麦船橋句会

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まりさん (8md9x4e2)2025/6/9 09:02 (No.134136)削除
701回投句一覧&選句

時の日
時の日や何事もなき日の暮るる
時の日の水平線の呑む夕日
時の日の時計に埃廃ホテル
時の日の時計回りの観覧車
時の日や修司の時計ボンと鳴り
時の日や朝の目覚めの電子音
時の日の浜辺に光るガラス瓶
時の日の過ぎゆく夙さ生も死も
時の日の刻を忘れた天袋   
時の日の客のまばらな美術館


遠雷や列の乱れる千字文
柏餅破れ乱世というべきか
夏空や土煙立つ乱打戦
太鼓祭復興祈願の乱れ打ち
乱雑に脱がれ汗の子のスニーカー
乱れ散る泰山木や夜半の雨
夕河鹿湯治の宿の乱れ箱 
ため息の散乱梅雨に入ったとか
乱読の清張五月闇深し
水平線掻き乱す風ラベンダー

辛い
万緑やスパイスを足すカレー鍋
塩っ辛いコメント金魚裏返る
墓守のいぬ古里や著莪の花
冷酒は辛口もよし同期会
緑陰や膝痛防ぐストレッチ
辛口のスマホ川柳冷素麺
遠雷の後からやって来る辛味
チョリソーのじゅっと弾けてソロキャンプ
回転寿司のワサビに咽て梅雨に入る
暇人の額に汗して担担麵
返信
まきえっとさん (8rypn25h)2025/6/22 15:21削除
第701回麦っこ選句

○時の日の浜辺に光るガラス瓶
きれいな景です。強くなった日差しはガラス瓶を美しく光らせてくれます。

○時の日の刻を忘れた天袋   
まさしく「刻を忘れた天袋」ですね。家を建て替えるときに子供の時のいろいろがしまってありました。

◎塩っ辛いコメント金魚裏返る
よくこういうコメントをもらっています。ありがたいことです。「金魚裏返る」への展開がいいですね。飄々とした感じがします。
ちこりんさん (8mmormpc)2025/6/17 13:04削除
701回 選句

○時の日の修司の時計ボンと鳴り

「売りにゆく柱時計がふいに鳴る横抱きにして枯野ゆくとき」の歌。ややつきすぎ感はあるものの、作者の心情と共鳴する時計のボン。あの時計は、今どこで時を刻んでいるのでしょうね。

○太鼓祭復興祈願の乱れ打ち

太鼓のあの音と躍動感は力を与えてくれる。さまざまな被災の地へ届け。

○チョリソーのじゅっと弾けてソロキャンプ

リアルな景と匂い、そして薪の炎が五感を刺激します。

◎塩っ辛いコメント金魚裏返る

謂わゆるぐさっときたコメントかな。後味も悪そう。金魚への展開がいいですね。
のんさん (9jnxskgj)2025/6/15 19:15削除
第701回 選句

〇時の日の浜辺に光るガラス瓶
 浜に流れ着いたガラス瓶でしょうか、中に異国からの手紙が入っているかもしれません。
〇時の日の刻を忘れた天袋
 この頃は天袋を覗くのは難儀です。何を入れたのか我が家も時間が止まったままです。
◎夕河鹿湯治の宿の乱れ箱
 せせらぎが聞こえて来そうな宿、「乱れ箱」に昭和の良い所がそのまま残っていそうで、行ってみたくなります。
〇墓守のいぬ古里や著莪の花
 実家が無くなり、墓を守る人も、季語に共感しました。
〇チョリソーのじゅっと弾けてソロキャンプ
 チョリソー美味しそう、缶ビールも絶対に開けていそうです。この後は星空を眺めて、充実の一人時間ですね。
天馬さん (9ew8kwc6)2025/6/15 16:12削除
701回選句

○時の日の時計回りの観覧車

○時の日の浜辺に光るガラス瓶

◎時の日の刻を忘れた天袋 
天袋、昔借りていた家にはありました。不便な収納スペースなので、ほぼ使わないものを入れてました。確かにそこに時は流れていませんでした。
  
○夕河鹿湯治の宿の乱れ箱 

○墓守のいぬ古里や著莪の花

コメント少なくてすみません。
ジュピターさん (8pymq0ud)2025/6/15 10:36削除
701回選句
◎時の日の時計回りの観覧車
 兼題「時の日」で時計か・・と思いきや、時計回りの観覧車で納得。
〇時の日の浜辺に光るガラス瓶
 時の日とガラス瓶との距離感が程々。
〇塩っ辛いコメント金魚裏返る
 諧謔味が効いており、記憶に残る一句。
〇水平線掻き乱す風ラベンダー
 作者の立ち位置から見た、景色の広がりと遠近感。
ふたばさん (8augfkle)2025/6/14 22:57削除
701回選句

○時の日や何事もなき日の暮るる
 一日を平穏に過ごした安堵感に共感しました。

〇時の日の時計回りの観覧車
 時の日と観覧車の時計回り。気付きの面白さに惹かれました。

◎夕河鹿湯治の宿の乱れ箱 
 乱れ箱がいかにも湯治の宿らしいですね。河鹿の美しい鳴き声が聞こえるようです。

○墓守のいぬ古里や著莪の花
 わたしの実家もいずれ同じようになるでしょう。墓地の周囲には土留め?にアヤメが植えてあります。
まりさん (8md9x4e2)2025/6/14 11:35削除
701回選句

○時の日や何事もなき日の暮るる
シンプルで当たり前句とも言えますが、ついつい共感します。「何とかの日」は限りなくありますが、大抵は自分の生活には何の関係もなく過ぎていきます。むしろ何事もないことにほっとする日々。
人生経験とともに、詠む俳句が変わり、読み方も変わってくるのは自然なことでしょう。

◎時の日の時計回りの観覧車
時の日と時計回りをあえてぶつけた機知!こういう機知はいいですね。

〇夏空や土煙立つ乱打戦
何の衒いもない句。フクザツであればいいわけでなし。
句材や言葉が生き生きしていなければなりませんが。季語は再考の余地がありそう。

〇墓守のいぬ古里や著莪の花
よくある句のパターンとも言えますが。こういう句は季語に共感できるかどうかで決まる気がします。
我家では早春に咲くのですが、あちこちのお寺では初夏に咲いています。
江戸時代から棲み着いている私の実家の墓も土地も多分、じきに守る人が絶えるでしょう。

・冷酒は辛口もよし同期会
「も」ではなく辛口がと限定したほうが締まると思いますが。
・チョリソーのじゅっと弾けてソロキャンプ
食べ物の句は美味しそうに作るべしと言われます。熱々の粗びきソーセージのあの辛さとおいしさが伝わります。
弾けての「て」を外した方が締まりませんか。オノマトペの工夫で字数を合わせて。
「て」の句をたくさん作ってしまう私ですが、他人様の句にはいつもひっかかります。
こがめさん (8atk17xs)2025/6/13 21:42削除
第701回麦っこ選句
〇時の日の時計回りの観覧車
観覧車をよくみているな。観覧車に乗りながらいろんなことを考えながら時間を過ごしているように感じます。

〇時の日の客のまばらな美術館
美術館の様子が浮かんできます。客が少なくても絵の好きなかたがじっくりと見て回って
いるように感じます。

〇太鼓祭復興祈願の乱れ打ち
復興への願いの太鼓際の勢いを感じます。

◎墓守のいぬ古里や著莪の花
捨て墓をよく見かけます。きっと墓だけが残っているのだろうか。現実感が伝わってきます。季語が効いています。

〇冷酒は辛口もよし同期会
お酒のすきなかたは辛口でもいいのかな。それとも甘口なのかな。呑めないので・・・でも楽しそうですね。
太郎さん (923uhctl)2025/6/10 17:54削除
麦っこ701選句
「時の日」
◎時の日の時計回りの観覧車
 当意即妙の句である。「時の日の観覧車」が「時計回り」をしていることに気付いて即、句にしたのであるが、句意も五・七五の調べも、ト音の頭韻も味わい深い句となった。
 選に当たって、何度も音読して調べを味わった句である。
○時の日の浜辺に光るガラス瓶
二物が即きすぎず程よい距離で魅力的な句になっている。「時の日の」は、「浜辺」を修飾するのでは無く、「ガラス瓶」に係ると考えるべきだろう。そうすれば、「時の日の/浜辺に光るガラス瓶」のように上五の下が軽い休止となって、一句全体に快いリズムと調べが生まれるだろう。上五の「の」は、往々にしてそんな働きをするのである。
 このことは、「大寒の一戸もかくれなき故郷 飯田龍太」を例に何人かの俳人が説いていることでもある。

