麦船橋句会

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まりさん (8md9x4e2)2023/3/6 14:22 (No.51324)削除
583回投句一覧&選句

「春の雨」
屋根雪の終の一塊春の雨
春雨や暗がりに目が慣れて梁
春の雨涙流さず泣くことも
本箱に手垢の村史春の雨
透明な傘が道連れ春の雨
春の雨Kindleで買う直木賞
枝光る真珠みたいな春の雨
脈々と巨木のうねり春の雨
割烹の軒灯古ぶ春の雨

「箱」
紅梅や百葉箱に陽の温み
廃校の百葉箱や木の根明く
巣箱掛けし兄おとうとも根の国へ
キャラメルの箱にたんぽぽ不発弾
パンドラの箱に触るるや春の雷
からくりのほどけぬ小箱春動く
小箱から小石春風通り過ぎ
雛納む段ボール箱新しく
夕映えや巣箱の鳥を待つ時間

「雑詠」
詐欺防止の呼びかけソング春のバス
天鵞絨の蕾の疼き大辛夷
墨堤の古き団子屋雛飾
御朱印帳を待つ髭づらに春の風
好物を詰めるドカ弁卒業す
水草生う水の近江のそこかしこ
春光や羽虫たちたるひと所
塊をほぐしたばかり蝌蚪の国
赤子笑う吊るし雛の揺れる寺

太郎さん欠席です。
返信
智美さん (8kfpafc0)2023/3/25 18:00削除
第583回  選句

◎本箱に手垢の村史春の雨
◯廃校の百葉箱や木の根開く
◯御朱印長を待つ髭づらに春の風
ふたばさん (8augfkle)2023/3/12 23:34削除
583回選句
◎春の雨涙流さず泣くことも
 「涙流さず泣くことも」にはさまざまなことが含まれていて、深層の襞を感じます。胸を衝かれました。

〇脈々と巨木のうねり春の雨
 樹齢何百年といわれる巨木。力強い木と春の雨の優しさの対比が効いています。

〇紅梅や百葉箱に陽の温み
〇廃校の百葉箱や木の根明く
 「陽の温み」「木の根明く」に春の訪れを感じます。

〇墨堤の古き団子屋雛飾
 むかし散歩した墨堤や向島百花園、そして美味しい長命寺の桜餅、言問団子は懐かしいです。お店の佇まいが雛飾にあっています。

〇塊をほぐしたばかり蝌蚪の国
 「塊をほぐしたばかり」がいいですね。
ジュピターさん (8fn4dnzx)2023/3/11 18:13削除
583回選句
◎天鵞絨の蕾の疼き大辛夷
 辛夷の花が咲かんとする一瞬を、蕾の疼きと詠んだところが素晴らしい。
〇紅梅や百葉箱に陽の温み
 百葉箱の周りに春の陽が降り注いでいるようです。
〇廃校の百葉箱や木の根明く
 取り残されたものの周りにもやっと春が訪れたようだ。
のんさん (8b8xe2bx)2023/3/11 09:56削除
第583回 選句
〇春の雨涙流さず泣くことも
 憂う事の余りに多い時代、自分だけ安穏と生きては行けません。季語の動かない句です。

◎本箱に手垢の村史春の雨
 「手垢の村史」が想像力を搔き立てます。本の持ち主は誰か、今でも見返しているのか、何故処分されずにあるのか、この本はこの家の歴史そのものであるように思いました。

〇からくりのほどけぬ小箱春動く
 旅先での一コマでしょうか。今年は特に「春動く」の感が強いです。

〇天鵞絨の蕾の疼き大辛夷
 当方の辛夷はすでに満開です。天鵞絨、自然界の不思議を感じます。

〇塊をほぐしたばかり蝌蚪の国
 オタマジャクシも人の世も相通じるものがあるなと、ふと思いました。
こがめさん (8atk17xs)2023/3/9 19:54削除
第583回麦っこ選句

○春の雨涙流さず泣くことも
とても複雑な気持ちです。涙は見せないけど気持ちの上ではとても悲しい。「涙流さず泣くことも」の表現にジーンときました。

○本箱に手垢の村史春の雨
村史を繰り返し読んだのですね。村のことを思い出しているのだろうな。

◎廃校の百葉箱や木の根明く
「木の根明く」の季語が雪国の季節感と「百葉箱」のある景が浮かんできます。

○好物を詰めるドカ弁卒業す
ご苦労様でした。好き嫌いなく元気いっぱいのお子さんに育ったでしょうね。大変だろうけど幸せな時期かな。
まりさん (8md9x4e2)2023/3/9 09:43削除
583回選句

◎春の雨涙流さず泣くことも
目の付け所になるほどと思いました、涙さえ出ない悲しみや苦しみ。季語があたたかく寄り添っています。改めて、辞書的な「泣く」とは涙を流すことなのかと調べました。むろん一番先には、「精神的肉体的苦痛のために声を上げたり涙を流したりする」がきますが、そのあとに苦痛に悩む・つらい状況に陥るなどの意味も。

〇本箱に手垢の村史春の雨
中七がいいです。どなたの手垢なのでしょう。我が家にある故郷の村史は手垢ではなく埃をかぶっています。申しわけない。

〇廃校の百葉箱や木の根明く
「木の根明く」本当に素敵な季語。懐かしい景。百葉箱がいいアクセント。

〇天鵞絨の蕾の疼き大辛夷
天鵞絨という漢字表記が効いています。なつかしい響き。あこがれだったベルベットの洋服は、捨てられず・使わずの箪笥の肥やしでもあります。蕾はその天鵞絨を破って花を咲かせます。
天馬さん (8bszqp0p)2023/3/8 15:01削除
583選句
○春雨や暗がりに目が慣れて梁
梁に湿度を感じるところに惹かれました。
○本箱に手垢の村史春の雨
父から貰った分厚い村史、長らくそのまま本棚に入れっぱなしでした。読んでみようかなと。
○紅梅や百葉箱に陽の温み
百葉箱の白さが際立ちます。
◎天鵞絨の蕾の疼き大辛夷
当地、蕾は固く疼く陽気とはほど遠いですが、今日は今年始めて日中はストーブつけず過ごしました。春が待ち遠しいです。
ちこりんさん (8mmormpc)2023/3/7 10:11削除
583回 選句

○春の雨涙流さず泣くことも
共感の一句。心で泣いて、顔は笑って。別れと出会いの春ならではの感慨。
ただ、この句は既視感があります。

◎本箱に手垢の村史春の雨
中七に作者の人となりと暮らしが見えるようです。
手垢がリアル。

○好物を詰めるドカ弁卒業す
懐かしい我が家の風景。ドカ弁は昭和の匂いがします。

○塊をほぐしたばかり蝌蚪の国
水温み、生き物たちも存在感を見せ始めました。
臨場感を感じる一句。
不来方さん (8b8tdv36)2023/3/6 16:16削除
第583回選句

