麦船橋句会

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まりさん (8md9x4e2)2024/11/4 08:42 (No.121965)削除
670回投句一覧&選句

すっと抜く一本の糸冬隣
冬隣山頂見せぬ岩木山
仄匂う蒼きインクや冬隣
冬近し湿布で治す肩の凝り
釣堀の陽の衰えや冬隣
冬近し目薬をさす鍼灸師
冬隣車いす漕ぐ老作家
嗅ぎ合って離れゆく犬冬隣 
冬隣先行く人の長き影


秋麗や曾孫の話題に笑い顔
さっと洗顔運運動会の花火
蔦紅葉笑顔まぶしき人とゐて
冷まじやふっと教師の顔もどる
小鳥来る笑顔を映す窓ガラス
老農の顔の綻ぶ秋納め
色白の素顔の娘早生みかん
顔相の読めぬ自画像秋深む
木の実落つわたしの顔の埴輪展

神社仏閣
芦ノ湖の水中鳥居雁わたる
いつよりの一村一寺白鳥来
奉納の五色太鼓や天高し
境内に写真屋待てる七五三
雁や奥の院まで二百段
十六夜の扉の奥の渡来仏
紅葉の山門私語を置いて入る
山門に乾く仁王や雁渡し
秋霖や砂利踏む音の奥の院
返信
まきえっとさん (8rypn25h)2024/11/27 21:26削除
第670回選句
○仄匂う蒼きインクや冬隣
まだ昼間は暖かいことも多くインクのしかも蒼いインク。いいですね。
○冷まじやふっと教師の顔もどる
俳句を詠むように教師出身者の方々と話す機会が多くなりました。それまでは全然縁がなかったです。
○いつよりの一村一寺白鳥来
信仰心が伝わってきます。その村を守ってくれているのでしょう。
◎紅葉の山門私語を置いて入る
それまで話していても山門を前にすると当たり前のように静かになります。気持ちを入れ替える一瞬を「私語を置いて」と表現しているとこが上手ですね。
ハナハナさん (8ws7lb4p)2024/11/17 11:45削除
670回投句一覧&選句

〇すっと抜く一本の糸冬隣
句のリズムを感じます、冬物を繕う冬支度でしょうか
〇老農の顔の綻ぶ秋納め
顔の綻ぶで秋の実りの豊かさを感じます
◎紅葉の山門私語を置いて入る
私語を置いて入る、どんな私語を置いて入られたのでしょう上手いですね
〇いつよりの一村一寺白鳥来
一つの村に一つのお寺閑さの中に季語が引き立ちます
ちこりんさん (8mmormpc)2024/11/14 20:43削除
670回 選句
○すっと抜く一本の糸冬隣

この句の眼目は、上五。
一本の糸に関しては、読み手に委ねた形になっています。そこに良さと弱さが同居している感じがします。
縫い取りの糸なのか、解いている糸なのか。少し歯痒さが残ります。静かな雰囲気が季語とマッチしているので頂きました。

○色白の素顔の娘早生みかん

素顔を見ることが無かった近所の娘さんでしょうか。
小さな驚きが伝わってきました。ちょっと酸っぱい蜜柑との取り合わせがいいですね。

◎紅葉の山門私語を置いて入る

静謐な寺の景と今まさに訪れた人物の心の動きが伝わります。私語という言葉の力。
のんさん (9bbrsu9b)2024/11/10 18:00削除
第670回選句

〇すっと抜く一本の糸冬隣
 刺繡とかパッチワークなど手仕事の糸かと思いました。静かな充実した生活が感じられます。
◎顔相の読めぬ自画像秋深む
 無言館が浮かびましたが、自画像の感情は深く難解、良い季語だと思います。
〇山門に乾く仁王や雁渡し
 動けぬ仁王と渡りゆく鳥の対比が良いなと、そして紅葉の頃の空気感を感じます。
〇秋霖や砂利踏む音の奥の院
 寺を訪れても奥の院まで足を延ばす人はまばらなのでしょう。静かに流れる時間と空気があります。
ジュピターさん (8pymq0ud)2024/11/10 16:18削除
670回選句
◎紅葉の山門私語を置いて入る
 山門に入るまでは、あれこれ会話が弾んでいたことだろう。紅葉の寺域に入ってからの静寂が想像される。
〇すっと抜く一本の糸冬隣
 季語との取り合わせの妙。
〇雁や奥の院まで二百段
 険しい山麓に立つ古寺と、空をゆく雁の姿。日本晩秋の景が巧く詠まれている。
メイさん (9bvfby9n)2024/11/9 12:18削除
670回選句