「辛い」
○塩っ辛いコメント金魚裏返る
 「塩辛いコメント」は、いい当たりのヒットとはいかずポテンヒットのような表現だが、なんとなく言おうとしていることは伝わってくる。「金魚裏返る」は、既視感のある表現だが、この句の場合ほかのどんな表現よりもぴったりと句意を伝えているように思う。「裏返る」は、泳ぎの一姿態ではなく終焉を表しているのだろう。取り合わせのよい句と思う。
○チョリソーのじゅっと弾けてソロキャンプ
 ソロキャンプの一語に惹かれて頂いた。中二、高二の二回、四~五人のメンバーで三つ峠・河口湖・山中湖を徒歩で巡るキャンプを経験した。ほかのどのキャンプよりも過酷で、その分愉しみも多い3泊4日であった。以来いつかはソロキャンプをしたいと思いつつ、運転免許を返上し、杖から歩行器、車椅子へと身体状況が推移して、TVでキャンプを見たり折込広告のキャンプ用品を見たりして、想像の世界に遊ぶのみとなった。チョリソは、食したことがないが、飯盒の蓋で馬鈴薯とベーコンを炒めたのを思い出す。
不来方さん (8b8tdv36)2025/6/9 10:39削除
第701回選句

◯時の日の浜辺に光るガラス瓶     
 このガラス瓶には何が入っていてどれくらいの歳月を経て浜辺に辿り着いたのだろうか?時間軸にロマンあり。

◯時の日の客のまばらな美術館
 時間が消え去ったような美術館の雰囲気がいい。

◯ 夏空や土煙立つ乱打戦
乱打戦の草野球の熱気が草煙に濃縮されている。歓声が晴れ渡った夏空に吸い込れてゆくようだ。

◯塩っ辛いコメント金魚裏返る
 取合せが面白い。金魚が裏返るくらいの辛口コメントとはどんな状況なのだろうか。しかも「塩っ辛いコメント」とは?

◎墓守のいぬ古里や著莪の花
 テーマ「辛い(つらい)」ではなく「辛い(つらい)」の句。類想はあっても著莪の花に託した寂寞とした故郷喪失感は心の琴線に響いて来る。
返信10
こがめさん (8atk17xs)2025/6/8 11:01 (No.134095)削除
702回麦っこ お題

季語  草茂る

文字  木 

テーマ 身につけるもの
返信
太郎さん (923uhctl)2025/6/15 21:11削除
麦っこ702投句
湾口へ向く砲台の址草茂る
なんじゃもんじゃの木が咲いた紅綠忌
桜桃忌長袖を着て街に出る
まきえっとさん (8rypn25h)2025/6/15 15:46削除
第702回麦っこ

枝わかつ水路のひかり草茂る
材木の積まれ梅雨雲なお低く
大判のハンカチたまに涙拭く
こがめさん (8atk17xs)2025/6/15 15:14削除
第702回麦っこ投句
売れ残る市街の宅地草茂る

夏木立迷路の孤独これも良し

水遊びオムツちらつく笑顔の子
天馬さん (9ew8kwc6)2025/6/15 13:44削除
702投句

草茂る限界集落に歩道
夏木立リュックを降ろす三合目
弔問の喪服の真珠梅雨しとど
ふたばさん (8augfkle)2025/6/14 20:07削除
第702回麦っこ投句

草茂る先祖の墓のまろき石
木道を渡る鈴の音水芭蕉
サングラス掛けて赤子に泣かれけり
まりさん (8md9x4e2)2025/6/14 20:00削除
702回投句

反芻の牛の風格草茂る    
木苺やなべて甘酸っぱい昔
朝曇スナップボタンの凸と凹
のんさん (9jnxskgj)2025/6/14 19:55削除
第702回 投句

無住寺の長き日月草茂る
夏料理すりこ木しかと当り鉢
特売の牛肉を買うサングラス
ハナハナさん (8wiupmvi)2025/6/14 19:08削除
702回投句
草茂る途切れ途切れの川の音
人家果て木霊の返る夏の山
無い無いと眼鏡の行方蝸牛

長い事お休みさせて頂きました又宜しくお願い致します
不来方さん (8b8tdv36)2025/6/14 12:46削除
第702回投句

防人の歌碑の墳丘草茂る

父の日や泰山朴を仰ぎみる

羅やきのうの己脱ぎ捨てる
ちこりんさん (8mmormpc)2025/6/14 07:16削除
702回 投句

捨てられし墓石の山や草茂る

夏空へ放つ木遣のおんやりょう

香水の仄と机上のメッセージ
ジュピターさん (8pymq0ud)2025/6/9 17:06削除
702回投句
草茂る尾瀬の先なる至仏山
夏草を刈る木曜の開業医
旅先の夜毎に洗う夏帽子
返信11
まりさん (8md9x4e2)2025/6/2 09:56 (No.133823)削除
700回投句一覧&選句

麦秋
湖渡る勝鬨の声麦の秋
麦秋の風を奏でる本坪鈴
麦秋や逡巡運ぶおぼろ雲
御仏を訪ね湖北へ麦の秋
山裾へ一本道や麦の秋
どこまでの湖どこまでも麦の秋
麦秋をゆけば小高き開墾碑
銀輪の琵琶湖一周麦の秋
渋滞の国道6号麦の秋
しんがりは吊り橋の上麦の秋


ゆりの木の花に雨だれ溜まるのかな
五百羅漢のさざめき合いてさみだるる
緑雨なり傘は差さずに少年等
雨もよい蕨の灰汁を抜く時間
夕刊の雨除けカバー夏つばめ
大釜で茹でる竹の子外は雨
鳴きたくて日照雨呼んだか雨蛙
雨雲の遠のき朴の花真白
うつし世をはみ出す雨後の花楓
水紋に彩なす光若葉雨

雑詠
万の句を蔵してうねる麦の波
はつなつや胸乳ゆたかに漁れる
青葉闇かつて畜産試験場
腕を組む余白の時間梅は実に
走り梅雨健康ランドへ老姉妹
海知らぬ祖母の生涯桑苺
ぼうたんの蕾にひと刷毛の緋色
薫風やキャリーバックの二重奏
感涙へあと一頁夜の新樹
図書館は駅から五分梅雨近し
返信
ちこりんさん (8mmormpc)2025/6/13 19:56削除
700回 選句

選句が遅くなりごめんなさい。気をつけたいと思います。

○どこまでの湖どこまでも麦秋
少し理屈めきますが、リフレインが効いています。単なる広がりではなく、抑えきれない思いが伝わってきました。閉塞感も。のともの助詞の違いも巧みな句。

○うつし世をはみ出す雨後の花楓
花楓は晩春の季語。いかにも羽根を開いて飛んでいきそう。うつし世をはみ出すの措辞に惹かれました。

◎はつなつや胸乳ゆたかに漁れる

生命力溢れる一句。海女の姿か海に生きる女達の姿でしょう。漁れるという言葉は、流石ですね。
三鬼の「おそるべき君らの乳房夏来る」を想起しました。彼は、自由を得た女性たちのパワーを表現したとか。女性が描くとともすると哀しみの方に傾きがちですが、男性の詠む乳房は力強いですね。
まきえっとさん (8rypn25h)2025/6/10 21:38削除
第700回麦っこ選句