◎春の雨涙流さず泣くことも
 春は出会いの季節でもあるが、何方かと言えば別れの季節。その別れには涙よりも潤む目の方がよく似合いそう。平明な言葉と組合せに加えて、結語の「も」の余韻がとても良い。

◯本箱に手垢の村史春の雨
 「手垢の村史」が春の雨とピッタリ。

◯ 紅梅や百葉箱に陽の温み
◯廃校の百葉箱や木の根明く
 「百葉箱」二句。前句は「陽の温み」が紅梅と、後句は「廃校」が木の根明くと呼応し合っている。実はこの題で「雪どけや廃校跡の百葉箱」を作って出し損ないました。

◯ 天鵞絨の蕾の疼き大辛夷
 「天鵞絨」の観察眼、「疼き」の感性が鋭い。


太郎さん 発熱外来に行かれた後のお休みなので心配しています。
返信9
まりさん (8md9x4e2)2023/3/13 14:03 (No.52608)削除
584回投句一覧&選句

「春の海」
春の海日はくゎんをんの大音声
廃船の舳先の光春の海
向き合えば涙の色の春の海
春の海テトラポットの乱れ積み
宗派越ゆ追悼読経春の海
会津八一の歌碑を辿りて春の海
春の海しづかに眠る月日貝
鴨川駅降りて数分春の海
湾を呑みサーファーを呑み春の海
南より小瓶のメール春の海

「家」
蕗の薹空家の庭は荒れ放題
わが「家」の行く末見たり朧の夜
鳥引くや旧街道に沿う家並
売り家の庭に古木の梅の花
母の居ぬ実家は遠し春の暮
家苞の鳩サブレーや春社日
菜の花や岬の駅の瓦屋根
家系図に加える一女古刹春
卒業歌家を出る子も残る子も
鶯や家名を磨く桶の水

「雑詠」
ありふれた言葉あたたか雛あられ
耕運機を連れて家路へ春夕焼
メジロ色の鶯餅を買いにけり
啓蟄や焦土の中の黒土帯
菜の花や虻の饗宴唸る音
三陸の陽気な野風独活の張り
恋の猫物置小屋のトタン屋根
家主去りミモザ静かに黄を増して
バケツごと子山羊測られ春の牧
春の雪臨『始平公造像記』
返信
智美さん (8kfpafc0)2023/3/25 17:49削除
第584回  選句

◯春の海日はくゎんをんの大音声
◯湾を呑みサーファーを呑み春の海
◯鶯や家名を磨く桶の水
◯ありふれた言葉あたたか雛あられ
◎バケツごと子山羊測られ春の牧

  お遅くなったうえ、感想なしで申し訳ありません。
ふたばさん (8augfkle)2023/3/19 18:00削除
584 選句

〇廃船の舳先の光春の海
 「春の海」は震災の記憶を想起させる句が多いと感じました。この句は「舳先の光」に希望があります。

〇菜の花や岬の駅の瓦屋根
 菜の花の黄色、海の青、そして屋根瓦の色。明るい房総の春を感じます。

◎ありふれた言葉あたたか雛あられ
 仮名と漢字のバランスがいいですね。「ありふれた言葉」を掬い上げた感性に魅かれました。

〇バケツごと子山羊測られ春の牧
 生き生きとした子山羊の鳴き声まで聞こえてくるようです。明るく爽やかな景です。
ちこりんさん (8mmormpc)2023/3/19 10:06削除
584回 選句

◎春の海日はくゎんをんの大音声

見えぬものが見え、聴こえぬものが見える詩的な世界。深読みかもしれませんが、三陸の海への鎮魂とも読みました。数多の命を飲み込んだ海。安らかに眠って欲しいと祈ります。

○わが「家」の行く末見たり朧の夜

家の一文字の重さと存在感。見たり、まで言いきることの辛さ、痛みが伝わります。

○ありふれた言葉あたたか雛あられ

ありふれた言葉に作者の眼目があるのでしょう。言葉一つで傷ついたり、救われたり。人生を左右するのが言葉だと、つくづく思わされます。「あたたか」を違う言葉にすると、一句の世界は変わって来そうですね。勿論季語も。
のんさん (8b8xe2bx)2023/3/19 00:15削除
第584回 選句
◎わが「家」の行く末見たり朧の夜
 昔は当たり前であった「家」の存続も時代とともに変わって行きます。柔軟な心で現実を受け止めていると思われる季語です。

〇家苞の鳩サブレーや春社日
 鎌倉での一日、「社日」知らない言葉、学ばせていただきました。

〇菜の花や岬の駅の瓦屋根
 海の傍は何でも直ぐに錆びます。「瓦屋根」が如何にも房総にありそうな駅です。

〇ありふれた言葉あたたか雛あられ
 美辞麗句より何気ない言葉が心に響きます。季語も良いと思います。

〇バケツごと子山羊測られ春の牧
 臨場感のある句です。一時もじっとしていない元気な子ヤギが見えるようです。
ジュピターさん (8fn4dnzx)2023/3/18 21:28削除
548回選句
◎わが「家」の行く末見たり朧の夜
 「家」には家屋、家族、家系等々が連想されます。朧の夜は、人を思慮深くさせる力がある。
〇廃船の舳先の光春の海
〇ありふれた言葉あたたか雛あられ
 両句とも季語の斡旋により、句が生き生きとしたものとなっている。
まりさん (8md9x4e2)2023/3/17 09:47削除
548回選句

〇廃船の舳先の光春の海
3月はどうしても津波の海を連想してしまいます。「舳先の光」は、その三陸の海で育った方の眼なのでしょう。

〇春の海テトラポットの乱れ積み
先日、智美さんに誘っていただいて、鴨川の「テトラポットの乱れ積み」を見てきたばかりです。
あれを「乱れ積み」とは感心しきり。

〇わが「家」の行く末見たり朧の夜
太郎さんの年代までの男性、それも長男の長男として育った方は「家意識」が強いのを感じます。
親と住むのが当たり前の社会が消え、お墓参りをしながら感じるものがあったのでしょう。
季語が効いています。

〇耕運機を連れて家路へ春夕焼
平凡な景ですが「連れて」がいい。春の夕方ののんびり感が伝わってきます。

◎バケツごと子山羊測られ春の牧
季語が安易かなとは思いました。「牧」はなくても牧は伝わる気がします。
おらかで明るい景が広がる季語も考えてみてほしいと思いましたがイメージを乱すかもしれません。
しかしこの明るさと臨場感は楽しい。重さをはかるなら「量る」かなとも思いましたが、「はかる」の漢字の選択は難しいですね。
こがめさん (8atk17xs)2023/3/14 11:33削除
第584回麦っこ選句