〇すっと抜く一本の糸冬隣
冬隣の心のありようが、一本の糸に具象化されているように思いました。
〇嗅ぎ合って離れゆく犬冬隣
いつもの犬の動作が、冬隣の景色のなかで心に沁みてくる。

〇冷まじやふっと教師の顔もどる
自分の違う顔に、自分で驚く。冷まじの空気感にリアリティを感じます。
〇老農の顔の綻ぶ秋納め
素直に労働の充実感と自信が伝わってきます。

〇いつよりの一村一寺白鳥来
季語と音調の美しさが、淋しさを呼び起こします。
◎紅葉の山門私語を置いて入る
私語を置くという表現は新鮮で、十七音に詰め込みすぎない余裕を感じます。
まりさん (8md9x4e2)2024/11/7 22:24削除
670回選句

○すっと抜く一本の糸冬隣
縫うというより、躾糸を抜くのかしらと思いましたが。季語との相性がいいと思います。

○釣堀の陽の衰えや冬隣
中七がいいですね。あっという間にあの極暑の夏から冬へ。なんということ。

◎紅葉の山門私語を置いて入る
「私語を置いて」がうまいなあと思います。山門をくぐるときの引き締まった気持ちが伝わってきます。

○山門に乾く仁王や雁渡し
もともと色は無かったのではないかと思われる、晒された色の仁王に会うことがあります。祈っても祈ってもむなしくなる世界を何百年も見てこられたのでしょう。
こがめさん (8atk17xs)2024/11/7 16:45削除
第670回麦っこ選句
○すっと抜く一本の糸冬隣
どんな縫物をしているのかな。きっと洋服の入れ替えの時かなと思いました。
または 「すっと抜く」からもしかして糸くずが残っていたのかな。間違っていたらごめんなさい。

○冷まじやふっと教師の顔もどる
教師だったことがいつまでも身体に沁み込んでいるのかな。どんな時にもどるのかな。

◎老農の顔の綻ぶ秋納め
梨、葡萄農家の老夫婦の店先に「ありがとうございました。」の看板がありました。
一段落した景が浮かんできました。「顔の綻ぶ」から喜びながら一段落してひと休みして次の準備に入ろうとする気構えが浮かんできます。

○紅葉の山門私語を置いて入る
山門に入るまではおしゃべりしていたのに心を引き締めてお詣りする景が浮かんできます。どんなお願いをするのかな。
不来方さん (8b8tdv36)2024/11/5 05:21削除
第670回選句

◯ すっと抜く一本の糸冬隣
何を繕っているのだろうか。秋から冬へと移りゆく季節感が「すっと抜く」の繊細な空気感にうまく表出されている。

◯ 蔦紅葉笑顔まぶしき人とゐて
 見事な蔦紅葉と笑顔が素敵な妙齢の女性との相乗効果で句を明るくしている。艶の消し方が巧い。

◯ 冷まじやふっと教師の顔もどる
 教師の性が季語によって増幅されている。

◎ 顔相の読めぬ自画像秋深む
 モナリザのような無表情でありながら思索的な自画像を想像する。この秋思に共鳴。

◯ 紅葉の山門私語を置いて入る
 「私語を置いて」が眼目。山門に入ったら俗(私語)から聖(沈黙)の世界に移る。そんな見事な紅葉の寺がくっきりと浮かび上がってくる。破調も佳い。
返信9
天馬さん (9c6xdfyi)2024/11/17 13:37 (No.123017)削除
673お題

季語 : 冬の星
文字 : 時
雑詠
返信
まきえっとさん (8rypn25h)2024/11/24 22:04削除
第673回麦っこ

冬の星綻びを縫うぬいぐるみ
小鳥来る数字を持たぬ砂時計
パラフィンの包む静寂片時雨
c
太郎さん (923uhctl)2024/11/24 19:26削除
麦っこ673投句
ビルの谷間の数えるほどの冬の星
時は金はた時は水冬深む
少し躊躇いて三年日記買う
ちこりんさん (8mmormpc)2024/11/24 17:03削除
673回 投句
荒星のちりりちりちり毀つ町

手繰り寄す女時の光返り花

冬凪の日矢突き刺さる島の影
天馬さん (9ch374gj)2024/11/24 16:09削除
673投句

どこからが自立なのかな冬銀河
鋭角の稲の切株村時雨
一斗缶の焚火大工の昼餉時
のんさん (9bbrsu9b)2024/11/24 10:52削除
第673回 投句

終電で降り立つホーム冬の星
午後四時の和光の時計冬日差し
午後の日の柔らか帽子編み上がる
不来方さん (8b8tdv36)2024/11/23 21:53削除
第673回投句