○どこまでの湖どこまでも麦の秋
○銀輪の琵琶湖一周麦の秋
情景が目に浮かびます。「麦の秋」は旅愁を感じます。

○青葉闇かつて畜産試験場
畜産試験場を持ってきたことの意外性がいいですね。

◎海知らぬ祖母の生涯桑苺
山を知らない人も居ただろうと思いました。そんな時代だったのでしょう。
太郎さん (923uhctl)2025/6/10 13:27削除
麦っこ700選句
「麦秋」
○湖渡る勝鬨の声麦の秋
 麦秋の琵琶湖畔にいて広々と広がる水面を見霽かすと、どこからか勝ち鬨の声が聞こえる。声の源は賤ヶ岳古戦場あたりであろうか。そのあたりの空からいにしえの戦の干戈を交える音や鬨の声が幻聴となって聞こえてくるのである。
○しんがりは吊り橋の上麦の秋
かつて、一学年約600人の中学生が、林間学校で富士五湖を訪れたことがある。その二日目の日程で紅葉台に登った。先頭、中程、後尾にトランシーバーが配置され、連絡を取り合っていたのだが、先頭が山を下りて後尾を呼び出したところ、後尾は未だ山に取り付いていなかった。前団に引っ張られ後団から押し上げられて忙しい登山になったにもかかわらず、事後の感想文には、富士山を中心とする絶景が残したインパクトのある印象が綴られていた。
 掲句は、生徒たちの一列になって渡る吊り橋の景であろう。殿の者たちは決して急がず慌てず悠々と谷川の景色を愉しんでいるのだ。。
「雑詠」
◎海知らぬ祖母の生涯桑苺
 わたしも、母方の祖母の生涯を思うと、なにか重いものに胸を圧されるような気持ちになる。まだ海が近かった船橋に生まれ育ちながら、死ぬまで海を見なかった。読み書き算盤も学んだことがなく、貧しい兼業農家で黙々と農事や家事に勤しむだけで何が楽しみだったのか。ただ初孫のわたしは殊の外かわいがってくれた。釜肌の焦げ飯で作った大きな握り飯や手間暇かけて煮た小豆、松葉で炊いた味噌味の炒り卵などの匂いや味は今も忘れない。
 桑苺は無かったが、ばばが摘んでくれた俵茱萸は、渋いものはなくみんな甘かった。
○ぼうたんの蕾にひと刷毛の緋色
 この「ぼうたん」は、白牡丹以外の何物でもない。そのたっぷりと大きな蕾に、さっと刷いたような緋色、この色の対比が印象的である。
 「白牡丹といふといへども紅ほのか」は、よく知られた虚子の句あるが、これも大ぶりの白牡丹に現れた白と紅の取り合わせが印象的で、ほのかな紅が牡丹の白を一層引き立てている。
 「ぼうたんの」の句でも、「ひと刷毛の緋色」が、句では言っていない牡丹の「白」色を一層強める働きをしているのである。
ジュピターさん (8pymq0ud)2025/6/9 09:17削除
700回選句
◎はつなつや胸乳ゆたかに漁れる
 漁を生業として生きる者には、他者にはない容姿の美しさがある。八頭身などといった無機質なものとは異なる。
〇海知らぬ祖母の生涯桑苺
 桑苺が郷愁を誘う。今年は山桑が大豊作で、散歩の都度収穫し、焼酎漬けにして桑酒にしています。
〇雨もよい蕨の灰汁を抜く時間
 この時間は決して短くはないと思うが、作者は何をしているのだろう。多分俳句を捻っているのだろう。
〇万の句を蔵してうねる麦の波
 風にそよぐ麦畑を見ていると、いくらでも俳句の発想が湧いてくる。いい句ができるといいですね。
のんさん (9jnxskgj)2025/6/8 17:35削除
第700回選句

〇どこまでの湖どこまでも麦の秋
 どこまでもの繰り返しが景を広げています。

〇銀輪の琵琶湖一周麦の秋
 明るい光と爽やかな風を感じる句です。

〇雨もよい蕨の灰汁を抜く時間
 山菜は手間のかかるもの、でもその時間を楽しんでいる心のゆとりが感じられます。

〇青葉闇かつて畜産試験場
 シンプルなのですが、良い季語が場所の歴史を感じさせます。

◎海知らぬ祖母の生涯桑苺
 私たちの祖母世代は物見遊山など無縁の世代、祖母に対する作者の優しい眼差しを感じる季語です。
天馬さん (9ew8kwc6)2025/6/8 17:05削除
700回選句

○どこまでの湖どこまでも麦の秋
広々とした湖水の青と麦の黄金色、二色の世界に惹かれました。

○銀輪の琵琶湖一周麦の秋
颯爽として軽やかで元気が出ます。

○水紋に彩なす光若葉雨
先日、御所湖という所で吟行しましたが、まさにこの景でした。

○青葉闇かつて畜産試験場
自宅からそう遠くない所に県の広大な畜産と果樹の試験場があります。なかには使われなくなった建物が緑に覆い尽くされている所もあり共鳴しました。

◎海知らぬ祖母の生涯桑苺
明治生まれの内陸で暮らす大半の女性がそうだったと思います。
丸まって草取りをしていた祖母を久しぶりに思い出しました。
ふたばさん (8augfkle)2025/6/7 22:55削除
第700回選句

○どこまでの湖どこまでも麦の秋
 「どこまで」の繰り返しに、湖と麦の秋のひろびろとした景が浮かんできます。取り合わせが絶妙。

〇銀輪の琵琶湖一周麦の秋
 心地よい風の中、口笛でも吹きながら湖を一周する。爽快感があります。200キロもあるんですね。
 何日かかけての贅沢な旅でしょうか。

○雨雲の遠のき朴の花真白
 雨雲と朴の花の対比が美しい。

○水紋に彩なす光若葉雨
 鋭い観察眼に裏打ちされた繊細さに惹かれました。

◎ 海知らぬ祖母の生涯桑苺
 私の祖母も全く同じです。共感の一句です。桑苺が効いていますね。しみじみと祖母を思い出しました。
こがめさん (8atk17xs)2025/6/6 11:35削除
第700回麦っこ選句
〇銀輪の琵琶湖一周麦の秋
自転車で琵琶湖一週で景の広がりと自然の豊かさを感じます。

〇雨もよい蕨の灰汁を抜く時間
〇大釜で茹でる竹の子外は雨
蕨や竹の子ゆでるのに時間がかかることが「外の雨」の様子から伺えます。

◎知らぬ祖母の生涯桑苺
季語「桑苺」の使い方が参考になりました。私も海を見たのは6年生の修学旅行が初めてでした。桑苺をよく食べました。
まりさん (8md9x4e2)2025/6/4 22:47削除
700回選句

◎湖渡る勝鬨の声麦の秋
遥か昔の数々の戦。たくさんの血が流され、絶えた命がそのままに湖底に。勝鬨の声と麦の秋とが響き合っています。
ここ数年、麦秋に出会う旅が続いていましたが、それを思い出します。

〇銀輪の琵琶湖一周麦の秋
あるあるの句かとも思いましたが、何とも爽やか。青くなり始めた田圃と、刈り取りの始まった麦畑。
周囲200キロ以上あるらしいので2~3泊してゆっくりと。夢物語ですが。

○はつなつや胸乳ゆたかに漁れる
昭和の真ん中ぐらいまでの景でしょうか。私が子どもの頃のおばあちゃんたちはこんな感じでした。胸乳という言葉が昭和らしい。
「漁れる」は4文字で読むのでしょうか。5文字の読み方もあるのかもしれませんが、4文字で終わるとリズムが強くなる気がします。
現俳の表彰式でお会いしたマブソン青眼さんは、5/7/3型俳句の力を力説しておられました。
 
〇青葉闇かつて畜産試験場
こういうシンプルで素っ気ない句が(句も)好き。でも、何でも・どこでもいいというわけではなくて。
青葉闇と「かつての畜産試験場」が響きあっています。
「しんがりは吊り橋の上麦の秋」の広がりや空気感も好き。

〇ぼうたんの蕾にひと刷毛の緋色
破調ですし、「に」が悩ましい所ですが、確かに牡丹の蕾はそうです!
この破調は効果的とは言えないのでは…とも思いますが、
形を整えたら単なる説明になる危険性はあります。
不来方さん (8b8tdv36)2025/6/2 13:15削除
第700回選句

◯ どこまでの湖どこまでも麦の秋
◯ 麦秋をゆけば小高き開墾碑
 「麦秋」の景のひろがりを両句ともうまく詠っている。前句は「どこまでの」と「どこまでも」の使い分け、後句は「をゆけば」の表現が巧い。