○春の海テトラポットの乱れ積み

○湾を呑みサーファーを呑み春の海

○わが「家」の行く末見たり朧の夜

○母の居ぬ実家は遠し春の暮

◎春の雪臨『始平公造像記』

評がなくて申し訳ありません
不来方さん (8b8tdv36)2023/3/13 21:00削除
第584回選句

◯ 廃船の舳先の光春の海
 骨格のしっかりした句で、廃船の寂しさと春の海の明るさとの対比の妙。

◯ 春の海テトラポットの乱れ積み
 「春の海」では矢張り東日本大震災を詠みたいところ。震災後三陸海岸を鉄道で巡ったことがあるが、どの港も「テトラポット」の乱積みが痛々しかった。

◯ わが「家」の行く末見たり朧の夜
 家名の断絶がはっきりしたのであろうか。この「家」には色々なことが想像される。朧夜の曖昧さの中での「行く末見たり」の断定が佳い。

◎ ありふれた言葉あたたか雛あられ
 このありふれた「あたたかさ」が何とも言えない。雛あられの句として新鮮。

◯ 春の雪臨『始平公造像記』
季語と固有名詞だけの省略の見本のような句。一番難しい俳句の作り方かと。書道のことは全く門外漢なれど『平公造像記』の臨書の荒々しさと春の雪の柔らかさがとても良いバランス。
返信8
管理人さん (8aq3zcoi)2022/12/19 11:46 (No.41702)削除
mgPOST ―PartⅢ
 『麦っこポスト』も第三部になりました。引く続きよろしくお願いします。
 『第二部』は、このページの少し下に、『第一部』は3ページにありますので参考までに。
返信
まりさん (8md9x4e2)2023/3/20 09:53削除
優先マーク

太郎さんに教えていただいて優先マークの削除・追加をやってみましたが。
必要なところに必要なピン追加ができたかどうか、次回もやれるかどうか不安です。
忘れてるよ~というのがありましたらお知らせください。
まりさん (8md9x4e2)2023/3/16 19:36削除
「削除」の隣のだるまピンマークは「優先」のマークです。
優先マークがついたところが上に来ます。
マークの着脱は太郎さんにお願いしているのですが、太郎さんはしばらくパソコンが使えません。
マークを外したいところ、つけたいところがありますが、しばらくはこのままで投句・選句をお願いいたします。
不来方さん (8jrlsjab)2023/3/4 18:01削除
まりさんの麦っこ秀句をワードに転換して保存しています。掲示板だけなら時間が経つにつれて読み直すことはしなくなりますので。 まだやられていない方はトライしてみて下さい。方法が分からない方は不来方又はまりさん迄照会願います。
不来方さん (8b8tdv36)2023/3/3 22:36削除
天馬さん 素敵な写真ありがとうございます。雪解はまだでしょうか?
待ち遠しい「やわらかに柳あおめる北上の岸邊目に見ゆ泣けととごくに」
天馬さん (8bszqp0p)2023/3/3 13:04削除
散歩途中に啄木1号歌碑をパチリ。
のんさん (8b8xe2bx)2023/3/2 21:03削除
不来方さんまりさん、お忙しい中取り纏めありがとうございます。
皆様の句読み直し、勉強させて頂きます。
こがめさん (8atk17xs)2023/2/24 14:27削除
不来方さんまりさん取りまとめご苦労様です。読み直しています。
不来方さん (8b8tdv36)2023/2/24 08:30削除
まりさん お忙しい中早速秀句の取りまとめて頂きありがとうございます♪
まりさん (8md9x4e2)2023/2/23 17:13削除
麦っこ秀句
20220821~20230129 

不来方
天 観音の里を巡りて水の秋
地 凍つる夜や東京で聴くバンドゥーラ
人 図書館のテラスの紅茶日短か
  葛の花触るるばかりの飯田線
  中流や師走の街を漂流す
  鈍色の空へ一声冬の鵙
  一本締め一句で締める年忘れ
  屋根神へ天使の梯子淑気満つ
  寒月光活断層を貫通す
  不揃いの水仙不揃いのニンゲン

こがめ
天 天高し白河越えた優勝旗  
地 むき出しの蛸足配線ぼろの市
人 奔放に雪上揮毫残る墨
  秋蝶の纏いつきたる耕運機
  小春日や海の匂いのレストラン
  冬の夜や落款押して息吐ける
  ゴム印の兎跳ねいる年賀状
  測量の杭を打ち込む大枯野
  爪楊枝差して差し出す試食梨
  月光が墓を見守る過疎の村

天馬
天 岩手山大きく見えて今朝の冬 
地 鳥渡る太古の蒼のカルデラ湖
人 赤とんぼ死んでまだまだ飛ぶ形
  霧襖のっと現る対向車
  天高し鳶一転の急滑降
  稲雀空に飛び板あるごとし
  本閉じるような死のありて邯鄲
  断層の貝の化石や紅葉谷
  落葉落葉のっと原木運搬車
  山間の線路ひと跳び冬の鹿

太郎
天 折鶴を開けば白き秋の風  
地 新しき縄目無住の冬構
人 地引曳く声の揃いて雲は秋
  会釈して行き交うリフト大花野
  項垂れる骨格標本秋暑し
  独り居の蛸足配線虎落笛
  年忘れ一つ覚えの戦歌
  目配せで渡すアドリブ聖夜のジャズ
  大鵬の手形おでんを鍋で買う
  杭打機の反響枯野のニュータウン

ふたば
天 綿虫のふわりと弟の忌日
地 月光や猫一匹の石畳
人 手袋を銜えて自動販売機
  月光や座敷童の瞳のひかる
  地蔵尊の前垂れ新た草雲雀
  鳥渡る那須連山の空青し
  嬰児は水蜜桃のにおいかな
  穂芒の波波箒川暮色
  亡き兄の写経の束や虎落笛
  笹鳴きや曲り廊下を湯殿まで

ジュピター
天 穂芒の揺れて暮色の町を掃く
地 大阿蘇や宇宙へなびく薄原
人 秋風や墨堤に古る常夜燈
  山霧を纏いて集う朝のミサ
  ひんがしに大沢崩れ稲の秋
  もっきりを口で迎える冬隣
  追伸に透ける本音や冬薔薇
  風流に無縁な男大根引く
  老二人身を弓形に大根掘る
  果樹園のネットの青さ日脚伸ぶ