余命いつ果つるかシリウスを探す

目力の強き吽行夕時雨

この世とは思えぬ明けの蓮の骨
こがめさん (8atk17xs)2024/11/23 17:18削除
第673回麦っこ投句
冬銀河分けて最終列車の音

冬耕や休憩時間吸う煙草

砂被る捨て墓の先石蕗の花
ハナハナさん (8ws7lb4p)2024/11/23 14:56削除
第673回 投句

凍て星と姉妹と浸る露天風呂
待つ時の時間の遅さ煮大根
幼な日を語り明かして囲炉裏端
メイさん (9cf7m165)2024/11/23 08:37削除
673回投句

星冴ゆるラジオからリクエスト曲
冬天や時流に乗らず否乗れず
寄せ鍋やお腹をみせて仔猫たち
まりさん (8md9x4e2)2024/11/20 10:15削除
673回投句

天狼のひかり谷川俊太郎逝く
綿虫の不時着やわらかな不安 
回廊を渡る足袋裏冬椿
ジュピターさん (8pymq0ud)2024/11/19 09:21削除
673回投句
凍星や能登は崩れしままにして
ネット時代の虜となりて根深汁
枯葉よとモンタン気取り庭を掃く
返信11
こがめさん (8atk17xs)2024/11/9 21:33 (No.122417)削除
第 672回麦っこ 題

季語  冬耕

文字  根

テーマ 縁起のよいこと
返信
ちこりんさん (8mmormpc)2024/11/18 08:46削除
672回 投句
冬耕の日の匂いたる鋤と鍬

根の育つ荒ぶる大地冬銀河

桃色の開運守り小春風
まりさん (8md9x4e2)2024/11/17 22:12削除
672回投句

鳥は塒へ冬耕の背なひとつ
連山は産土の骨大根抜く
大安吉日寄せ鍋の湯気の中
まきえっとさん (8rypn25h)2024/11/17 14:50削除
第672回投句

冬耕の夕日束ねる藁の紐
泥付きの根菜野菜日の短か
六曜で決める外出木枯し二号
天馬さん (9c6xdfyi)2024/11/17 13:28削除
672投句

冬耕や金婚式をとうに超え
大根を十本貰ってこられても
大安の八幡宮の小春かな
ハナハナさん (8ws7lb4p)2024/11/17 10:38削除
第672  投句

冬耕の畝の整列風渡る
干し大根軒先深い里の家
婚礼の整う話冬日和
こがめさん (8atk17xs)2024/11/16 21:16削除
第672回麦っこ投句
頼もしき跡取り息子冬田打ち

走り根の窪みに溜まる団栗の実

望み叶うと大吉御籤冬うらら
のんさん (9bbrsu9b)2024/11/16 20:39削除
第672回 投句

冬耕の大地と会話ローム層
本日の予定確認根深汁
小吉は明日への希望冬うらら
メイさん (9c59ol4x)2024/11/16 09:37削除
672回投句

山並みといつもの会話冬耕す
知られずにつながる根っこ冬日向
初雪や告白せよと降りしきる
不来方さん (8b8tdv36)2024/11/15 16:39削除
第672回投句

冬田打つ女盛りを山暮し

冬青空葛根湯を信じきる

繊月を掴みそうなる大熊手
太郎さん (911fickt)2024/11/13 13:36削除
麦っこ672投句
冬耕の畝の焦点遠筑波
平方根の集まりとして枯蓮
校長室の書棚小さき熊手挿す
ジュピターさん (8pymq0ud)2024/11/11 17:25削除
672回投句
生国を遠く離れて冬田打つ
根性の昭和を思い寒稽古
歌垣の筑波にかかる冬の虹
返信11
メイさん (9bl8fn24)2024/11/2 09:20 (No.121739)削除
671回 お題

季語 紅葉
文字 会
テーマ 眠り
返信
太郎さん (923uhctl)2024/11/10 14:30削除
麦っこ671投句
子ら囲む展示機関車櫨紅葉
バス降りるマフラーの子ら会釈して
佳き人と車駆る夢虎落笛
まきえっとさん (8rypn25h)2024/11/10 10:46削除
第671回麦っこ投句

靴底の泥を落として紅葉寺
教会の東を向く扉黄落す
山は雪静まりかえる村の午後
天馬さん (9biut10y)2024/11/10 06:34削除
671投句

どうやって掛けた橋梁谷紅葉
座りよき石選びより芋煮会
四肢投げし老犬小春日和かな
ハナハナさん (8wiupmvi)2024/11/9 17:14削除
671回投句

散るままに積もったままに里紅葉
会う度に互いの老いや里小春
母眠る墓標の破れや小春風
ちこりんさん (8mmormpc)2024/11/9 12:56削除
671回 投句