◯雨もよい蕨の灰汁を抜く時間
 蕨の灰汁をとる時間は8時間とも10時間とも。そのぐつぐつ煮る時間と、梅雨間近の季節感か重なって独特の生活感が醸し出されている。

◯ はつなつや胸乳ゆたかに漁れる
 漁師の女というよりはゴーキャンのタヒチの女のイメージ。とにかく原初的な底抜けの明るさがある。

◎ 海知らぬ祖母の生涯桑苺
季語の力は信じるが季語が主役ではないというのが私の季語感。掲句は正しく季語が支える祖母の生涯が主役の句。
返信10
まりさん (8md9x4e2)2025/5/25 20:31 (No.133542)削除
699回投句一覧&選句

薔薇
十本の薔薇どきどきの止まらない
紅の薔薇の残像までも剪る
戦場に生まれた生命花茨
薔薇の名はラヴ水を吐く石の獅子
垣越しの薔薇の香りを盗みけり
薔薇の雨こころの棘の疼き出す
薔薇香る午後には雨となる予報
蔓薔薇の覆う垣根の喫茶店
レンブラントの瞳の光薔薇崩る
薔薇の門褒めて妻無き友の家


記念樹の橡の木戦ぐ観音堂
連太鼓高潮戦く葭若葉
青田風渡る蝦夷の古戦場
とりどりの若葉の戦ぎ寺社の里
欧州の戦火の止まず梅雨に入る
蝉の穴あまた戦の無き祖国
一山の青葉の戦ぎ天守台
戦術はとてもシンプル水馬
アイスクリーム舐め一望の古戦場
生きてゆく日々の戦い蟻の道

雑詠
蜥蜴の子町の外れの精米所
朝採りのトマトの香る直売所
桐の花日落つる時の遠汽笛
母の日や音沙汰のない末息子
満目の青葉従え鳥の声
ぬいぐるみ抱いてバイバイ初夏の風
業平のうたの心や更衣
掠れ字の農業日誌代田風
黒猫の撓りて緑雨抜けて来し
嘘っぽい男の笑顔さくらんぼ
返信
ちこりんさん (8mmormpc)2025/6/13 19:34削除
699回 選句
○薔薇の門ほめて妻無き友の家
はじめは薔薇の門の主は誰かわからない描写と思いましたが、恐らく独身の友でしょう。
その方が憂いのある句となり、作者の心情が伝わると思いました。

◎青田風渡る蝦夷の古戦場
私も東北人なので、蝦夷の末裔かと思うときがあります。鑑賞する人により、伝わってくるものが違う句でしょう。私はしみじみとした哀愁を感じました。
広々とした景を見渡す作者の心情はいかに?

○蜥蜴の子町の外れの精米所
面白い取り合わせの一句。
静かな町の静かな風景。
まきえっとさん (8rypn25h)2025/6/10 21:22削除
麦っ子699選句

○紅の薔薇の残像までも剪る
紅の色の強さが伝わってきます。残像までも剪るから何か断ち切らなくてはならないことでもあったのでしょうか?

○薔薇香る午後には雨となる予報
湿気が強いのでしょうか?この季節ならではですね。

○薔薇の門褒めて妻無き友の家
丹精に育てている様子が伝わってきます。その奥様が亡くなったとのこと。少し寂しさも感じます。

◎一山の青葉の戦ぎ天守台
情景が目に浮かびます。天守台は山の頂などにあることが多そうですが、この季節ならではですね。

○嘘っぽい男の笑顔さくらんぼ
取り合せがいいですね。
太郎さん (923uhctl)2025/6/3 13:44削除
麦っこ699選句

「薔薇」
○薔薇香る午後には雨となる予報

「戦」
○青田風渡る蝦夷の古戦場
○蝉の穴あまた戦の無き祖国
◎一山の青葉の戦ぎ天守台
 一山を覆う青葉が初夏の風に一斉に戦いで薫る。頂上の天守台の石垣が端正な偉容で城下を見霽かす。この句は、どこの城を詠んだものだろうか。私が見たことのある城で、石垣の立派なのは大分県竹田市の岡城だが、一山の緑といえば岐阜城(稲葉山城)である。青葉の戦ぐ全山を一望にし、視線が天守台に収斂する。骨格の太い、スケールの大きな佳句である。

「雑詠」
○掠れ字の農業日誌代田風
ふたばさん (8augfkle)2025/6/2 11:43削除
第699回選句

◎薔薇の門褒めて妻無き友の家
 亡くなられた奥さま丹精の薔薇でしょうか。友へのやさしい心遣いが伝わってきました。

○一山の青葉の戦ぎ天守台
 天守台を取り巻く山々の緑。風の音、青葉にはじける光、天守台に立ったときの情景が見えるようです。

○桐の花日落つる時の遠汽笛
 郷愁が感じられる豊かな詩情に惹かれました。

〇掠れ字の農業日誌代田風
 農業日誌にかきこみが多くなる時期、代田風が効いています。実家には農事黒板がありそれを見ながら育ちました
ジュピターさん (8pymq0ud)2025/6/1 17:40削除
◎掠れ字の農業日誌代田風
 長い年月農業に勤しんできた様子が、掠れ字から偲ばれる。
〇レンブラントの瞳の光薔薇崩る
 レンブラントの鋭い眼光に、薔薇が崩れるように散ってゆく。
〇青田風渡る蝦夷の古戦場
 東北地方にある「柵」は蝦夷の城跡といわれるが、ここで壮絶な戦が繰り広げられた。
〇嘘っぽい男の笑顔さくらんぼ
 嘘と分かっていても、笑顔を見せられれば許してあげる?
のんさん (9jnxskgj)2025/6/1 10:46削除
第699回 選句

〇紅の薔薇の残像までも剪る
 自分の為か差し上げるのか、見ごろの薔薇を伐った事に心が少し痛んだのでしょうか。「残像」に作者の繊細な心が感じ取れます。
〇垣越しの薔薇の香りを盗みけり
 くちなしや木犀、見えなくても香る時があります。どこからか薔薇の香、「盗みけり」楽しい表現です。
◎薔薇の門褒めて妻無き友の家
 奥様が亡くなられても綺麗に手入れされている庭、古くからの友を優しく見守っている様子が伝わり温かな気持ちになります。
〇蝉の穴あまた戦の無き祖国
 当たり前の日常を当たり前に送れる国、この先も変わらずにいて欲しいと願います。
〇掠れ字の農業日誌代田風
 詳しくないのですが、農業日誌は見返す事が多そうです。特徴のある文字に教えられ、多くを学んでいるのではと思います。
天馬さん (9ew8kwc6)2025/5/31 17:15削除
699選句

○レンブラントの瞳の光薔薇崩る
明暗法を駆使した絵画が浮かびます。背景の暗さと鮮やかに崩れる薔薇の比に惹かれます。

○アイスクリーム舐め一望の古戦場
古戦場というと当地では中央権力と蝦夷の戦いの場と思ってしまいます。季語の明るさに、そういうみかたもあるのかと気づかされました。

◎蜥蜴の子町の外れの精米所
空き地を利用したコイン精米所をちょろちょろする蜥蜴の子を思い浮かべました。当地のコイン精米所は看板が青いので、蜥蜴の子のかわいい青の尻尾が重なり、より共鳴しました。

○掠れ字の農業日誌代田風
母が家計簿と農業日誌を兼ねたものに、細かくその日のことを書いていたことを懐かしく思い出しました。
こがめさん (8atk17xs)2025/5/29 16:14削除
第699回麦っこ選句
〇垣越しの薔薇の香りを盗みけり
〇薔薇の門褒めて妻無き友の家
地域の景と人との繋がりを感じます。心の優しさを感じます。

〇とりどりの若葉の戦ぎ寺社の里
〇一山の青葉の戦ぎ天守台
「戦ぎ」の言葉からのイメージの広がりを感じます」。

◎掠れ字の農業日誌代田風
農業日誌をみながらいろいろなことを思い出しているのかな。米問題が話題になっているが生産者の気持ちを大切にしてほしいです。美味しいお米を期待しています。
まりさん (8md9x4e2)2025/5/28 15:30削除
699回選句