まり
天 噴き上がる落葉ドクターヘリ離陸
地 1・17朝刊の届く音
人 星奔る宙をめくれば黄泉の国
  よく熟れて届かぬ高さ烏瓜
  爽籟や木洩れ日蹴って飛ぶ鴉
  吹き寄せる牛乳の皺冬来る
  森閑と進む月蝕神の留守
  山巓の風へ預ける干し大根
  凍星や悼みを包む藍袱紗
  工事場の声の直線風凍つる

のん
天 花立ての分厚い氷墓所眠る
地 寅さんのいそうな食堂赤とんぼ
人 夜長し爪切ることも旅支度
  木の実降る頭上を過る戦闘機
  こすもすや生きるというは揺れること
  冬もみじ周遊切符の途中下車
  曲がり角曲がり一人となる寒夜
  シャンパンの小さな気泡冬銀河
  折り合いをつける一病鰯雲
  寒鴉基地を隔てる鉄条網

智美
天 縄文の環状列石草雲雀
地 朝からの鵯の高鳴きエスプレッソ
人 旅三日虫鳴く庭になりにけり
  どれもみな庭の外向く白木槿
  畳紙に母のメモ書き吾亦紅
  テント出たピエロの涙十三夜
  先頭は町の顔役秋祭
  皆我を追い越してゆく師走かな
  大根の畑のしかかる太平洋
  冬天の青流離という憧憬

ちこりん
天 あるがまま傾ぎゆく幹冬深し
地 シベリアの闇を眼下に鳥渡る
人 石ころに宿る仏心十三夜
  女手で組む低き稲架風の島
  紙匂う新書の鼓動鳥渡る
  便り待つそれだけの時山は雪
  オリオンの奏でる音色街眠る
  朝靄に消える舟人どんど果て
  陽だまりや寒禽の乗る牛の背
  凩や琥珀を磨く鞣皮

見覚えのない句が混じっておりましたらご連絡ください。
落ち着かない所で作業をしましたので。
不来方さん (8b8tdv36)2023/2/17 14:21削除
ちこりんさん 「六つの花」へのコメントありがとうございます。納得です。

梅の花は地域によっても綻び方が違いますね。案外気まぐれな花なのかも。
今日は乙女椿を見つけました。背景は余りよくありませんが。
ちこりんさん (8mmormpc)2023/2/17 10:23削除
不来方さん、今日は。
綻び始めた木蓮素敵ですね。当地の梅林は白梅の香りに満ちていましたよ。

六花の件ですが、私的には、読み下し文的な六つの花でない方が、雪華をイメージしやすいと思った次第です。二文字で締めた方が長さ的にもスッキリ?かなと。あくまで私感です。

今日は、暖かな一日になりそうです。たんぽぽやつくしもモゾモゾし出す事でしょう。
太郎さん (8aq3zcoi)2023/2/11 15:55削除
美しい写真に唱和して旧作二句
誕辰の朝つましく梅香る
辛夷明るし里山のひとところ
不来方さん (8b8tdv36)2023/2/11 12:10削除
梅と木蓮です。
不来方さん (8b8tdv36)2023/2/10 09:33削除
季語「六花」の使い方

ちこりんさん 麦っことは別件ですが、ある句会で雪の異称「六花」を「六つの花」として使いました。「銀河系の星の一隅六つの花」漢字表記の連続を避けたくて色々試行錯誤していたら、広辞苑で「六つの花」とあったので飛び乗りました。矢張り雪の結晶のイメージは漢字表記の連続でも「六花」の方が良いのでしょうか?悩ましいところです。
すいません。よろしければコメント下さい。
まりさん (8md9x4e2)2023/2/6 15:41削除
パソコン

ふりまわされています。
娘が、週一日しかない休みを返上して設定してくれたのに、
使ってみると困ることが多く、ついつい、え~ほんとにこの設定でいいの?と疑ってしまいます。
少なくともメール設定まではプロに頼めばよかったと後悔。
うまく移行できなかったものもあり、古いパソコンも時々使わないと作業ができないので「供養」はできません。
狭い机の上に二台並べて使っています。

数日間俳句を作っていませんので、これからがんばらないと!
不来方さん (8b8tdv36)2023/2/6 15:09削除
まりさん パソコン買い替えおめでとうございます。パソコン供養はされましたか⁇
太郎さん (8aq3zcoi)2023/2/5 16:56削除
温度計
 水銀柱の温度を見て、目が驚きました。私の部屋の温度・湿度計はデジタルなので、気温の上がり下がりに実感が伴いません。
 氷点下の温度は、かつてオホーツク流氷館で「-15℃」の「しばれ実験」を経験したのですが、生活の中で体感するのとはかなり違うのだと思います。 
 ともあれ、日照時間などは春近しということで、植物はもう感じているでしょう。
 「花をのみ待つらむ人に山里の雪間の草の春を見せばや  家隆」の歌にある「雪間草」の喜びを感じる季節もそう遠くないでしょう。くれぐれもお体を大切になさって、季感ぼけしている輩の鼻を明かすような句を詠んでください。
不来方さん (8b8tdv36)2023/2/4 16:50削除
下呂合掌村の(多分)霧氷。ただ氷点下5°Cくらいなので盛岡の山奥とは比べ物になりませんね。
こがめさん (8atk17xs)2023/2/4 11:38削除
天馬さん寒いですね。義姉の電話で故郷の景を思い出しています。
窓の霜の景も懐かしいし、きれいだなと思います。地域の生活環境の違いでびっくりすることが多いけどそれが日本の良さかなと。スキーは授業でもあったし、大会もありました。生活の必需品でした。湯治に行くのも当たり前だったような。
いろいろな情報ありがとうございます。
まりさん (8aq66elk)2023/2/4 10:14削除
立春
こちらも寒い立春です。

ムカシは、全国同じような教科書だったのだと思いますが(ワタシはそんなに古い?)
教科書の最初にはチューリップや桜が咲いていたと思います。
春のすべては教科書情報と一か月ずらして感じるのが当たり前でした。
脳がそのようにセットされていて疑問も持たなかった気がします。
むしろ、22歳で千葉に棲みついてからその差に打ちのめされました。
寒さの厳しいところには素晴らしい自然があり、遺産となるような風習があり、
その恩恵を楽しむしかありません。がんばれ~。
四季のないふわふわした国には俳句は育たないでしょうね。
天馬さん (8bszqp0p)2023/2/4 07:36削除
朝7:30現在
この気温で、今日から春の俳句なんて無理-!!
天馬さん (8bszqp0p)2023/1/19 07:49削除
窓霜❄️
横着に室内から。
まりさん (8aq66elk)2023/1/17 20:59削除
盛岡