船頭の唄の残響紅葉舟

教会の影無き真昼冬うらら

初冬や巨木に眠りおる闘志
メイさん (9bvfby9n)2024/11/9 12:18削除
671回投句

吊り橋や行くも帰るも紅葉山
恩寵の一会なりけり初氷
眠らない赤子の匂い神の留守
まりさん (8md9x4e2)2024/11/7 22:25削除
671回投句

紅葉から紅葉木漏れ日から紅葉
紅葉かつ散る直会の神酒徳利
雪となる魍魎眠る巨樹の洞
不来方さん (8b8tdv36)2024/11/7 21:38削除
第671回投句

ドクターヘリの爆音響む紅葉谷

駅毎に一会の紅葉只見線

冬はつとめて光源氏になりし夢
こがめさん (8atk17xs)2024/11/7 16:00削除
第671回麦っこ投句
運休で錆びる単線草紅葉

小春日や会うたび褒める黒い髪

秋麗や双子すやすや乳母車
ジュピターさん (8pymq0ud)2024/11/4 18:08削除
671回投句
紅葉山すぐに暮れると鴉啼く
すぐ終わる総代会や今年酒
寝転べば極楽浄土干し蒲団
返信10
まりさん (8md9x4e2)2024/10/28 09:00 (No.120157)削除
669回投句一覧&選句

団栗
団栗のどの頭にも平等に
妹に団栗足してあげて兄
団栗を並べ宿題九九暗唱
団栗を踏む音濁世うがつ音
団栗や女子合唱部走り込み
団栗や団栗眼の餓鬼大将
丸形の団栗回す指体操
団栗のかたまっている古戦場
団栗や宝探しの子等の耳
指を欠く仁王団栗降りしきる
どんぐりころころ少子化という祖国


真っ直ぐに野草と競う吾亦紅
上野晩秋東天紅の昼灯
甘酸っぱく香る紅玉秋の天
今回は見えし摩周湖照紅葉
渓紅葉貨物列車の通過音
秋愁をかき混ぜる匙紅茶濃し
人恋し灯ともし頃の紅芙蓉
旅惜しむ寺の紅葉のはじまれり
雪国の道は紅柄鵙の声
口紅のいらない暮し吾亦紅
頬紅を強く秋思を遠ざける

雑詠
童心のポケットコロコロ櫟木の実
立読みの男の鼻梁秋黴雨
抱き返りしつつ見下ろす峪紅葉
残された時間のかさや障子貼り
出窓から「小犬のワルツ」秋うらら
鳴子峡桜紅葉の遊歩道
秋の昼一人の席の神谷バー
本番に発揮できない運動会
燃やすものみんな燃やして畑仕舞
新蕎麦や店主こだわりの産地
ゆきゆきて刈田曼荼羅日が沈む

ふたばさんはしばらくお休みします。
返信
のんさん (9bbrsu9b)2024/11/4 13:16削除
第669回 選句

〇団栗や女子合唱部走り込み
 合唱部の走り込みがユニーク、きっと強豪校なのでしょう。生き生きと楽しそうです。
〇上野晩秋東天紅の昼灯
 私にとって上野は思い出の多い町、「紅」からの東天紅、目に浮かびます。
〇渓紅葉貨物列車の通過音
 黒のイメージの貨物列車と紅葉、色の対比が鮮やかです。
◎残された時間のかさや障子貼り
 障子を貼り替えると部屋が明るくなります。残された時間を大切に、丁寧な暮らしぶりが偲ばれます。

    668回の選句、後で気が付いたのですが匿名となっていました。申し訳ありませんでした。    のん
太郎さん (923uhctl)2024/11/3 18:46削除
麦っこ669選句
「団栗」
○団栗のかたまっている古戦場
 北総花の丘公園で、林間に足を踏み入れた途端ざくっと音がした。足下を見ると累々と降り積もった団栗であった。掲句は、古戦場でそんな団栗の嵩を見て、かつて数万の名のある武士や雑兵が干戈を交え、累々と骸をさらした幾多の戦役に思いをめぐらしたのであろう。
「紅」
○口紅のいらない暮し吾亦紅
 専業主婦の中には、祝いごとなどのほかはクリーム以外の化粧品を使わないという人もいる。職場で活躍した女性も、リタイアして気楽な家居を重ねているうちに、念入りな化粧をせず、口紅もささない気楽な暮らしに慣れてしまったのだ。
「雑詠」
◎立読みの男の鼻梁秋黴雨
 本屋の書架の間に、先刻からずっと立ち読みをしている男がいる。その男の背格好や体つき、首から上も眼や口元、耳の形なども注意をひかず、鼻筋の通った隆い鼻だけが妙に気になったのだ。立ち読みという行為と日本人離れした隆鼻との取り合わせから、何やら知性的な匂いと、幾ばくかの冷たさと翳りのようなものを感じている。それは、本屋の外に洩れる照明に光って蕭々と降る秋黴雨の音のせいでもあろうか。
ジュピターさん (8pymq0ud)2024/11/3 14:28削除
669回選句
◎残された時間のかさや障子貼り
 数年に一度障子の張替えを行う。これからあと何回この作業を行うことになるのだろう。しみじみとした感慨が窺える。
〇団栗のかたまっている古戦場
 古戦場に固まっている数多の団栗は、戦で散った兵どもの転生か。
〇口紅のいらない暮し吾亦紅
 人生の来し方をしんみりと偲んでいるのか。吾亦紅が効いている。
〇燃やすものみんな燃やして畑仕舞
 深い雪に埋もれた季節を過ごす地域ならではの句。雪解けまで畑に出ることもないのだろう。
ハナハナさん (8ws7lb4p)2024/11/2 18:51削除
669回 選句

