ま
まりさん (8aq66elk)2022/9/25 21:03 (No.35596)削除560回投句一覧&選句
「稲雀」
稲雀空に飛び板あるごとし
住職のバイクが通る稲雀
豪農の小さき葬式稲雀
稲雀減る合併の町と村
藁好きの子らの夕ぐれ稲雀
山並みを超えて群れ飛ぶ稲雀
川越えて教会の鐘稲雀
夕映の棚田のしじま稲雀
稲雀の影が走れる最上川
田の神に謝して塒へ稲雀
「畳」
人絶えて色葉散りたる石畳
秋夕焼千畳敷の潮溜り
秋日濃し寝ころぶためだけの畳
月光や猫一匹の石畳
秋高し畳鳴かせて畳拭く
一晩に三度月観る四畳半
祈ること増え月光の石畳
畳紙に母のメモ書き吾亦紅
カント読む釣瓶落しの四畳半
大の字で仰ぐ名月古畳
「雑詠」
よく熟れて届かぬ高さ烏瓜
児の見えぬ公園回る秋の蝶
“fly me to the moon”とて今年酒
秋風や伊万里染付草花文
柴垣の縄の結び目月影に
樹木葬の墓の朱文字や鉦叩
秋の浜なくしてこんなにも悲しい
シベリアの闇を眼下に鳥渡る
夜長し爪切ることも旅支度
日帰りの稲刈浄土への入日