今日、テレビでも紹介されていました。
私は盛岡をほとんど知らないのですが嬉しい限り。
盛岡を知りたいし、弘前にも行きたいし、方向音痴の一人旅に慣れねば。
不来方さん (8b8tdv36)2023/1/17 19:58削除
天馬さん 世界のニューヨークタイムズの特集で盛岡が行きたい街第2位とはすごい👏不来方は盛岡の別称なので嬉しい限り。
天馬さん (8bszqp0p)2023/1/14 10:49削除
寒いだけじゃなく実はいい所だった!
まりさん (8aq66elk)2022/12/31 22:14削除
たくさんの迷句の中に、ひょいっと名句が生まれることも。
そんな麦っこを、来年もよろしくお願いいたします。
マイペースで~!
不来方さん (8b8tdv36)2022/12/31 09:38削除
天馬さん いつもありがとうございます♪姫神山・岩手山とも神々しいの一言。今のところ無神論者ですが、つい手を合わせたくなりました。

皆さん 今年一年何とか麦っこ頑張れました。コロナとインフルエンザが同時進行中の吉。お気をつけて佳い新年をお迎えください。
のんさん (8b8xe2bx)2022/12/30 23:10削除
このページ初めての投稿です。
天馬さん
 いつも季節感溢れる写真をありがとうございます。
 こちらより一足二歩早く訪れる季節を、楽しませていただいています。
 来年も覗かせて頂きますので、宜しくお願い致します。
 
 皆様良い年をお迎え下さい      のん
太郎さん (8aq3zcoi)2022/12/30 13:39削除
雪山
 岩手山は三度、姫神山は一度だけ見たことがありますが、いずれも晩春から初夏の頃でした。
 冬山を近くで見たのは、谷川岳の一度だけですが、何か近寄りがたい怖れのような気持ちになりました。地域の人にとっては、雪を頂いた山も、故郷の山として大きな意味をもつのでしょう。
 啄木の「何となく今年はよいことあるごとし」の歌のような元日が迎えられますように。
こがめさん (8atk17xs)2022/12/29 13:38削除
天馬さんへ

岩手山の素敵な写真いいな。
山形は大雪、奥羽山脈を挟んでこうも違うのかと・・・。
義姉からは雪掻きが大変との電話。

いつも素敵な写真ありがとうございます。良いお年をお迎えください。
天馬さん (8bszqp0p)2022/12/28 14:49削除
自宅からの姫神山。
少し離れた電線のないところからの岩手山。
皆様良い年をお迎え下さい
( •ᴗ•)*♪
まりさん (8aq66elk)2022/12/26 14:03削除
削除できない場合
その投稿は放っておけばいつかは視界から消えます。

パスワードを替えてみたらどうでしょうか。
何らかの関係でパスワードが働かなかったのかもしれませんので。
パスワードは一度登録するとそれが記憶されていて毎回入れる必要はないはずですが、
心配でしたら、最初のうちはその都度入れてもいいかも。

訂正の場合
まず投稿をコピー(保存すれば安心ですが)しておいて削除。
再度投稿。その投稿画面で訂正できます。
保存した場合は、保存画面で訂正してそれを再投稿。

皆様どうぞよいお年を。
返信32
まりさん (8md9x4e2)2023/3/12 20:50 (No.52468)削除
585回麦っこお題

蝶(初蝶・その他傍題含む)



雑詠

よろしくお願いいたします。
返信
智美さん (8kfpafc0)2023/3/19 23:16削除
第585回 投句

利根川がのらりとくねり初蝶来
山桜中辺路から行く熊野道
涅槃図に猫門開いたままの寺
のんさん (8b8xe2bx)2023/3/19 19:05削除
第585回 選句

円となる園児真中に白き蝶
今朝の幸せ道の辺の犬ふぐり
大物の応援演説花三分
天馬さん (8bszqp0p)2023/3/19 18:16削除
585投句

初蝶や在来工法の木の香
残雪の山の見下ろす野辺送り
春暁を静かに逝きし本田君
ちこりんさん (8mmormpc)2023/3/19 10:56削除
585回 麦っこ投句

初蝶や独りっきりの母の墓

春うららぽつり海辺の朝食屋

残照の海を眼下に花胡桃
ふたばさん (8augfkle)2023/3/18 23:59削除
第585回投句

吸水の蝶百匹の胸騒ぎ
辺境の地なる我が郷花だより
水色の星は花ニラ児に指して
不来方さん (8b8tdv36)2023/3/18 09:59削除
第585回投句

初蝶来閉校式の出入口

枕辺の灯りを消すも春愁

ひとすじの影を残して初燕
まりさん (8md9x4e2)2023/3/17 11:36削除
585回 投句

初蝶や木の匂いして建つ柱
天辺に威嚇の鴉木の芽風
蹲に水浴びる鳥目借時
こがめさん (8atk17xs)2023/3/14 12:07削除
第585回麦っこ投句

初蝶やソーラーパネル眩しくて

道野辺の梨の剪定整い来

野遊びの小さなリックに防犯ベル
ジュピターさん (8fn4dnzx)2023/3/14 12:00削除
585回投句
梨棚の下白蝶の通り道
杣小屋は山の天辺遠霞
路地裏や木箱に植えるミニトマト
返信9
智美さん (8kfpafc0)2023/3/19 23:12 (No.53713)削除
第585回 投句

利根川がのらりとくねり初蝶来
山桜中辺路から行く熊野道
涅槃図に猫門開いたままの寺
返信
返信0
ちこりんさん (8mmormpc)2023/3/19 10:51 (No.53630)削除
585回 投句

初蝶や独りっきりの母の墓

花胡桃咲くや鄙なる片辺

春うららぽつり海辺の朝食屋
返信
返信0
こがめさん (8atk17xs)2023/3/5 16:17 (No.51167)削除
第584回麦っこ題

季語 「春の海」

文字 「家」

当季雑詠
返信
太郎さん (8aq3zcoi)2023/3/13 13:28削除
武儀っこ 584 投句

春の海日はくゎんをんの大音声
わが「家」の行く末見たり朧の夜
春の雪臨『始平公造像記』

 怠けがちで済みません。体調的に頑張りが利かず、寄る年波を思い知らされています。
ちこりんさん (8mmormpc)2023/3/13 10:03削除
584回 投句

廃船の舳先の光春の海

鶯や家名を磨く桶の水

三陸の陽気な野風独活の張り


遅くなりました。宜しくお願いします。
のんさん (8b8xe2bx)2023/3/13 07:43削除
第584回 投句

向き合えば涙の色の春の海

母の居ぬ実家は遠し春の暮

恋の猫物置小屋のトタン屋根
智美さん (8kfpafc0)2023/3/13 07:10削除
第584回 投句

春の海テトラポットの乱れ積み
家系図に加える一女古刹春
家主去りミモザ静かに黄を増して
天馬さん (8bszqp0p)2023/3/12 13:20削除
584投句