◎団栗のかたまっている古戦場
団栗のかたまりが戦いの兵士を思わせ古戦場に合っている
○どんぐりころころ少子化という祖国
少子化痛む心を感じます、どんぐりころころとはゆきませんね
○上野晩秋東天紅の昼灯
上野東天紅の晩秋、東天紅は真昼でも灯が煌々として良く景が見えてきます
○口紅のいらない暮し吾亦紅
マスクの生活が続いた昨今口紅は全く差すことがなくやっとマスクをはずし出かけられるようになりましたが
素顔でいる暮らしが多くなりました、高齢になったせいもありますがやはり化粧をして口紅差す暮らしが良いですね
吾亦紅のように
まきえっとさん (8rypn25h)2024/11/2 13:44削除
第669回選句
◎団栗のかたまっている古戦場
昔も今も関係なく団栗の木は育っている。かつて戦場だった場所。戦も見ていたのかなとふと思いました。
○人恋し灯ともし頃の紅芙蓉
夕暮れもこの季節は人恋しくなりますね。
○燃やすものみんな燃やして畑仕舞
余計なものはいらない。さあ次に進もう。
○ゆきゆきて刈田曼荼羅日が沈む
大きな景ですね。「曼陀羅」を上手に使っていると思います。
メイさん (9bl8fn24)2024/11/2 09:07削除
669回選句

〇妹に団栗足してあげて兄
こんなお兄ちゃんが欲しかった。

〇団栗を並べ宿題九九暗唱
生き生きとした顔と暗唱の大きな声が聞こえてきます。

〇どんぐりころころ少子化という祖国
声を合わせて歌えばどうにかなる問題、ではないけれど。

〇上野晩秋東天紅の昼灯
池の周りに漂う昼灯、上野晩秋の景がなんともいいですね。

〇秋の昼一人の席の神谷バー
秋の昼の、一人の時間の味わいが感じられました。

◎燃やすものみんな燃やして畑仕舞
秋の終り、やるべきことは全て終わった。その充実感がリズミカルに伝わってきます。
天馬さん (9biut10y)2024/10/31 17:10削除
669選句

○団栗のかたまっている古戦場
当地では坂上田村麻呂と蝦夷の戦った胆沢あたりかなと。固まりが兵士と繋がります。
◎どんぐりころころ少子化という祖国
お題で私もどんぐりころころが浮かびましたが、甘い句になり断念。少子化に持ってきたこと勉強になりました。
○渓紅葉貨物列車の通過音
いつも貨物列車は最後まで見てしまいます。縫うように走る姿、私はあまり立ち位置には疑問なしに、景が広く好きだなと思いました。
○残された時間のかさや障子貼り
リフォームして障子はなくなり、大掃除はとても楽になりましたが、どこか淋しくもあります。
まりさん (8md9x4e2)2024/10/30 20:57削除
立ち位置:ちこりんさんありがとう。

渓紅葉貨物列車の通過音

「立ち位置」が曖昧ということは気になっていました。
谿を入れたかったので、イメージとしては谷にいて鉄橋を見上げている形なのですが「創作」に無理がありました。
実際の体験は、平泉で盛岡行きの列車を待っていた時のもの。
客車は一時間に一本しかないのに(二輌編成)、貨物列車は何度も通過するのです。
コンテナはとびとびにしか載せていないので、何らかの理由で「列車を通す」必要があるのかなと思いました。
本当は、貨物列車のあの独特な金属音が懐かしくて「貨物列車の金属音」としたのですが、
わかってもらえないだろうと思って、余計にハンパになりました。
「想像・創作」句は「立ち位置」が曖昧になりやすいので気を付けねば。
ありがとうございます。
こがめさん (8atk17xs)2024/10/30 20:28削除
第669回麦っこ選句
○団栗や団栗眼の餓鬼大将
「餓鬼大将」でも可愛い元気いっぱいの目のくりくりした元気な子ですね。
このまま成長してほしいですね。

