○昼の虫縄文人の暗き家
○起重機の孤高の角度昼の虫
◎萩繚乱句読点無き離縁状
○時折は無口になりぬ新走り
○林道の小闇分け合い虫時雨

コメント無しで済みません。
太郎さん (8aq3zcoi)2023/10/9 15:41削除
麦っこ613選句
「虫」
○昼の虫縄文人の暗き家
窓のない復元住居のなかは、幾分湿った空気と何やら懐かしい匂いが籠もっていて、昼の虫の声が大昔の人々の暮らしを眼前に蘇らせるようである。
◎満天の星へ往信虫しぐれ
 無数の虫のそれぞれが、無数の星のそれぞれへメッセージを発信し、星も清かな光で虫たちに応え、われわれ人間の眼や耳では感知できないメッセージの交信で宇宙空間が賑やかに満ち満ちているのである。この壮大なドラマを想像するだけで愉しい気分になるではないか。「虫しぐれ」の「しぐれ」が句柄をいくぶん湿っぽくしているような気がしないでもないが。
「雑詠「
○時折は無口になりぬ新走り
 現今「新酒」が秋のものであるというのは、異論があるところであるが、それはともかく、賑やかな呑兵衛も「新走り」には少しく思い入れがあって「時折」無口になるのである。「ぬ」の完了がよいかどうかは一考を要するが。
○新蕎麦ともっきりの酒宵の口
 かつて小腹の空くおやつ刻に蕎麦屋酒を愉しむ「蕎麦っ喰い」という人種がいたそうな。現代でも、「藪」や「更科」で蕎麦をたぐりながら一合程度の上酒をたしなむ蕎麦通を見かけることがある。わたしも時折そんな気障な真似をした時期があった。
 「もっきり」は、.枡の中にグラスを置いて酒を注ぐもので、枡が溢れる程注いでくれると客は大喜びする。蕎麦屋ではあまり見かけず、居酒屋などではこうして地酒を呑むのが大きな愉しみである。
 この句、下五にもう一工夫ほしいところではある。
のんさん (8b8xe2bx)2023/10/8 15:25削除
第613回 選句

〇起重機の孤高の角度昼の虫
 「孤高の角度」起重機の角度に孤高を感じる視点に感服します。

〇更けて冷ややか辿り読む歎異抄
 時間経過があり、歎異抄とじっくりと向き合っている様子が感じ取れます。

〇萩繚乱句読点無き離縁状
 繚乱の萩と離縁状、心の内を見るようで響き合っていると思います。

◎紙垂ゆらぐ田の神さぁに宿る秋
 秋が宿っているのは「神さぁ」という大らかな見解、固定観念に囚われない物の見方が良いですね。
ジュピターさん (8pymq0ud)2023/10/8 15:18削除
614回選句
◎萩繚乱句読点無き離縁状
 千々に乱れた思いが離縁状に投影されているが、それを読む者の心は如何ばかりか。
〇昼の虫縄文人の暗き家
 遺跡か何かに再現された縄文人の棲家。虫の音は縄文人の声か。
〇更けて冷ややか辿り読む歎異抄
 「辿り読む」に納得感がある。
〇時折は無口になりぬ新走り
 ひとくさり蘊蓄を述べ合ったところで、ようやく今年の新酒を味わう気分になったのだろう。
ちこりんさん (8mmormpc)2023/10/7 10:54削除
613回 選句

○聞き分けのよい子わるい子くつわ虫
くつわ虫の鳴き声を調べてみました。何とも言えない騒々しさ。取り合わせに納得。

○積読のアウトドア本秋時雨
爽やかな高原も海も夢のまた夢。秋時雨に寄せる思いが伝わります。
因みに私は、今年の暑すぎる秋に予定が狂うばかりでした。

○萩繚乱句読点無き離縁状
萩の散る様はまさに繚乱。
下五と響き合っています。
発想の跳び方が上手い。

◎紙垂ゆらぐ田の神さぁに宿る秋
静かな静かな秋の訪れ。
自然体の描写がいいですね。
こがめさん (8atk17xs)2023/10/5 22:16削除
第613回麦っこ選句

〇更けて冷ややか辿り読む歎異抄
○秋暁やキンドルで読む歎異抄
「歎異抄」を読む景をを読んでいる句だがその思いの表現が参考になりました。

〇捨てるはずの本読み始め秋の雷
なるほどと思う景です。私もそうだよと。。。

◎紙垂ゆらぐ田の神さぁに宿る秋
「田の神さぁに」の表現に思いがこめられているし。「紙垂」の揺れている場所が浮かんできます。

○深更の臨蘭亭帖茶立虫
茶立虫から臨書している「蘭亭帖」はとても年季が入っているのだろう。そして何回も繰り返して練習しているのだろう。
まりさん (8md9x4e2)2023/10/4 13:54削除
613回選句