宗派越ゆ追悼読経春の海
鳥引くや旧街道に沿う家並
バケツごと子山羊測られ春の牧
ふたばさん (8augfkle)2023/3/12 00:00削除
584回投句

会津八一の歌碑を辿りて春の海
売り家の庭に古木の梅の花
メジロ色の鶯餅を買いにけり
不来方さん (8b8tdv36)2023/3/10 15:52削除
第584回投句

春の海しづかに眠る月日貝

卒業歌家を出る子も残る子も

啓蟄や焦土の中の黒土帯
こがめさん (8atk17xs)2023/3/10 15:41削除
第584回麦っこ投句

鴨川駅降りて数分春の海

蕗の薹空家の庭は荒れ放題

菜の花や虻の饗宴唸る音
まりさん (8md9x4e2)2023/3/9 09:44削除
584回投句

湾を呑みサーファーを呑み春の海
菜の花や岬の駅の瓦屋根
ありふれた言葉あたたか雛あられ
ジュピターさん (8fn4dnzx)2023/3/7 12:03削除
584回投句
南より小瓶のメール春の海
家苞の鳩サブレーや春社日
耕運機を連れて家路へ春夕焼
返信10
ちこりんさん (8mmormpc)2023/2/26 09:01 (No.50091)削除
583回 お題

季語 春の雨

文字 箱

雑詠
返信
天馬さん (8bszqp0p)2023/3/6 07:28削除
583投句

屋根雪の終の一塊春の雨
廃校の百葉箱や木の根明く
春光や羽虫たちたるひと所
まりさん (8md9x4e2)2023/3/5 19:32削除
583回投句

暗がりに目が慣れて梁春の雨
からくりのほどけぬ小箱春動く
塊をほぐしたばかり蝌蚪の国
智美さん (8kfpafc0)2023/3/5 17:18削除
第583回 投句

春の雨涙流さず泣くことも
小箱から小石春風通り過ぎ
赤子笑う吊るし雛の揺れる寺
ふたばさん (8augfkle)2023/3/4 18:53削除
第583回 投句

本箱に手垢の村史春の雨
巣箱掛けし兄おとうとも根の国へ
御朱印帳を待つ髭づらに春の風
のんさん (8b8xe2bx)2023/3/4 13:00削除
第583回 投句

透明な傘が道連れ春の雨

キャラメルの箱にたんぽぽ不発弾

好物を詰めるドカ弁卒業す
不来方さん (8b8tdv36)2023/3/3 22:31削除
第583回投句

春の雨Kindleで買う直木賞

雛納む段ボール箱新しく

水草生う水の近江のそこかしこ
こがめさん (8atk17xs)2023/3/3 16:46削除
第583回麦っこ投句

枝光る真珠みたいな春の雨

紅梅や百葉箱に陽の温み

詐欺防止の呼びかけソング春のバス
ちこりんさん (8mmormpc)2023/3/2 19:57削除
二句め差し替えお願いします。

夕映えや巣箱の鳥を待つ時間
ちこりんさん (8mmormpc)2023/3/2 11:20削除
583回 投句

脈々と巨木のうねり春の雨

夕映えや子等の巣箱の待ち時間

天鵞絨の蕾の疼き大辛夷
ジュピターさん (8fn4dnzx)2023/2/28 09:35削除
583回投句
割烹の軒灯古ぶ春の雨
パンドラの箱に触るるや春の雷
墨堤の古き団子屋雛飾

太郎さんどうぞご自愛ください。今年は花粉が多く私も難儀しています。
返信10
まりさん (8md9x4e2)2023/2/27 10:12 (No.50283)削除
582回投句一覧&選句

「薄氷」
蹲踞のちりっと揺れる薄氷
薄氷を割き朝刊のオートバイ
薄氷に閉じ込もる音夜の底
薄氷を朝日にかざすランドセル
枯色の山中古道薄氷
てのひらの薄氷始業チャイム鳴る
薄氷を割って進める乳母車
薄氷の解けて一朶の雲の影
ただ訳もなく薄氷を踏みにけり

「浮」
郷の味ひろっこ浮ける醤油汁
背の高き浮標の踊る春の海
バンクシーの赤い風船壁に浮く
来し方の大きな浮沈朧月
柳絮飛ぶ浮力を競いあうごとく
ポタージュの浮き実のみどり春動く
老教授の講義「浮舟」浅き春
浮氷ほんにこの世は生き難し
佐保姫の遊ぶ浮洲や沼光る

「楽器」
ハモニカに口笛合わす春帽子
墨堤にハモニカ少年風光る
神楽笛おらほの村に春が来た
春浅きひと日は琴に向かいおり
オカリナのアニーローリー浅き春
丹田をピアノの余韻卒業す
落椿五臓突き抜け平家琵琶
鳴らぬ笛律儀に構え古雛
伸びしろは爪の先ほどクロッカス
返信
まりさん (8md9x4e2)2023/3/5 19:15削除
582回選句

〇蹲踞のちりっと揺れる薄氷
薄氷がちりっと音を立てて割れる・揺れる…私も経験したことがある気がします。「ちりっと」が詩的でかつリアル。

〇薄氷を割き朝刊のオートバイ
夜の冷え込みで凍った水溜り。それをパリパリと割ってゆく朝刊のオートバイ。「割く」が最も適した言葉なのかはわかりません。

◎神楽笛おらほの村に春が来た
この手放しの明るさ・元気さは嬉しいです。季語がばっちり効いています。

〇落椿五臓突き抜け平家琵琶
寺の本堂で聞いた平家琵琶の平家物語。バチでかき鳴らした最初の音が五臓を突き抜けたのを思い出しました。まっ赤な椿がぼとりと落ちそうな音でした。
智美さん (8kfpafc0)2023/3/5 17:59削除
〇てのひらの薄氷始業チャイム鳴る
 寒い朝の始業前の賑やかな教室。掌に溶けていく氷を見つめる少年?少女?
 小学校時代の教室が思い浮かんできました。

〇バンクシーの赤い風船壁に浮く
 話題のバンクシーをすぐに取りいれて一句に仕上げるのが凄いなと思いました。

◎鳴らぬ笛律儀に構え古雛
 ほんとにそう!我が家の女雛は扇がないのにいつも両手を胸の前に
 合わせていました。
ふたばさん (8augfkle)2023/3/5 00:01削除
第582回選句

