ま
まりさん (8md9x4e2)2023/4/23 18:52 (No.57610)削除590回投句一覧&選句
「黄砂」
少年に出奔の野望霾曇
焦げすぎた朝の食パン黄砂来る
戦争の残る昭和の黄砂降る
馬乳酒の味の記憶や黄沙来る
つちふるや日は金色の鎧着て
黄砂来る予報確かめ保護眼鏡
つちふるや短針揃う世界時計
つちふるやフェリー埠頭の赤き闇
霾るを洗い清めるように雨
墨東のペンシルビルやつちぐもり
「深」
春雨や深夜の音は救急車
春暁牧を貫く深轍
納棺師の深まなざしや春時雨
古書店の主のあくび春深し
深深と候補者の辞儀陽炎えり
足踏みのオルガンの音や春深む
春深し長汀に潮満ちてくる
春愁い深く窪んだ写楽の目
山藤の山への思い深きかな
霞立つかささぎの里深々と
「雑詠」
葉桜や凛と石州鬼瓦
花は葉に子供歌舞伎の立稽古
退院の少女目深に春帽子
戦没者の作曲聴くや行く春に
デデッポを尋ね行く旅春深し
葉桜となりし校庭投票す
行く春や硝煙に哭く地球の子
放流の稚魚3グラム風光る
書作品の提出焦る春の夢
惜春を巻きこんでゆく卵焼き