〇紅の薔薇の残像までも剪る
「残像までも剪る」は、「いい意味での独断」とするか少し悩んだのは、「までも」。同じような意味の他の言葉って…ないですよね。
手塩にかけた大輪のバラを切るときの気持ちがよく伝わってきます。

◎レンブラントの瞳の光薔薇崩る
光と影の魔術師レンブラントの光と影を強調するための季語が「薔薇崩る」。賛否あるでしょうが私には響きます。
感情がにじみ出るような瞳の深い光は、まさに「深紅の薔薇が崩れる」ごとし。それ以上の説明はできませんが。
レンブラントに逢いに行ったあの美しい庭園の川村美術館は3月閉館に。

〇薔薇の門褒めて妻無き友の家
「妻亡き」ではどうでしょう。
いい句だなと思うのですが、私には「褒めて」の「て」が微妙。「て」は私も無意識に使っては、後日、句を緩めたり曖昧にしたりする原因が「て」であることに気づかされること多々。
「て」を回避できたら句が締まるのではと思うのですが。(好みもありますが)

〇戦術はとてもシンプル水馬
何の戦術かわからないのですが、水馬を斡旋してちょっととぼけたところが面白いと思いました。
「あめんぼの生きる戦術」とは取りませんでした。

〇アイスクリーム舐め一望の古戦場
あるあるの景。
そこには、君主のために戦って散った者たちの屍がどれだけたくさん埋もれたままになっているのでしょう。
そんな場所を一望しながら、暑くなったねえ~と、地元産アイスを舐める!

〇蜥蜴の子町の外れの精米所
さりげなく無理のない言葉の取り合わせで「立たせる」のがのんさんの句。「薔薇香る午後には雨となる予報」の力の抜き加減も好きです。
不来方さん (8b8tdv36)2025/5/26 14:51削除
第699回選句

◎紅の薔薇の残像までも剪る
 「残像までも剪る」薔薇とは、どれほどの紅だろうか。紅薔薇の本質を捉えて巧い。
◯ 薔薇の門褒めて妻無き友の家
 「褒めて」がとても佳い。人情味豊かな句。最近奥様を亡くされたばかりの友人宅によく出向かれているのだろう。奥様の作られた薔薇の門が心に沁みる。
◯ 蝉の穴あまた戦の無き祖国
 あまたの蝉の穴は生命の誕生でもあり、短い命を彷彿させる儚さの象徴でもある。戦の無い祖国との取り合せがいい。
◯ 一山の青葉の戦ぎ天守台
 写実句として秀逸。過不足なく青葉の山頂の天守台の映像が描かれている。
◯ 嘘っぽい男の笑顔さくらんぼ
 一物仕立ての句でさくらんぼをそんな男に喩えているのか、取り合わせの句として、男の嘘をその笑顔から見破って心で笑いながらさくらんぼを食べているのか。どちらとも解釈出来て俳味あり。
返信10
ちこりんさん (8mmormpc)2025/5/31 18:03 (No.133766)削除
701回 お題

季語   時の日
文字   乱
テーマ  辛い

宜しくお願いします。
返信
太郎さん (923uhctl)2025/6/9 08:55削除
麦っこ701投句
時の日や何事もなき日の暮るる
柏餅破れ乱世というべきか
暇人の額に汗して担担麵
まきえっとさん (8rypn25h)2025/6/8 21:03削除
第701回麦っこ投句

時の日の水平線の呑む夕日
ため息の散乱梅雨に入ったとか
遠雷の後からやって来る辛味
天馬さん (9ew8kwc6)2025/6/8 16:37削除
701投句

時の日の時計に埃廃ホテル
夏空や土煙立つ乱打戦
チョリソーのじゅっと弾けてソロキャンプ
匿名さん (9jnxskgj)2025/6/8 09:44削除
第701回 投句

時の日の時計回りの観覧車
乱雑に脱がれ汗の子のスニーカー
回転寿司のワサビに咽て梅雨に入る
ふたばさん (8augfkle)2025/6/7 16:22削除
第701回投句

時の日や修司の時計ボンと鳴り
太鼓祭復興祈願の乱れ打ち
冷酒は辛口もよし同期会
こがめさん (8atk17xs)2025/6/7 14:38削除
第701回麦っこ投句
時の日や朝の目覚めの電子音

遠雷や列の乱れる千字文

緑陰や膝痛防ぐストレッチ
ちこりんさん (8mmormpc)2025/6/7 10:37削除
すみません。9時51分の投句は削除お願いします。
自分では出来なかったので
宜しくお願いします。
ちこりんさん (8mmormpc)2025/6/7 10:34削除
701回 投句

時の日の浜辺に光るガラス瓶

水平線掻き乱す風ラベンダー

辛口のスマホ川柳冷素麺
不来方さん (8b8tdv36)2025/6/6 12:59削除
第701回投句

時の日の過ぎゆく夙さ生も死も

乱読の清張五月闇深し

万緑やスパイスを足すカレー鍋
まりさん (8md9x4e2)2025/6/4 22:30削除
701回投句

時の日の刻を忘れた天袋   
夕河鹿湯治の宿の乱れ箱 
塩っ辛いコメント金魚裏返る
ジュピターさん (8pymq0ud)2025/6/2 10:02削除
701回投句
時の日の客のまばらな美術館
乱れ散る泰山木や夜半の雨
墓守のいぬ古里や著莪の花
返信11
まりさん (8md9x4e2)2025/5/24 22:26 (No.133501)削除
第700回 出題

季語 麦秋
文字 雨
当季雑詠
返信
まきえっとさん (8rypn25h)2025/6/1 17:08削除
第700回麦っこ投句

湖渡る勝鬨の声麦の秋
雨雲の遠のき朴の花真白
腕を組む余白の時間梅は実に
こがめさん (8atk17xs)2025/5/31 21:58削除
第700回麦っこ投句
麦秋の風を奏でる本坪鈴

ゆりの木の花に雨だれ溜まるのかな

薫風やキャリーバックの二重奏
ちこりんさん (8mmormpc)2025/5/31 18:40削除
700回 投句

麦秋や逡巡運ぶおぼろ雲

水紋に彩なす光若葉雨

感涙へあと一頁夜の新樹
のんさん (9jnxskgj)2025/5/31 18:09削除
第700回 投句

御仏を訪ね湖北へ麦の秋
夕刊の雨除けカバー夏つばめ
図書館は駅から五分梅雨近し
ふたばさん (8augfkle)2025/5/31 16:38削除
第700回 投句

山裾へ一本道や麦の秋
雨もよい蕨の灰汁を抜く時間
走り梅雨健康ランドへ老姉妹
まりさん (8md9x4e2)2025/5/31 11:46削除
700回投句

どこまでの湖どこまでも麦の秋
鳴きたくて日照雨呼んだか雨蛙
海知らぬ祖母の生涯桑苺
天馬さん (9ew8kwc6)2025/5/30 15:20削除
700回投句

麦秋をゆけば小高き開墾碑
緑雨なり傘は差さずに少年等
ぼうたんの蕾にひと刷毛の緋色
不来方さん (8b8tdv36)2025/5/29 14:06削除
第700回投句

銀輪の琵琶湖一周麦の秋

うつし世をはみ出す雨後の花楓

万の句を蔵してうねる麦の波
太郎さん (923uhctl)2025/5/27 15:50削除
麦っこ700投句
渋滞の国道6号麦の秋
五百羅漢のさざめき合いてさみだるる
はつなつや胸乳ゆたかに漁れる
ジュピターさん (8pymq0ud)2025/5/27 08:30削除
700回投句
しんがりは吊り橋の上麦の秋
大釜で茹でる竹の子外は雨
青葉闇かつて畜産試験場
返信10
まりさん (8md9x4e2)2025/5/18 22:14 (No.133239)削除
698回投句一覧&選句

卯の花腐し
うつうつと卯の花腐し海の音
天麩羅のカラリと卯の花腐しかな
卯の花腐し聞き分けにくい鳥の声
銀線となりし卯の花腐しかな
度の合わぬ眼鏡卯の花腐しかな
卯の花腐しプルトップ引けば泡
蚕室のにおい卯の花腐しかな
卯の花腐し言葉にも裏表
定型の呪縛卯の花腐しかな
卯の花腐し捻れたままの藍暖簾