〇薄氷に閉じ込もる音夜の底
 時間の経過が見えるように描かれていて気になる一句でした。

〇ただ訳もなく薄氷を踏みにけり
 今はよけて通るだけですが、この気持ちにとても共感できます。脱力感に魅かれました。

◎ポタージュの浮き実のみどり春動く
 季語の使い方が巧みですね。

〇オカリナのアニーローリー浅き春
 素朴で温かみのあるオカリナの音色。スコットランドの歌とオカリナの取り合わせに意外性を感じました。
ジュピターさん (8fn4dnzx)2023/3/4 17:50削除
582回選句
◎薄氷の解けて一朶の雲の影
 薄氷がほどけて現れた水面に、ふっくらとした雲が一つ映し出されている。早春の爽やかさのみなぎる句です。
〇てのひらの薄氷始業チャイム鳴る
 この薄氷は登校の途中で見つけたものだろうか。始業ベルが鳴り、てのひらで無残に消えてゆく。
〇薄氷を割き朝刊のオートバイ
 近頃は薄氷を見る機会も殆んどないが、早朝の新聞配達夫はオートバイで薄氷を割きながらやって来るのだろう。
のんさん (8b8xe2bx)2023/3/4 11:57削除
第582回 選句
〇薄氷に閉じ込もる音夜の底
 氷は音を閉じ込めながら凍っていく。発想が詩的で。

〇薄氷を朝日にかざすランドセル
〇てのひらの薄氷始業チャイム鳴る
 どちらも低学年の児童、始業前の教室の楽しげな様子が伝わります。

〇バンクシーの赤い風船壁に浮く
 「バンクシー」目の離せない画家です。兼題「浮」からこの句が出来るとは、飛躍が素晴らしいです。

◎ポタージュの浮き実のみどり春動く
 日常の一ページを上手く切り取っています。本当に春は動き出す感じがあります。「春動く」いつか使ってみたい季語です。

〇神楽笛おらほの村に春が来た
 口語、それも方言、春到来の素朴な喜びを感じます。
ちこりんさん (8mmormpc)2023/3/4 11:50削除
582回 選句

まずは、楽器のお題を見逃して、関係無い句を投句してしまいました。凡ミス続きでお恥ずかしいです。


○蹲踞のちりっと揺れる薄氷

細やかな観察眼と感性が素敵です。中七「ちりっと揺れる」は中々出てきません。

○ただ訳もなく薄氷を踏みにけり

同じような経験はみな持っている事でしょう。年齢により思いは様々。踏み止まる齢となりました。


◎バンクシーの赤い風船壁に浮く

浮くで色々考えましたが、バンクシーまで発想を飛ばした所が凄い。掲句は、心の景としての赤い風船かと思います。静かなる反戦句。下五は、浮かぶ壁とするより、臨場感がありますね。


○鳴らぬ笛律儀に構え古雛

雛の姿と歴史に思いを馳せている作者の目線が詩的です。具体の描写に深みを感じる一句です。
こがめさん (8atk17xs)2023/3/1 18:52削除
第582回麦っこ選句

○薄氷を割き朝刊のオートバイ
朝早くて氷の割れる音が大きかったのかな。早起きですね。

○てのひらの薄氷始業チャイム鳴る
登校児が氷がきっときれいだったのだろう。氷をとって(拾って)、見ながらゆっくり歩いていると始業のチャイムがなってしまった。慌てている景が浮かんできます。

◎ポタージュの浮き実のみどり春動く
「 春動く」の季語の取り合わせがいいなと思います。「浮き実のみどり」から春らしく新鮮さを感じます。

○神楽笛おらほの村に春が来た
「おらほの村」の表現がほっこりします。方言?かな。「神楽笛」を聴いてみたいな。その土地の行事は大切にしたいものです。
不来方さん (8b8tdv36)2023/2/27 14:49削除
第582回麦っこ選句

◯ 薄氷を割き朝刊のオートバイ
 薄氷の時間軸や「割き」の描写が的確。

◯ 柳絮飛ぶ浮力を競いあうごとく
 小説で読む旧満州の柳絮を想像した。スケールが大きい。

◯佐保姫の遊ぶ浮洲や沼光る
佐保姫が山から下りて来て浮洲にも遊ぶ場面設定がユニーク。「沼光る」で早春の空気感がよく伝わってくる。

◎神楽笛おらほの村に春が来た
 待ち侘びた春の到来を喜ぶ「おらほ」の北国の方言が生きている。いよいよ春祭りの神楽笛の練習も始まる。

◯ 鳴らぬ笛律儀に構え古雛
 我が家の雛も律儀に(無い)笛を構えています。
返信8
まりさん (8md9x4e2)2023/2/20 15:01 (No.49415)削除
581回投句一覧&選句

「風光る」
風光る角のぶつかり合う牧野
法華経寺弁柄の塔風光る
世良公則チケット完売風光る
勝因は最後のシュート風光る
船名に漁師の気概風光る
風光る二重廻しのポニーテール
風光る河川敷の野球場
みどり児のロイド眼鏡や風光る
風光る丘に人魚のモニュメント
哄笑の女子高生や風光る

「輪」
早春や輪ゴム鉄砲競う声
春浅き安房の港江焚火の輪
この冬を越えし四輪駆動なり
輪になって後ろの正面春の風
春の風仲良し二人に天使の輪
先駆けて先ず一輪を梅古木
料峭や光を撥ねてゆく銀輪
飛びそこなう輪ゴム鉄砲チューリップ
風光る輪中の里の大畷
石打って生まるる水輪春愁

「雑詠」
輪読の藤村詩集春はじまる
早春の光弾ける水車
髭淡き六年生の卒業歌
小流を跳んで菜の花畑かな
春風や地を踏みしめる布の靴
渋滞の国6ひらひらと黄蝶
根雪解け長くなりたる立ち話
冴返る岸へと光る水脈のV
鳴き龍の射貫く眼光冴返る
泡沫に水底の声草萌ゆる
返信
天馬さん (8bszqp0p)2023/2/28 17:44削除
581選句

○船名に漁師の気概風光る
「かおり丸」と妹の名前をつけた若い漁師さんがいました。掲句の意とは異なりますが、船名で思い出しました。
○風光る丘に人魚のモニュメント
○料峭や光を撥ねてゆく銀輪
◎小流を跳んで菜の花畑かな
当地、まだ雪捨ての山は高く、菜の花畑をうらやましく想像して読みました。