〇昼ちちろ小人の消えた童話館
きっかけはアンデルセン公園の童話館でしょうが、中七はなかなか言えません。

〇更けて冷ややか辿り読む歎異抄
〇秋暁やキンドルで読む歎異抄
真夜中や明け方に読む歎異抄。平和ボケの私には教えを正しく素直に読めるとはとても思えません。一読目、キンドルをキャンドルの間違いかと思い、いやいやそんなわけないでしょうと調べたそんな私なので。歎異抄は確かに「辿り読む」ものなのでしょう。

◎紙垂ゆらぐ田の神さぁに宿る秋
秋に神が宿るのではなく、神様に秋が宿るという発想。深い。

〇思い出をたぐる鶏頭の零れ種
何の思い出がたぐり寄せられるのか全くわからないので、一読目はスルーしたのですが、鶏頭の零れ種との取り合わせが何とも魅力的でした。限りなく出て来るあの小さな種。字余りは気になります。
不来方さん (8b8tdv36)2023/10/2 20:55削除
第613回選句

◯ 杖頼る手紙投函昼の虫
 淡々と客観的に自身の老化と人に対する変わらぬ思いが詠まれていて共感。

○更けて冷ややか辿り読む歎異抄
 七七五のリズムで季語「冷ややか」を真ん中に置く独特の表現が「歎異抄」の深さを詠んで説得力あり。

◎萩繚乱句読点無き離縁状
 かなり激しい句材に「萩繚乱」という、これまた激しい季語が取合せられていて一瞬たじろいだが、何回か読むと、逆にこの激しさに引き込まれてしまった。

◯ 紙垂ゆらぐ田の神さぁに宿る秋
何と言っても田の神さぁ(タノカンサア)がいい。宮崎のえびの地方の田の神を思い出した。豊かな言葉だ。「宿る秋」も田の神にピッタリ。
返信9
まりさん (8md9x4e2)2023/9/24 22:38 (No.72916)削除
612回投句一覧&選句
「鰯雲」
鰯雲津波到達地点の碑
突堤に消えた灯台鰯雲
鰯雲ホームベースへ滑り込む
畑仕舞いの腰とんとんと鰯雲
鰯雲明日はいづくに帰らんか
エプロンは保母の制服鰯雲
トランペットの高音月明の鰯雲
雑踏へPOLICEの背中鰯雲
銀座には横文字ばかり鰯雲

「車」
敬老日車の免許返す話  
秋風をすり抜けていく一輪車
秋澄めりドアマン辞儀の車寄せ
起震車の試乗体験曼殊沙華
旧道の廃車置場や虫時雨
未だ秋噛めぬ歯車九月尽
休日のSL列車芒原
車座の氏子総会新走り
戦場の長き車塵や雁渡し

「趣味」
ひるの憩いの「楽興の時」秋うらら
末成りの糸瓜十七文字の詩語
播磨屋の見得眼裏に秀山祭
連衆と競う恋の座月見舟
絵手紙にまだら模様の柿紅葉
客迎える茶室根〆の秋海棠
巡礼の幽けき調べ寺の秋
長き夜旅の写真のマリア像
新刊の帯を外してより夜長
返信
智美さん (8kfpafc0)2023/10/21 16:43削除
612回  選句

◯雑踏へPOLICEの背中鰯雲
 もう間もなく渋谷交差点での光景が思い浮かびます。
 こういう句、縦書きにした時どうなるのでしょうね。
◯車座の氏子総会新走り 
 こんな幸せな、楽しい瞬間はありません。
◎末成りの糸瓜十七文字の詩語
 組み合わせが絶妙。きっとみんなの心根に添っているから。
◯連衆と競う恋の座月見船
 何度か連句の席に参加しましたが、難しい・・・。
 でももっと学んでおけばよかったと・・凄く思います!
◯新刊の帯を外してより夜長
 新刊を買ったのは・・いつだったか。
太郎さん (8aq3zcoi)2023/10/2 16:31削除
麦っこ612選句
「鰯雲」
○鰯雲津波到達地点の碑
 船橋大神宮の裏門の階段には、どんな旱の日でも ある高さの所に黒く湿ったところがある。地下水の沁み出たところであろうが、関東大震災の時にここまで津波が来たという言い伝えがある。
 掲句は、思いがけない陸の奥にある記念碑に、過ぐる日の災禍を偲んでいるのだ。大きな災害は、何代も後の人々の心に残っているものである。