筆立に夏書の筆をぎっしりと
訥々と八一の仮名書夏椿
書道パフォーマンスの筆や雲の峰
古書店の主のあくび走り梅雨
書斎など無縁の暮らし風薫る
祭着や肩書き持たぬ者同士
図書館の北向きの窓朴の花 
風青葉電子書籍の照らす顔
魚篇多き品書夏きざす
草苺高齢社会白書とや

雑詠
ジャズ歌手のマーサの訃報春の果
青嵐四方を睨む鬼瓦
母の日や母の眼鏡をかけてみる
若葉寒牧場を駆けてゆく獣医
針穴に真っ白な糸聖五月
桐の花この地に生まれここに逝く
咲く前の居住まい正す立葵
地平まで代田交響曲六番
希望への出口揚羽の消えた窓
参道の雀啄む桜の実
返信
天馬さん (9ew8kwc6)2025/5/26 15:37削除
698選句

○度の合わぬ眼鏡卯の花腐しかな

○図書館の北向きの窓朴の花

○魚篇多き品書夏きざす

○母の日や母の眼鏡をかけてみる

◎桐の花この地に生まれここに逝く
実家にあった大きな桐の木の花を思い出し、歩いてすぐの家から嫁いできた母の人生を思いました。遺影の着物が桐の花の色ということもあり、より共鳴しました。
太郎さん (923uhctl)2025/5/25 14:24削除
麦っこ698選句
「卯の花腐し」
○天麩羅のカラリと卯の花腐しかな
◎卯の花腐し捻れたままの藍暖簾
「書」
○祭着や肩書き持たぬ者同士
○図書館の北向きの窓朴の花
「雑詠」
○母の日や母の眼鏡をかけてみる
のんさん (9jos8j2d)2025/5/25 10:02削除
第698回 選句

〇天麩羅のカラリと卯の花腐しかな
 季語のマイナスイメージから暗い物と取合わせてしまいがちですが、思い切り明るい物との取合せ、意外な発想に惹かれました。
〇卯の花腐しプルトップ引けば泡
 これは炭酸飲料などでなく絶対にビール、気分の沈む時はこれです。
〇祭着や肩書き持たぬ者同士
 祭りの世話役、上も下もなく余生を楽しむ仲間同士、良い仲間です。
〇母の日や母の眼鏡をかけてみる
 母の残した眼鏡をかければ、母の見ていた世界が見えるような気がするのでは、歳を重ねる程親が恋しくなるのはなぜでしょうか。
◎桐の花この地に生まれここに逝く
 生まれた場所で一生過ごす、覚悟も苦労もあったことと思います。季語の桐の木は堂々とした大樹が浮かびます。
ジュピターさん (8pymq0ud)2025/5/25 09:20削除
698回選句
◎桐の花この地に生まれここに逝く
 この地は作者の生まれ故郷だろうか。故郷を思うとき、桐の花がいつも懐かしく眼裏によみがえってくる。
 それ程愛着のある花なのだろう。
〇天麩羅のカラリと卯の花腐しかな
〇度の合わぬ眼鏡卯の花腐しかな
 長雨の鬱陶しさを、句材によって、前句は明るく受け流し、後句は増幅させている。
〇魚篇多き品書夏きざす
 夏に獲れる魚は、鯵、鯖、鰹,かんぱち等多いが、料理の仕方によってメニューも増える。夏の到来を率直に喜んでいる。
〇訥々と八一の仮名書夏椿
 八一の仮名文字は、訥々と語りかけているようであり、夏椿の清楚な美に通じるようでもある。
ふたばさん (8augfkle)2025/5/24 22:59削除
第698回 選句

○天麩羅のカラリと卯の花腐しかな
 じめじめしたものとからりと上がった天麩羅。取り合わせの妙。

○銀線となりし卯の花腐しかな
 銀線の表現で、うっとうしさにも情緒が感じられました。

〇訥々と八一の仮名書夏椿
 八一の仮名と清楚な夏椿がよく合っていると思いました。

○母の日や母の眼鏡をかけてみる
 何気ない仕草がいいですね。温かい気持ちが伝わってきます。

◎桐の花この地に生まれここに逝く
 ある諦念を感じます。「この地に生まれここに逝く」の精神性が心に響きました。桐の花が効いています。

○地平まで代田交響曲六番
 まさに「田園」の旋律が聴こえてきそうな気持のよい句です。水の入った田んぼの広がり。素敵な景ですね。
ちこりんさん (8mmormpc)2025/5/24 11:46削除
698回 選句
◎卯の花腐し言葉にも裏表

単なる長雨ではないので、取り合わせが難しいと思いました。残念だけでなく、複雑な思いが重なる取り合わせですね。

○定型の呪縛卯の花腐しかな

呪縛の意味する所は何?と惹かれて頂きました。窮屈感だけでは、なさそうですね。うーむ。

○図書館の北向きの窓朴の花

取り合わせがいいですね。
朴の花に向ける作者の眼差しが気になります。

○母の日や母の眼鏡をかけてみる

よく心情が伝わります。
母の老眼鏡は、思いのほか度が強かった。はっとしました。
まきえっとさん (8rypn25h)2025/5/24 11:33削除
第698回麦っ子選句

○天麩羅のカラリと卯の花腐しかな
天麩羅のカラリが気持ちいいですね。卯の花腐しと合っているような気がします。
○定型の呪縛卯の花腐しかな
普段、呪縛など考えたことがないのでいい機会になりました。少し難しい言葉ですが合っています。
○訥々と八一の仮名書夏椿
訥々という表現が会津八一の仮名書と合っています。夏椿の咲いている様子もぴったりだと思います。
◎桐の花この地に生まれここに逝く
桐の花から想像するとよく合っていると思います。桐の花が庭に咲いている家に生まれて生涯をここで過ごすんですね。
こがめさん (8atk17xs)2025/5/22 17:00削除
第698回麦っこ選句
〇度の合わぬ眼鏡卯の花腐しかな
季語の取り合わせがいいですね。よくわかります。

〇訥々と八一の仮名書夏椿
八一の書は絵手紙の本でみました。作者はきっと夏椿の咲いている場所の歌碑をみながら句を作っているのかな。

〇書道パフォーマンスの筆や雲の峰
書道のパフオーマンの句を作ろうとしましたが、季語をどうしようか迷いました。
気持ちよさそうに筆を動かして作品を書いている景が浮かんできます。

◎若葉寒牧場を駆けてゆく獣医
獣医さんご苦労様です。どんな天候でも生き物(馬、牛)の命を大切している意気込みを感じます。
まりさん (8md9x4e2)2025/5/20 21:47削除
698回選句

〇天麩羅のカラリと卯の花腐しかな
私は「卯の花腐し」をどう扱うか随分悩みました。明るい句も考えてはみたのですが挫折。
この季語は私の課題です。私は野菜の天ぷらがいい!