帯状疱疹になり次いで謎の頭痛で休んでました。
選句遅れと今回の投句なし誠にすみません。
太郎さん (8aq3zcoi)2023/2/27 17:27削除
麦っこ 581 選句
「風光る」
〇風光る丘に人魚のモニュメント 
「輪」
〇輪になって後ろの正面春の風
◎風光る輪中の里の大畷
 「輪中」は、東京23区の三倍近い広さの堤防に囲まれた地域である。
 「畷」は、広辞苑によれば②田の間の道。あぜ道。③まっすぐな長い道…であるが、掲句の「大畷」は、③の意味か、あるいは「堤防」のことを言っているのではないかと思う。
 吹く風もきらめき、風にゆらぐ風景もまばゆく明るい。そんな輪中地帯を俯瞰的に見渡して、春になったのだと全身で感じているのである。

「雑」
〇髭淡き六年生の卒業歌
〇根雪解け長くなりたる立ち話

 遅くなった上に、手抜きの選評で済みません。
 発熱がつづくので、明日、発熱外来を受診しようと思います。
智美さん (8kfpafc0)2023/2/26 23:02削除
581回 選句

〇風光る角のぶつかり合う牧野
 いち早く春を感じ、生命力溢れる動物たちの躍動が目に浮かぶ。

〇輪になって後ろの正面春の風
 「輪になって」の軽やかさと「春の風」が何といっても素敵。

◎石打って生まるる水輪春愁
 「石打って」から連想する下五に「春愁」が来るのが凄いです。

〇鳴き龍の射貫く眼光冴返る
 鳴き龍の眼光と「冴返る」の季語がマッチしていると思います。
ふたばさん (8augfkle)2023/2/26 13:38削除
581回麦っこ選句

〇船名に漁師の気概風光る
 船主は若い漁師でしょうか。どんな船名か興味がわいてきます。勢いがありますね。

〇みどり児のロイド眼鏡や風光る
 つい先だって、友人から一歳児のロイド眼鏡の写真がラインで届きました。「ちびっこギャングみたい」と返信しました。よくある光景なんですね。この句に思わずニンマリしてしまいました。

◎料峭や光を撥ねてゆく銀輪
 まだ寒い風を突っ切って走る自転車。躍動感があります。荒い息遣いまで伝わってきます。

〇冴返る岸へと光る水脈のV 
 真鴨かしら?オシドリかしら?想像が広がります。
ジュピターさん (8fn4dnzx)2023/2/25 17:25削除
581回選句
◎風光る輪中の里の大畷
 輪中の里一面に光があふれているように感じられます。
〇小流を跳んで菜の花畑かな
 すぐ先の小流れを越えると菜の花畑。まさに春ならではの句。
〇根雪解け長くなりたる立ち話
 この句も春が来たという喜びが感じられます。
のんさん (8b8xe2bx)2023/2/25 17:24削除
第581回 選句
〇料峭や光を撥ねてゆく銀輪
 春は光から、風は冷たくても目で春の訪れを見つけたのでしょう。

〇輪になって後ろの正面春の風
 園庭の風景でしょうか?こんな頃もあったなと懐かしい思い出が蘇ります。

〇飛びそこなう輪ゴム鉄砲チューリップ
 子供が小さい頃はよく遊んだのに「輪ゴム鉄砲」長くやっていないのに気が付きました。「チューリップ」納得の季語です。

◎小流を跳んで菜の花畑かな
 視線が足元から菜の花畑に大きく広がる。「跳んで」に春の躍動感があります。

〇泡沫に水底の声草萌ゆる
 息をひそめていた池が少しづつ活動を開始したのでしょう。「草萌ゆる」への展開が景を鮮やかに広げています。
まりさん (8md9x4e2)2023/2/24 22:11削除
581回選句

〇風光る角のぶつかり合う牧野
生命力あふれる春。鈍い音まで聞こえそう。(現実にはまだまだ冬)

〇輪になって後ろの正面春の風
後ろの正面が春の風というのがいいですね!

○風光る輪中の里の大畷
「輪」のお題で「輪中」を使える人は不来方さんぐらいでしょう。教科書の知識だけでは「風光る」と合わせられません。

◎石打って生まるる水輪春愁
ちこりんさんらしい屈折のある句。シンプルで分かりやすい景で心の屈折を詠むのは難しい。私も時にはこういう句を作ってみたいのですが、ない袖は振れませぬ。

〇小流を跳んで菜の花畑かな
この明るさ素直さは魅力的。菜の花畑への着地がさわやか。

〇鳴き龍の射貫く眼光冴返る
鳴き竜は全国に30余あるとか。射貫く眼光がいいですね。
こがめさん (8atk17xs)2023/2/24 14:24削除
第581回麦っこ選句

○輪になって後ろの正面春の風
楽しそうに遊んでいる景が浮かんできます。鬼さんも後ろの人を当てることができたように感じます。

○飛びそこなう輪ゴム鉄砲チューリップ
「チューリップ」の咲いている場所の近くで遊んでいるのだろう。そして跳びそこなった輪ゴムがチューリップに落ちたのかな。

◎冴返る岸へと光る水脈のV
「水脈のV」の表現がいいなと思います。鳥たちが元気に岸へ向かっている様子が見えます。

○泡沫に水底の声草萌ゆる
「水底の声」からのどんな声をイメージしたのだろうか。「草萌ゆる」からきっと嬉しそうな声だろうな。
ちこりんさん (8mmormpc)2023/2/24 13:45削除
581回 選句

◎料峭や光を撥ねてゆく銀輪
春寒の中でも殊に寒さを感じる料峭という季感と光を撥ねる銀輪の硬質な感覚が響き合っていると思います。
車輪ではなく銀輪と表記した所にも、作者のイメージへのこだわり(いい意味で)が見え、五感を刺激されました。

○風光る輪中の里の大畷
地理で学習した輪中という土地に改めて触れ、そこでの暮らしに興味を惹かれました。春の訪れと共に色々な事が動き出す気配と大きな景が浮かびます。

○小流を飛んで菜の花畑かな
爽やかな春の景。小流れの音、鮮やかな黄色の世界が広がります。

まりさん、今回も句の取りまとめありがとうございます。多忙な中頭が下がります。
不来方さん (8jrlsjab)2023/2/20 20:56削除
第581回選句

◯風光る角のぶつかり合う牧野
 牛の放し飼い。生々しくてリアルな牧野の春。
◯輪になって後ろの正面春の風
 「後ろの正面」の句は偶に見かけるし作ったこともあるが、「春の風」には爽やかな意外性がある。
◎石打って生まるる水輪春愁
 池や川に石を打つ行為は何らかの心の鬱屈感があって成立する。生まれた水輪はまるで春愁が広がっていくようだ(「投げて」の方がより鬱屈感が出そうだが)
◯鳴き龍の射貫く眼光冴返る
 「射貫く眼光」の質感が季語にとてもよく合っている。
返信10