◎雑踏へPOLICEの背中鰯雲
 群衆の中に入り込み、人混みに紛れてそそくさと消えていく警察官の姿、その顔や表情、人となりはわからないが、背中に太文字で書かれた「POLICE」の横文字が強い印象となって見る者の目に残るのである。
 前句もこの句も、空高く展開する鰯雲が、超然と人間世界を見下ろしているようで、効果的な背景の仕事をしているのである。

○銀座には横文字ばかり鰯雲
この句も、賑やかで雑多な地上の世界との対比で鰯雲の存在が印象的である。繁華街は、多種多彩な看板や標識が見られるが、銀座は、特に横文字や外来語の掲示物が多いところであろう。モノや店などの名前は外国語や和製英語などが多く、日本人の多くは、英語を少々理解する程度の人でも、看板・標識などのいろいろな国の言葉を読んだり理解したりすることができるものでもある。
 銀座は、ほんとに横文字ばかりの町であるのだ。

「趣味」
○連衆と競う恋の座月見舟
 連句は、いろいろな決まりがあり知識も豊かでないと楽しめないのだが、慣れてくると長丁場でも夢中になってはまってしまう。「月の座」「恋の座」などは、直接経験がなくても、文学的な経験で句をものしたりできるので、掲句は、恋愛の経験が淺くても読書量の多寡で競うことができるのである。大川に浮かべた月見船の上で月を見、酒肴を味わいながら連句を巻くという贅沢を、たまには味わってみたいものである。向島の音締めも聞こえてきたりして…。

○新刊の帯を外してより夜長
 新刊の帯は、やがて折れ曲がったり破れたりして、以外に始末の悪いものであるからして、読む前に外してしまう人も少なからずいる。新刊の帯を外してさあこれから読もうという時から、昼間の雑事から解放されて落ち着いた時間が始まるのである。この「夜長」は、そんな愉しい時間なのである。
のんさん (8b8xe2bx)2023/10/1 19:33削除
第612回 選句

〇トランペットの高音月明の鰯雲
 「月明の鰯雲」皓皓と輝く月、澄んだ空気も感じられます。

〇秋風をすり抜けていく一輪車
 爽やかに髪をなびかせ走り抜けていく子が見えるようです。

〇車座の氏子総会新走り
 車座を回る一升瓶、収穫後の総会なのですね。

◎末成りの糸瓜十七文字の詩語
 ただの糸瓜でなく「末成の糸瓜」に作者の心が読み取れます。
ジュピターさん (8pymq0ud)2023/9/30 17:14削除
612回選句
 ◎新刊の帯を外してより夜長
  読みたかった本を手に入れ、秋の夜長に読みふける。作者の喜びが伝わってくる。
 〇エプロンは保母の制服鰯雲
  エプロンが保母さんの制服、成る程。
 〇起震車の試乗体験曼殊沙華
  仮設住宅の中での地震体験はあるが、起震車というものがあるとは・・
 〇秋風をすり抜けていく一輪車
  秋らしい爽やかな一句です。
ちこりんさん (8mmormpc)2023/9/29 19:24削除
512回 選句
○車座の氏子総会新走り
一升瓶を回しつつ氏子総会。今でも残る地域の姿。馴染みの人々の笑い声が聞こえるようです。

◎末成りの糸瓜十七文字の詩語
取り合わせが何とも言えない味わい。俳句が趣味?というより人生の友なのでしょう。詩語て締めた所に余韻があります。

○新刊の帯を外してより夜長
読書の秋。中七の措辞がいいですね。共感の一句です。
こがめさん (8atk17xs)2023/9/28 09:44削除
第612回麦っこ選句

〇起震車の試乗体験曼殊沙華
体験したことがありますが怖かったです。「曼珠沙華」の季語に作者の思いがこめられているのだろう。「命」を守るためにどうすればよいか考えてほしい願いがこめられているように感じます羽。

〇休日のSL列車芒原
「SL列車 」にまた乗ってみたいな。走っている長閑な景が「芒原」から浮かんできます。

◎末成りの糸瓜十七文字の詩語
「末成りの糸瓜」と「十七文字の詩語」の取り合わせが俳句の形と作る時の心が伝わってきます。

〇新刊の帯を外してより夜長
どんな本だろうか。でも読書の大好きな方だろうな。心を落ち着けて本のないように入り込んでいるように感じま
まりさん (8md9x4e2)2023/9/27 21:41削除
612回選句