◎定型の呪縛卯の花腐しかな
評価は分かれると思いますが。「呪縛」という言葉と、卯の花腐しの取り合わせに惹かれました。
「呪縛」とはなるほど。単なる文字数や季語の制限という意味だけではない何か。
こういう「卯の花腐し」「かな」の例句はたくさんありますが、
「かな」は、やはり「天麩羅からからりと卯の花腐しかな」のように一本仕立てのほうが合う気がします。

〇祭着や肩書き持たぬ者同士
肩書は知らない方がいい。無礼講で、プラカップのビールと紙コップ酒。
祭着に?!と思ったのですが、こういう言葉もあるのですね。
祭衣は6文字となり、俳句では使いにくいですし。

〇母の日や母の眼鏡をかけてみる
お母さんのソノ年ごろになったということでしょう。私は、母が使っていた各種鞄を使っています。
不来方さん (8b8tdv36)2025/5/20 13:45削除
すいません。思い込みで「魚偏」を「魚篇」と間違えていました。
不来方さん (8b8tdv36)2025/5/19 20:31削除
第698回選句

◯ 天麩羅のカラリと卯の花腐しかな
 今回の題詠句には季語の持つ鬱陶しさをうまく表現して共感の句が多かったが、掲句はその鬱陶しさを跳ね返すような気持ちのよい句。カラリと揚がった「天麩羅」と取合せて見事。共鳴の一句。
◯ 度の合わぬ眼鏡卯の花腐しかな
 鬱陶しさをうまく季語と取合せた句群の中でも特に共感した一句。度の合わない眼鏡ほど心身とも疲れる道具はない。ましてや湿気を帯びた蒸し暑い梅雨前の雨ならば。
◯ 訥々と八一の仮名書夏椿
 やわらかな仮名書で書かれた会津八一の歌碑がある万葉の道を歩いているような気分になる。「吶々」 と」が如何にも。
◯ 書斎など無縁の暮らし風薫る
 書斎などあると逆に維持が大変、寸土の庭があり、方丈の間があれば充分な暮し。そんなイメージの句。
◯ 祭着や肩書き持たぬ者同士
 実際肩書はあるのかも知れないが、同じ祭着を羽織るもの同士に肩書なんて不要。俳句の世界も同じ。この平等感と距離感がいい。
◎桐の花この地に生まれここに逝く
 故郷・生家・桐の木。作者は遠くより見守るしかない。記憶に染み込んだ桐の花がしずかに散り敷くのを。
返信11
不来方さん (8b8tdv36)2025/5/18 07:43 (No.133206)削除
第699回出題

題詠 薔薇
文字 戦
雑詠
返信
まきえっとさん (94xob9ip)2025/5/25 19:25削除
第699回麦っこ投句
十本の薔薇どきどきの止まらない
戦術はとてもシンプル水馬
掠れ字の農業日誌代田風
天馬さん (9ew8kwc6)2025/5/25 16:48削除
699投句

紅の薔薇の残像までも剪る
青田風渡る蝦夷の古戦場
黒猫の撓りて緑雨抜けて来し
ちこりんさん (8mmormpc)2025/5/25 05:28削除
699回 投句

戦場に生まれた生命花茨
生きてゆく日々の戦い蟻の道
嘘っぽい男の笑顔さくらんぼ
まりさん (8md9x4e2)2025/5/24 21:47削除
699回投句

薔薇の名はラヴ水を吐く石の獅子
一山の青葉の戦ぎ天守台
満目の青葉従え鳥の声
ふたばさん (8augfkle)2025/5/24 21:40削除
第699回投句

垣越しの薔薇の香りを盗みけり
とりどりの若葉の戦ぎ寺社の里
ぬいぐるみ抱いてバイバイ初夏の風
不来方さん (8b8tdv36)2025/5/24 21:27削除
第699回投句

薔薇の雨こころの棘の疼き出す

アイスクリーム舐め一望の古戦場

業平のうたの心や更衣
のんさん (9jnxskgj)2025/5/24 19:50削除
第699回 投句

薔薇香る午後には雨となる予報
欧州の戦火の止まず梅雨に入る
蜥蜴の子町の外れの精米所
こがめさん (8atk17xs)2025/5/23 10:42削除
第699回麦っこ投句
蔓薔薇の覆う垣根の喫茶店

記念樹の橡の木戦ぐ観音堂

朝採りのトマトの香る直売所
太郎さん (923uhctl)2025/5/20 10:38削除
麦っこ699投句
レンブラントの瞳の光薔薇崩る
連太鼓高潮戦く葭若葉
桐の花日落つる時の遠汽笛
ジュピターさん (8pymq0ud)2025/5/19 20:58削除
699回投句
薔薇の門褒めて妻無き友の家
蝉の穴あまた戦の無き祖国
母の日や音沙汰のない末息子
返信10
まりさん (8md9x4e2)2025/5/11 22:39 (No.132962)削除
697回投句一覧&選句

若葉
山襞に隠れるリフト若葉風
奥入瀬の風はさ緑若葉光
若葉風街に溢れる八頭身
ゴンドラや空中遊歩の谷若葉
アイネクライネナハトムジーク窓若葉
若葉風抜けるこころのクリニック
見得を切る川鵜の翼若葉風
出窓洩るラ・カンパネラ蔦若葉
板書する教師の背中若葉風


老鶯や発破を止める石切場
松の花刑場跡の火炙台
ウクライナの力士気になる五月場所
柳絮飛ぶ戦場消えぬ水の星
待ち望む和製横綱五月場所
川のあるひとりの居場所夏燕
天幕のローマ劇場雲の峰
我が居場所ひとつは桐の花の下
薫風や砂場は僕の夢舞台

雑詠
母の日や雀に刻むパンの耳
小綬鶏の鋭声針槐の若葉
不調でも挑む句作り残り鴨
校庭を頷き歩む初夏の鳩
ジーンズの裾をひと折若葉雨
ぎしぎしを抜く切もなき老年期
豆飯の閉じ込めておく野の匂い
母の日のスマホに届くラブレター
術後の眼水槽に追う目高の子
返信
ちこりんさん (8mmormpc)2025/5/24 12:03削除
697回 選句

○若葉風抜けるこころのクリニック

初夏ともなると、新しい環境の変化になじめなかったりして、クリニックを訪れる人も。社会の姿をさりげなく詠まれていて惹かれました。

○柳絮飛ぶ戦場消えぬ水の星

下五の意図がよく分からないのですが、季語が効いていると思います。

◎ジーンズの裾をひと折若葉雨

季語はやや説明的かな?
でも上五中七が想像を掻き立て、景がよく見えます。

◇豆飯の閉じ込めておく野の匂い

下五がいいですね。ただ中七が擬人化的で違和感が残りました。
篭りおる野辺の匂いや豆の飯??
まきえっとさん (8rypn25h)2025/5/24 11:08削除
麦っ子697回

○若葉風抜けるこころのクリニック
若葉風は何よりも癒されますね。
○見得を切る川鵜の翼若葉風
川鵜の翼を見得を切るとしたところに工夫が見られます。
◎柳絮飛ぶ戦場消えぬ水の星
こうして毎日を過ごせていることに感謝です。
○母の日や雀に刻むパンの耳
ふたばさん (8augfkle)2025/5/20 18:43削除
麦っこ 697回