◎口紅のいらない暮し吾亦紅
美容室で話題になりました。化粧をしなくなったねと。季語「吾亦紅」から化粧をしなくても肌が「ピン」としているように感じます。

○出窓から「小犬のワルツ」秋うらら
静かな景ですね。

○燃やすものみんな燃やして畑仕舞
みんな燃やせる地域はいいですね。最近は煙を見ることが?です。
小さい時は燃やして薩摩芋を焼いていたこともありました。
ちこりんさん (8mmormpc)2024/10/30 10:57削除
669回 選句

○どんぐりころころ少子化という祖国

祖国という重い言葉が生きています。中七「少子化という」の表現は今ひとつ工夫の余地があるようには思います。

☆渓紅葉貨物列車の通過音

下五の通過音に少し違和感を感じましたが、微妙な違いに気づいての表現でしょうか。作者の立ち位置がわからないので、もう一工夫欲しいですね。

◎残された時間のかさや障子貼り

どこかで見た「ささやかな幸逃さじと障子貼る」という句を思い浮かべました。
障子貼るという一つの節目と静かな時間。余生のかさは嵩とすると、前向きな句になりますね。
まりさん (8md9x4e2)2024/10/30 09:31削除
669回選句

◎団栗のかたまっている古戦場
拾い集めたどんぐりを、持って帰る気が無くなって捨てたのか、古戦場と知って、供物として意思をこめておいたのか。「なぜ」は、それを見たひと(作者)に委ねられ、読者に委ねられてゆく。意識的にそう作ったのか、偶然にそうなったのかもわかりませんが、私には面白い。
素直に描いているのに、どこかに素直だけではない奥行きを感じました。

〇口紅のいらない暮し吾亦紅
トシをとったら身だしなみが大事ヨと吾亦紅に言われそうです。俳句としては、素直すぎて物足りないなとは思いますが、事実のみのシンプルもいい。

〇燃やすものみんな燃やして畑仕舞
先日、旅途中で田んぼの煙を幾筋か見ました。なつかしさにしばらく見とれていました。
私の句群に対して、現俳選考委員長から「さらに言葉を惜しんで作ることを期待したい」との助言があり、ずっしりと心に響きましたが、例えばこの句もそう。「言葉を惜しむ推敲」がほしいとは思います。因果関係にならない・言い過ぎない形に。それは、語順を変えて切れを入れれば解決することもあります。「語順」と「切れ」を推敲することは本当に大事。句会に出してやっと気が付くことが多い私。対面の句会はとてもありがたいです。

先日、ある講座で、
「ネット句会は、仲間内でほめ過ぎる。褒め合うばかりで傷つけない弱さ、横つながりの無い弱さがある。言い合って傷つき、違うものを見てこそ育つ。ナマの世界でやってほしい」という助言がありました。
麦っこも、「頂いたけれど、ここはこう思う」コメントが多くなってもいいと思います。100点で頂いているわけではありませんから。

○ゆきゆきて刈田曼荼羅日が沈む
曼陀羅はあちこちで使われていますが。先日の実家への行きも帰りも、新幹線からの夕暮れの刈田曼荼羅が見事でした。たくさんの雁?鴨?が鉤になり竿になり塒へ(多分)戻っていくところでした。上五には異論があるかもしれませんが、私は好き。何より大きな景がいい。
不来方さん (8b8tdv36)2024/10/28 14:10削除
第669回選句

◯ 団栗を並べ宿題九九暗誦
 取合せが面白い。ただ「宿題」でなくても良いような。

◎団栗や団栗眼の餓鬼大将
 目力が強くて意外と可愛い眼。私の餓鬼大将のイメージとピッタリ。団栗をぶつけ合ったあの頃.....

◯ 口紅のいらない暮し吾亦紅
 この句のモチーフ通り、人は齢経るほどに童心に戻ると云う。

◯ 立読みの男の鼻梁秋黴雨
 簡潔な文体がいい。なぜか古書店でひたすら古文書を読んでいる鼻筋の通った背の高い学者風の男を想像した。

◯燃やすものみんな燃やして畑仕舞
 田舎では今でも田畑の取り入れを終えた晩秋の夕暮時に、籾殻や枯草を焼く煙を見かける。そんな景の中に、この句は「畑仕舞」だから限界集落の深刻な問題が隠れていそうだ。
返信12
太郎さん (911fickt)2024/10/26 10:19 (No.119907)削除
麦っこ670出題
◇冬隣
◇顔
◇神社・仏閣
返信
まきえっとさん (8rypn25h)2024/11/3 22:09削除
第670回投句

