ま
まりさん (8aq66elk)2022/9/4 14:13 (No.33405)削除麦っこ秀句 20220306~20220814
最初に言い訳させていただきますが。
不来方さんから頂いた膨大なデータから、まず秀句候補を拾い出して別のエクセルにコピー。その後、名前順に並び変えたり、点数順に並び変えたりの作業で10句を選んでおります。
大事な仕事のデータは、むろん、作業ごとに見直しをするのですが、これは見直しをしていません。秀句を拾い出すときに見落としたり(6点と0点と見間違えたり)、並び替えのために数字化するときに、作者と作品をとり間違えたり、いろいろあるかもしれません。
ご自分の作品は、ご自分で整理されていると思いますので、これは「参考資料」としてご覧ください。
ただ、ご自分の作品に見知らぬ作品が混じっておりましたらお知らせください。
やり直しますので!
太郎
天 桃印徳用燐寸終戦日
地 鈴本のすてつくてんてん春満月
人 引退の海女ぴかぴかの耕耘機
斎場のショパンの調べ新樹光
プワゾンのふと冷房の美術館
江戸前の春へと潜る橋の数
行く春を追うて勿来を越えにけり
指で読むリートの楽譜若葉風
徒に伸びて太宰の夾竹桃
真二つの卓上日記梅雨明くる
天馬
天 炯々と蝮一升瓶の底
地 春光や沐浴を待つ新生児
人 余花の雨補欠の白きユニホーム
歩行器のかたかたことり風光る
まだ畑に母いるように葱坊主
先生のきれいな楷書卒業す
安定期らしき膨らみ目借時
その先の歌詞の出て来ず春炬燵
打水や話せる日まで待つことに
寄せ返す届かぬ言葉春の海
こがめ
天 葱坊主再任用という門出
地 少年の日記はみ出す甲虫
人 スーパーの防犯カメラ夏燕
明日には新任地かと春の月
ドラえもんのポケット欲しい四月馬鹿
体験田おたまじゃくしの運動場
青空にビー玉透かす夏帽子
炎天や臍出しルック闊歩する
実桜や孔雀を描く一年生
少年の秘密の基地や草いきれ
ふたば
天 桑の実の熟れて大山千枚田
地 ふる里の底なし沼や蛇苺
人 弟の遺品の「イマジン」夏の星
万愚節尾っぽ出ている夫の嘘
血圧の折れ線グラフ花の冷え
古道具屋のぼんぼん時計修司の忌
十四のトンネル数え帰省かな
真夜中にコトリ氷の生まる音
灰色に湧く雲速し夏燕
入道雲キリンの首に湧き上がる
のん
天 片栗や水車たっぷり水を吐く
地 振り返る町並み遠し潮干狩
人 一つまみ塩足すスープ半夏生
菜の花や決めかねている墓じまい
八月の海は涙の匂いして
立秋の木霊は父の声に似て
波音を追う波の音梅雨の月
ピノキオの鼻が伸びだす春の闇
山越えの道七曲り藤の花
天領の水豊かなり夏燕
ジュピター
天 田を植えて干潟八万石暮れる
地 人流の一滴となり首夏の街
人 田を植えて田を植えて父母生きにけり
屋号にて呼ぶ母の里浜おもと
夏芝居子役の声の透きとおり
宅配車炎暑の底をあがり来る
子を持たぬ叔母の生涯茄子の花
夏帽子しおさい号の指定席
整備士の氷菓に憩う操車場
跡形のなき生家跡蝉しぐれ
まり
天 連山にひらく大窓盆帰省
地 五線譜をぬけ出たばかり蝶の舞
人 アルバムをひろげる仏間盂蘭盆会
風みどりきみどり牛の乳房張る
初夏の風や胡坐のヨガ講師
稲の花住めば都の風さわわ
母の忌や紙風船の銀の口
空爆に始まるニュース鳥曇
緑陰を出でて光となる流れ
樹木葬予定地烏瓜の花
智美
天 戦没者慰霊碑サルビアの真っ赤
地 巣箱から最後の一羽オペ決まる
人 ゴールデンウィーク駐車場は空
夕暮れの無音白花月見草
遊牧の少年遥かなる夕焼け
叱られて家出したふり青蛙
春満月誰も渡らぬ歩道橋
尼寺の小さき結界夏椿
底紅の葉に一滴茶席成る
羽鳴きざわつく鴉大西日
不来方
天 小説の中の接吻いなびかり
地 帰省子とひたすら地酒汲む二タ夜
人 荒梅雨やサインポールの軋む音
表札に墨の香ほのと花あせび
さざ波を追うさざ波や芽木の風
透明な父の呼び声麦の秋
遠き日も今も少年青蛙
空堀に戦さの匂い草いきれ
宿木に鳥の巣一つ吹かれおり
詩の欠片めく一粒の青葡萄
ちこりん
天 宇宙へと大きな欠伸葱坊主
地 父という遠き束縛クレマチス
人 廃線の駅舎の小闇草いきれ
黒南風や半旗のなびく白き空
灯台へ長き突堤夏帽子
育児書に残る傍線スィートピー
詩を紡ぐ光の粒子青時雨
指先のパンの弾力今朝の秋
春雷や地球を救うマスターキー
盆帰省星屑拾う夜の浜