◎エプロンは保母の制服鰯雲
シンプルでイメージがくっきり。保育士さんの元気な声とピンクのエプロン。鰯雲の季語もさりげなく爽やか。

〇車座の氏子総会新走り
今年再会の祭りは多かったことでしょう。これは氏子総代会なのでしょうか。3年前と同じように、寄付や人を集めて賑やかに執り行うのは大変なこと。新走りですから、祭りの後のほっとした車座かもしれません。

〇戦場の長き車塵や雁渡し
現実でもあり心象風景でもあるでしょう。プーチンには無論ゼレンスキーにも頷くことはできません。どちらが強く出ても同じく死者が出ます。留鳥かもしれませんが、最近三か所で鴨を見ました。そろそろ雁もわたってくるでしょう。

〇新刊の帯を外してより夜長
至福の時間。調べがいい。
不来方さん (8jrlsjab)2023/9/25 10:56削除
第612回選句

◯エプロンは保母の制服鰯雲
 保育園の散歩カーに付添う保母さんをよく見かける。今日も偶々四人の保母さんと出会った。全員エプロン姿。大空に鰯雲が広がっていく。

◯起震車の試乗体験曼殊沙華
 取合せの巧い句。起震車は知らなかった。怖いものみたさに是非試乗してみたい。

◯戦場の長き車塵や雁渡し
 戦前の新興俳句の戦火想望俳句につながるようなリアルな句。他国とはいえウクライナ戦争は他人ごとではない。「長き車塵」の斡旋が見事。

◎末成りの糸瓜十七文字の詩語
 一連の趣味の句はそれぞれの分野で具象が効いていて、知らない趣味でもイメージがハッキリと浮かぶ。掲句は難しい「コト」と「モノ」の取合せにチャレンジして成功している。俳句は確かに末成りの糸瓜のようなものかもしれない。
返信8
管理人さん (8aq3zcoi)2023/6/5 11:37 (No.61916)削除
mgPOST Part―V
返信
まりさん (8md9x4e2)2023/10/19 19:33削除
ようこそ!ハナハナさん。
「投句した週の選句をする」というだけが決まりです。
選句数は自由ですが、特選◎はひとつつけてください。
楽しく参りましょう~。
天馬さん (8uov4p4u)2023/10/16 17:12削除
先日の名月♪
写真左下の少し尖って見えるのは姫神山です。
当地、稲はコンバインであっという間に刈られます。
学校田だけは、子供達に伝承するため掛稲です。
不来方さん (8b8tdv36)2023/10/16 15:54削除
今年の稲架掛けです。
ジュピターさん (8pymq0ud)2023/8/14 08:23削除
出題回数訂正(お詫び)
607回とすべきところ、誤って606回と表示してしまいました。削除用パスワード未入力で訂正できません。
お手数をおかけしますが、よろしくお願いします。
ふたばさん (8augfkle)2023/8/14 00:05削除
まりさん。
 猛暑の中、秀句をまとめていただきまして有難うございました。
 今回のお題で、広島忌は夏の季語、長崎忌は秋の季語ということを初めて知りました。
 勉強不足でした。しばらくこの暑さが続くようです。皆様ご自愛ください。
のんさん (8b8xe2bx)2023/8/4 18:21削除
まりさん
 暑さの中、秀句取り纏めありがとうございます。
 それにしても日本はいつから熱帯の国になったのでしょうか?
 皆様お体大切にお過ごし下さい。
不来方さん (8b8tdv36)2023/8/2 17:19削除
太郎さん いすみ鉄道の「キハ」型気動車、機会を見つけて是非乗ってみたいです。
まりさん 秀句取りまとめありがとうございました。
太郎さん (8oylunww)2023/8/2 12:55削除
キハ型気動車
県内のいすみ鉄道では今も運行しているというので、見るなり乗るなりしたいのですが、かないそうもありません。
まりさん (8md9x4e2)2023/8/1 14:19削除
麦っこ秀句 20230205~20230716

  太郎
天 紅の病葉花の匂いあり
地 家書売りし夜の一杯の黒ビール
人 駘蕩として山羊の目の一文字
  墨東のペンシルビルやつちぐもり
  退院の少女目深に春帽子
  はつなつの虚空を掴む瓜の蔓
  要介護3の烙印若葉寒
  街薄暑人みな疎く見ゆる日の
  夏は来ぬ大川渡る触れ太鼓
  黴匂う「阿部一族」の蔵書印