すっと抜く一本の糸冬隣
小鳥来る笑顔を映す窓ガラス
十六夜の扉の奥の渡来仏
のんさん (9bbrsu9b)2024/11/3 17:09削除
第670回 投句

冬隣山頂見せぬ岩木山
さっと洗顔運運動会の花火
紅葉の山門私語を置いて入る
ちこりんさん (8mmormpc)2024/11/3 13:17削除
670回 投句
仄匂う蒼きインクや冬隣
顔相の読めぬ自画像秋深む
山門に乾く仁王や雁渡し
ハナハナさん (8ws7lb4p)2024/11/2 17:51削除
麦っこ670投句
冬近し湿布で治す肩の凝り
色白の素顔の娘早生みかん
秋霖や砂利踏む音の奥の院
こがめさん (8atk17xs)2024/11/2 14:59削除
第670回麦っこ投句
釣堀の陽の衰えや冬隣

秋麗や曾孫の話題に笑い顔

境内に写真屋待てる七五三
不来方さん (8b8tdv36)2024/11/2 10:10削除
第670回投句

冬近し目薬をさす鍼灸師

老農の顔の綻ぶ秋納め

雁や奥の院まで二百段
メイさん (9bl8fn24)2024/11/2 09:08削除
670回投句

冬隣車いす漕ぐ老作家
木の実落つわたしの顔の埴輪展
芦ノ湖の水中鳥居雁わたる
まりさん (8md9x4e2)2024/10/30 09:50削除
670回投句

嗅ぎ合って離れゆく犬冬隣 
冷まじやふっと教師の顔もどる
いつよりの一村一寺白鳥来
ジュピターさん (8pymq0ud)2024/10/29 10:10削除
670回投句
冬隣先行く人の長き影
蔦紅葉笑顔まぶしき人とゐて
奉納の五色太鼓や天高し
返信9
まりさん (8md9x4e2)2024/10/20 19:05 (No.119310)削除
668回投句一覧&選句

案山子
案山子立つ世に三人のそっくりさん
威厳ある案山子昭和の生き残り
起立の案山子減速の選挙カー
野晒しの案山子雲に乗りたがる
休む田へ残る案山子や一番星
案山子翁乾いてもまた濡れそぼり
眠たげな山や案山子の貌畳む
ヘルメットの大谷案山子太き眉
矍鑠と案山子翁立つ休耕田
市の無線防災放送聞く案山子


四阿の屋根を彩る草紅葉
浅草の夜や小上がりの今年酒
なだらかな丘は天まで草紅葉
草の秀の揺るるにまかせ赤とんぼ
木洩れ日に居眠る羅漢時鳥草
藁草履吊るす土産屋木の実落つ
草の実やひとり遊びの秘密基地
岩肌を薄紅色に草紅葉
蛇笏忌やスンと息吐く銀の草
草雲雀袴田さんに選挙権

連想・赤
片耳の林檎の兎「ぐりとぐら」
ロープウェイゆっくり登る紅葉山
血の騒ぐ通りすがりの村祭
茱萸万朶路地に残りし子らの声
木漏れ日や秋蝶くぐる朱の鳥居
唐辛子地獄の業火にも似たり
まほろばを火の海にして曼殊沙華
柿紅葉脚立に寄せる竹箒
うから住む寒村烏瓜熟るる
秋闌けて還暦祝いのスニーカー

二名様欠席です。
返信
まきえっとさん (8rypn25h)2024/11/2 13:31削除
第668回選句
◎眠たげな山や案山子の貌畳む
そろそろ初雪の頃でしょうか?静かな時間を感じます。
○木洩れ日に居眠る羅漢時鳥草
羅漢も居眠りをするのですね。それほど長閑ということでしょうか?
○木漏れ日や秋蝶くぐる朱の鳥居
取り合せがいいですね。
太郎さん (8aq3zcoi)2024/11/1 12:06削除
麦っこ668選句
「案山子」
◎矍鑠と案山子翁立つ休耕田
 背筋をぴんと伸ばして田を見渡す案山子は、形(なり)は翁だがまだ現役の威厳のある立ち姿である。が、見渡している田は、数日前まで熟れた稲穂の匂いを放っていた穭田ではなく、生い茂った蒲が盛んに穂絮を飛ばしている休耕田なのだ。してみるとこの案山子は、数年前からここに立ち尽くしている退役案山子なのだ。一見元気なその姿からは、そこはかとない哀感が漂っている。
「草」
○藁草履吊るす土産屋木の実落つ
「赤」
○片耳の林檎の兎「ぐりとぐら」
ちこりんさん (8mmormpc)2024/10/30 10:18削除
選句を別な所に入れてしまいました。すみません。
ハナハナさん (8ws7lb4p)2024/10/29 12:06削除
668回 選句
〇眠たげな山や案山子の貌畳む
案山子は役目も終わりどんよりと山は眠たげに今年の収穫も終わりました
〇市の無線防災放送聞く案山子
防災無線を案山子が聴いている防災無線なので感じるものがあります
〇片耳の林檎の兎「ぐりとぐら」
作者が逝去されたニュースを見ました追悼句でしょうか林檎の兎の片耳が「ぐりとぐら」らしい
◎うから住む寒村烏瓜熟る
そろそろ烏瓜も赤く熟し寒さが来る頃親族の住む里を思っているのでしょうか感動の句です
匿名さん (9bbrsu9b)2024/10/27 20:24削除
第668回 選句