○山襞に隠れるリフト若葉風
 リフトを見上げている人も乗っている人も若葉の爽やかな風の中。清々しさが伝わってきました。

○板書する教師の背中若葉風
 教師の背中に視点をあてたところが巧みです。窓を開けての授業でしょうか。

○我が居場所ひとつは桐の花の下
 淡い紫の桐の花の下は癒しの空間。もう一つの居場所は?いろいろ想像されます。

○小綬鶏の鋭声針槐の若葉
 小綬鶏の鋭い鳴き声と針槐の丸い若葉の対比が面白いと思いました。

◎豆飯の閉じ込めておく野の匂い
 豆飯に野のにおいを感じる細やかな感性に惹かれました。閉じ込めておくがいいですね。
太郎さん (923uhctl)2025/5/20 14:36削除
麦っこ697選句
「若葉」
○山襞に隠れるリフト若葉風
 山の斜面を撫でるように上っていくリフトが山襞に隠れて見えなくなった。緑一色の大自然の中の一点景として、人工の、原色に彩られた鉄の器が印象的である。自分の乗っているリフトが山襞の陰に入って山の向こうの広々とした視界の代わりに、山懐の深い緑の色と香りの中にいるという鑑賞も可能であろう。
◎若葉風街に溢れる八頭身
 いわゆる8頭身美人が喧伝され始めたのはいつのことだったろう。近頃の日本人の頭身は6~7頭身だそうな。これが8頭身になるには、身長が男性で178cm、女性で172cmなければならぬという。爽やかな若葉風の吹く街中を行き来する若者たちを見ると、体位が向上して、背のすらっと高い、まさに八頭身の男女の群が闊歩している。頼もしくも羨ましくも思う光景である。
○アイネクライネナハトムジーク窓若葉
 一句の十七音のうちの十二音を1楽曲の表題で埋めるのは、もったいないような、暴挙のような気がしないでもないが、モーツアルトのセレナード第13番は、上五・中七の枠を十分充たすだけの内容と重みを持っていると思う。わたしは、中学生の頃総譜を手に入れてわかりもしないのに曲の進行を指で追いながら聴いたほど好きだった。今でも、PCの作業に疲れると、この曲を画面に呼び出して休息する。「窓若葉」が作者の位置と周囲の状況を表現しているが、「窓」を削って外へ出てもよいように思う。
「場」
○薫風や砂場は僕の夢舞台
砂場で山やトンネル、町や動物の造形などを造って夢の世界に浸る。多くは他の子どもとの共同作業ではなく、ひとり遊びの夢の世界である。今、薫風の吹き抜ける砂場の傍らに立って、「僕の夢舞台」を脳裏に再構成して懐かしんでいる。
「雑詠」
○ジーンズの裾をひと折若葉雨
 若葉雨の中へ出て行くのに、ジーンズの裾が濡れたり汚れたりしないように一折りする。羚羊のようにすらりと伸びた脚が眼に浮かぶ。私の場合、ウエストを合わせて買うと股下が長すぎて常にひと折りしなければならない。掲句のように格好よく振る舞いたいものである。
ジュピターさん (8pymq0ud)2025/5/19 09:56削除
697回選句
◎豆飯の閉じ込めておく野の匂い
 子供の頃から豆飯が好きで、あの一寸塩気の効いた味がたまらない。豆飯の青臭い匂いは、野の匂いだったのか。
〇山襞に隠れるリフト若葉風
 若葉の中を風に揺られて山襞に消えて行くリフト、情景がくっきりと描写されている。
〇我が居場所ひとつは桐の花の下
 桐の花には天上へと誘う不思議な雰囲気が感じられるが、我が居場所と強調するほど作者には魅力的なのだろう。
〇小綬鶏の鋭声針槐の若葉
 ニセアカシアも針槐と書けば、小綬鶏の鋭声と相通じあっているように感じられる。
のんさん (9bbrsu9b)2025/5/18 10:42削除
第697回 選句

〇山襞に隠れるリフト若葉風
 少し離れた所から長めなリフトを見ているのでしょうか。気持ちの良い風を感じます。
◎奥入瀬の風はさ緑若葉光
 私が奥入瀬を訪れたのは50年も前の事ですが、今でも清流、木々の煌めきが心に残っています。地名が思い出を蘇らせてくれます。
〇川のあるひとりの居場所夏燕
 川の見えるお気に入りの場所、嬉しい時悲しい時、川の流れは心に寄り添ってくれるのでしょう。
〇母の日や雀に刻むパンの耳
 近年雀も少なくなったとか、季語の選択に共感しました。
〇ジーンズの裾をひと折若葉雨
 突然降り出した雨、でも気持ちの良い雨、雨を楽しんでいる様子が伝わってきます。
こがめさん (8atk17xs)2025/5/16 20:43削除
第697回麦っこ選句
◎山襞に隠れるリフト若葉風
「 山襞に隠れ」という表現からリフトの動きとどんな場所か浮かんできます。

〇待ち望む和製横綱五月場所
角力の好きな方かな。和製の横綱を待ち望んでいるのかな。今場所の結果によって生まれるかな。

〇豆飯の閉じ込めておく野の匂い
新鮮な豆を使用しているかな。それとも自分で育てた豆かな。豆飯がおいしそうですね。

〇術後の眼水槽に追う目高の子
術後の目の様子が目高の動きを追いながら、ほっとしている景が浮かんできます。
まりさん (8md9x4e2)2025/5/14 14:53削除
697回選句

◎山襞に隠れるリフト若葉風
立ち位置によっては山襞に隠れるリフトもあるでしょう。いい景。このシンプルさはちょっと物足りなくもあり、魅力でもあり。
若葉風の季節。俳句の仲間とこんなところに行けたらなあと思わずにはいられません。

〇若葉風抜けるこころのクリニック
すぐお隣にこころのクリニックがあります。出入りする若者たちに「ゆっくりしなよぉ」と、若葉風を通してあげたい!

〇小綬鶏の鋭声針槐の若葉
小綬鶏の鳴き声は久しく聴いていませんが、鋭くくっきりと「ちょっとこい!ちょっとこい!」と鳴きます。
句またがりは、二つのことを説明&描写できるので作りやすく、私の句に多いのは自覚していますが、意味も焦点も二分されてしまいます。詠む立場と読む立場では乖離がおこりやすい形だと思います。
句またがりを自然にしなやかに作るのは難しい。

○ジーンズの裾をひと折若葉雨
日常の一コマをシンプルに切り取っています。
句としては、雨と関連付けない方法もあります。句意は変わりますが、例えば若葉風とすれば、爽やかな季節にジーンズの裾をおしゃれに一折して、さっそうと歩く女性!となりそう。
日をおいて距離をおいて考えると、全く違った句になること多々。季語の力はすごいのです。

◇若葉の季節、何にでも「若葉」をつけたくなります。作るときにはそれが一番合っている気がするので私もついつい。
が、たくさんの若葉句を読むと(詠むではなく)「何にでも合うが安易」「句意は多少異なっても他の季語の方が『立つ』のではないか」と思うことも多い気がします。自戒をこめて。
不来方さん (8b8tdv36)2025/5/12 16:46削除
第697回選句

◯ 板書する教師の背中若葉風
 特別な景ではないが妙に懐かしい。「背中」の為せる技かも。
◯ 川のあるひとりの居場所夏燕
 燕の飛び交う「川のある居場所」に共感。「ひとり」の意味を色々考えてみたが答えが見つからない。逆にそれがいいのかも。
◯薫風や砂場は僕の夢舞台
 時代は変われど子供のやることや思いは同じ。三歳半の孫娘が昔の私と同じことをやっている。夢見るような顔付きで。
◯ ジーンズの裾をひと折若葉雨
 中七のきめ細かな写実が巧い。「ジーンズ」の斡旋も季語にピッタリ。
◎ 豆飯の閉じ込めておく野の匂い
 豆飯の香りが郷愁に繋がる。土の匂いがぷんぷんする。
返信9
まきえっとさん (8rypn25h)2025/5/11 14:13 (No.132936)削除
第698回麦っこ 出題

季語 :卯の花腐し
文字:書
雑詠
返信
太郎さん (923uhctl)2025/5/18 17:21削除
麦っこ698投句
うつうつと卯の花腐し海の音
訥々と八一の仮名書夏椿
地平まで代田交響曲六番
ちこりんさん (8mmormpc)2025/5/18 15:46削除
698回 投句

天麩羅のカラリと卯の花腐しかな

草苺高齢社会白書とや

希望への出口揚羽の消えた窓
こがめさん (8atk17xs)2025/5/18 14:51削除
第698麦っこ投句
卯の花腐し聞き分けにくい鳥の声

筆立に夏書の筆をぎっしりと

参道の雀啄む桜の実
天馬さん (9ew8kwc6)2025/5/18 14:09削除
698投句

銀線となりし卯の花腐しかな
書道パフォーマンスの筆や雲の峰
若葉寒牧場を駆けてゆく獣医
まきえっとさん (8rypn25h)2025/5/18 13:24削除
第698回麦っこ投句

度の合わぬ眼鏡卯の花腐しかな
風青葉電子書籍の照らす顔
針穴に真っ白な糸聖五月
まりさん (8md9x4e2)2025/5/18 09:41削除
698回投句

卯の花腐しプルトップ引けば泡
図書館の北向きの窓朴の花 
桐の花この地に生まれここに逝く
ふたばさん (8augfkle)2025/5/17 19:07削除
第698回 投句

蚕室のにおい卯の花腐しかな
古書店の主のあくび走り梅雨
ジャズ歌手のマーサの訃報春の果
のんさん (9bbrsu9b)2025/5/17 18:06削除
第698回 投句

卯の花腐し言葉にも裏表
書斎など無縁の暮らし風薫る
青嵐四方を睨む鬼瓦
不来方さん (8b8tdv36)2025/5/17 05:59削除
第698回投句

定型の呪縛卯の花腐しかな
魚篇多き品書夏きざす
母の日や母の眼鏡をかけてみる
ジュピターさん (8pymq0ud)2025/5/13 08:35削除
卯の花腐し捻れたままの藍暖簾
祭着や肩書き持たぬ者同士
咲く前の居住まい正す立葵
返信10