  天馬
天 夏草の薙ぎ倒されてより香る
地 一樹揺れやがて全山春時雨
人 火葬炉の分厚き鉄扉木の芽雨
  春光や金管楽器に緋のクロス
  廃校の百葉箱や木の根明く
  残雪の山の見下ろす野辺送り
  集合は田打ち桜や堰普請
  青葉冷白熱灯に子豚たち
  秋田蕗ならばこの嘘隠せるか
  幣束の音渡りゆく山開

  ふたば
天 輪になって後ろの正面春の風
地 本箱に手垢の村史春の雨
人 解熱剤プチンと折って梅雨ごもり
  早春や干潟をめぐる双眼鏡
  小流を跳んで菜の花畑かな
  春風をかき混ぜているドッグラン
  地蔵尊のたわしの乾く長閑さよ
  馬乳酒の味の記憶や黄沙来る
  逃水を追って天山一路かな
  病葉や白木の柵のご神木

  こがめ
天 紅梅や百葉箱に陽の温み
地 春の雪落ちては消える法の庭
人 たんぽぽや風が攫いし野球帽
  風光る丘に人魚のモニュメント
  噴水の広場を通り動物園
  母の忌や夫と一緒に柏餅
  睡蓮をゆっくり揺らす鯉の背
  草笛や共に吹きたる兄は逝く
  夏萩の風に触れたるかえる石
  夏空へ一打逆転ホームラン

  のん
天 気負いなき暮らし目高が少し増え
地 十六の夏カルピスの不透明
人 青梅雨の古都回廊のエンタシス
  薄氷を割き朝刊のオートバイ
  今朝の幸せ道の辺の犬ふぐり
  上京と帰郷の交差春の月
  制服のセンタープレス草青む
  付き合いは長しクローバー凹むほど
  梧桐の本家より来るお赤飯
  病葉に葉脈のあり光あり

  ジュピター
天 路線バス炎暑の町の時刻む
地 春ショールヘップバーンに憧れて
人 神楽笛おらほの村に春が来た
  春昼の光を返す三番瀬
  踊り出すブリキのおもちゃ百千鳥
  裏腹な言葉吐きけり花薊
  花水木店主ひとりの理髪店
  実桜や芋坂下の団子茶屋
  火蛾を呼び村の集会始まりぬ
  大汗をかいてひと風呂ひと眠り

  まり
天 沢音が包む湯治場朴の花
地 我楽多のままのふるさと青山河
人 立春の空山彦の放物線
  蕗味噌や母の忌過ぎて父の忌来
  惜春を巻きこんでゆく卵焼き
  温かくふくらむ言葉豆ご飯
  死者生者噴水虹を生むばかり
  はらからは古希喜寿傘寿遠青嶺
  汗拭う五百羅漢の百あたり
  カサブランカ椅子ひとつ足す誕生日

  智美
天 早春の疎林鳥影の鋭角
地 利根川がのらりとくねり初蝶来
人 春の雨涙流さず泣くことも
  飛びそこなう輪ゴム鉄砲チューリップ
  山桜中辺路から行く熊野道
  涅槃図に猫門開いたままの寺
  長閑なり「昼のいこい」のテーマ曲
  出開帳菩薩の御衣(おんぞ)の襞の紅
  焦げすぎた朝の食パン黄砂来る
  紫陽花の雨に解けて青い道

  不来方
天 六月の父あるがまゝ黙のまゝ
地 黄砂来る羊の涕引き連れて
人 照り降りて影がきれいになる四月
  風光る輪中の里の大畷
  寝ころびて春の雲追う草千里
  長閑さや仏足石に眠る猫
  山の神そして田の神さくら時
  若葉風ぬた場に残る獣臭
  子燕やシャッター街の日曜日
  多国語に慣れて大和の袋角

  ちこりん
天 逃水に歪む砂丘の空の蒼
天 天鵞絨の蕾の疼き大辛夷
人 はつなつのモビールの綺羅通り雨
  石打って生まるる水輪春愁
  初蝶や独りっきりの母の墓
  薫風やクルスの眠る古戦場
  文脈の捻れ捻れて青嵐
  青東風やマザーグースの月曜日
  黴生きる母の形見の腕時計
  潮騒の駅や黒衣のひかる汗

膨大な量からの抽出なので間違いがあるかもしれません。
他人の句が混じっていたらご連絡ください。
天・地・人 は得点の多かった順になっています。
同点句の場合はまり選です。ご了承ください。

こちら嬉しい嬉しい雷ごろごろ。
雨はちょっとしか降っていませんがそれでもつかの間の涼しさです。
明日から再び酷暑の予報。
太郎さん (8aq3zcoi)2023/7/31 21:35削除
不来方さん ありがとうございます。
 俳句は、ドキュメンタリーではない、というのが私の持論で、吟行句に実際には無かった季語を合わせて一句を完成するのは度々しています。
 東京発の大垣行きは、見送ったことはあっても乗ったことはありません。いつかはと思っているうちに過去のものとなってしまいました。
 学生の頃から夜行の普通列車が好きで、思い出もたくさんあります。夜中に矢板駅に停車し、駅前の矢板百貨店(当時は木造の九尺二間的な建物)の佇まいに感じ、帰りに途中下車して立ち寄りました。
 「実景」などに拘らずに作句することが多く、顰蹙ものかもしれませんが、御海容の上お付き合いください。
不来方さん (8b8tdv36)2023/7/31 10:03削除
太郎さん 603回の御句「逝く夏の大垣行きの最終便」大好きな句ですが、東京発大垣行きムーンライトながら号はコロナ禍の2020年3月で実質廃止されました。残念です。新幹線で名古屋乗り換えの大垣行き最終便なら句材にはなりませんね。
こがめさん (8atk17xs)2023/7/28 12:40削除
美味しそうな野菜。そして涼しさいいな。
田舎に電話したら34度だよ・・・。びっくりしました。
涼しいと思っていたのに。田舎の湧水で食べた水かけご飯懐かしいです。
鎌ケ谷は毎日暑いです。体調管理が大変です。
山小屋の涼しさ分けてほしいです・・・・
天馬さん (8bszqp0p)2023/7/23 10:03削除
山小屋に向かう途中の農家から
ストーブの煙が見えない時期は、ほぼないです。
ネットで今朝の山小屋近くの気温を見たら17℃でした。
山小屋は寒さ厳しい地ですが、災害はない所です。
遊びに来て下さい♪
不来方さん (8b8tdv36)2023/7/23 08:47削除
天馬さん クーラーを殆ど使わない生活も、色・艶・かたち共素晴らしい野菜も羨ましい限りです。山小屋の雨の被害はなかったでょうか?
天馬さん (8bszqp0p)2023/7/23 07:54削除
朝採り♪

昨日午後、老トイプードルのためにこの夏はじめてクーラー作動。関東の暑さは想像外ですが、なにせ5ヶ月は冬だし…これくらいの恩恵あってもよいかなの昨今です(^o^)
まりさん (8md9x4e2)2023/7/16 21:34削除
坐骨神経痛

ジュピターさん。とにかく休むしかありません。
エアコンの効いた部屋でゆっくりしましょう~。

私も数年に一度?坐骨神経痛の痛みが来ます。
病院に行っても、痛み止めをどっさり渡されて二週間ぐらいは静養しましょう~と言われるだけ。
医師が、これほどひどいのは先天性だろうという第五腰椎分離すべり症はここ20年ぐらい?は悪さをしません。
何事も、だましだましだましだまし。。。
お大事に。
ちこりんさん (8mmormpc)2023/6/28 19:38削除
みなさん、ありがとうございます。
本当に信じられない思いでしたが、メッセージを頂いて、じわじわと実感が湧いてきました。
麦っこでの互いの句評がいつも学びになっています。
これからも宜しくお願い致します!
ふたばさん (8augfkle)2023/6/27 22:09削除
ちこりんさん。
作家賞おめでとうございます。
まりさんから『麦』をいただきました。
「麦っこ」は実力者ぞろいですね。
毎回気づきがあり、学ばせていただいております。
まきえっとさん (8rypn25h)2023/6/26 22:15削除
ちこりんさん。
作家賞おめでとうございます。
とても嬉しいです。
のんさん (8b8xe2bx)2023/6/26 17:13削除
ちこりんさん
作家賞おめでとうございます。益々のご活躍を‼
不来方さん (8b8tdv36)2023/6/26 17:01削除
ちこりんさん 麦作家賞おめでとうございます㊗️それにしても麦っこはすごい方々ばかり。
智美さん (8kfpafc0)2023/6/26 06:06削除
ちこりんさん
おめでとう!!!
遠からずこの日が来ると確信してました!!!
まりさん (8md9x4e2)2023/6/24 21:57削除
ちこりんさん
congratulation !!!
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