〇案山子立つ世に三人のそっくりさん
 自分に似た人が三人はいるとか、案山子という季語との取合せに俳諧味があります。

〇浅草の夜や小上がりの今年酒
 句会の後か旧友との夜でしょうか。お酒の美味しそうな句です。

〇草雲雀袴田さんに選挙権
 袴田さんは期日前投票をされたとか、時が経っても心に残る出来事です。

◎まほろばを火の海にして曼殊沙華
 普段は穏やかな場所を一変させている曼殊沙華「火の海」という強い表現が群生の様を余すところなく伝えています。
 
〇うから住む寒村烏瓜熟るる
 木々が葉を落とすと姿を現す烏瓜、寒くもなる頃、肉親を思いやる心を感じます。
ジュピターさん (8pymq0ud)2024/10/27 11:26削除
668回選句
◎野晒しの案山子雲に乗りたがる
 案山子を詠むときは、どうしても擬人化しがち。雲に乗りたがるのは素直な気持ちだろう。
〇草の実やひとり遊びの秘密基地
 秘密基地の中で、様々な思いをめぐらした幼い頃が懐かしい。
〇片耳の林檎の兎「ぐりとぐら」
 ぐりとぐら作者への追悼句。
メイさん (9bb7n55f)2024/10/26 08:48削除
668回選句
〇案山子立つ世に三人のそっくりさん
歌うようなリズムとそっくりさんの不思議な世界がマッチしています。

〇休む田へ残る案山子や一番星
一番星が、残された案山子を見守っているよう。

〇木洩れ日に居眠る羅漢時鳥草
木洩れ日の中に共に居たくなるような、癒される景。

〇茱萸万朶路地に残りし子らの声 
「茱萸万朶」の五音でこれだけの情景を表現できるのに、感嘆しました。 

◎まほろばを火の海にして曼殊沙華
「まほろば」が火の海という曼殊沙華のイメージは、今の世界の悲惨さを連想させます。テーマをみごとに表現していると思いました。

〇うから住む寒村烏瓜熟るる
作者は都会に住んで、寒村のうからを想っている。烏瓜熟るるにその想いが凝縮しているかのよう。
こがめさん (8atk17xs)2024/10/24 11:12削除
第668回麦っこ選句
○野晒しの案山子雲に乗りたがる
案山子の気持ちを思っての表現「雲に乗りたがる」がいいなと思います。優しさを感じます。

○市の無線防災放送聞く案山子
市の無線が聞こえる場所の案山子。田畑のある場所が浮かんできます。

○なだらかな丘は天まで草紅葉
◎まほろばを火の海にして曼殊沙華
自然の雄大さを「上五中七」の表現がとても参考になりました。

○草の実やひとり遊びの秘密基地
秘密基地でどんな遊びをしているのかな。草の実をいっぱい集めて何かを作っているのかな。
まりさん (8md9x4e2)2024/10/23 22:16削除
668回選句

〇案山子立つ世に三人のそっくりさん
自分のそっくりさんはこの世に3人いるそうな。よく言われていることですが、意思の無い案山子との距離感が面白いと思いました。

◎野晒しの案山子雲に乗りたがる
意図的な中6?落ち着きませんが、立ってばかりの案山子の気持ちになったら、雲にのって遠くへ行きたいよねとは思います。
「野晒し」がそう思わせたのかもしれません。私の好きな歌に「さびしいカシの木」があります。
山の上の一本の樫の木が遠くへ行きたくて、風に頼んだり雲に頼んだりしているのですが叶わず。
今ではすっかり老いて・寂しいことにも慣れてしまって・ぽつんと立っている。ホームの父とダブってレッスン中に泣いたっけ。

〇市の無線防災放送聞く案山子
どんなにいかつい顔をしても、雀は全く無視して稲の食べ放題。迷い人を探す放送などを聞きながら無聊の案山子。
同じ案山子の句でも、取り合わせによっては一緒に寂しくなったり、それは仕方ないジャン!とつっぱねたり。
俳句はモノに語らせて雄弁ということでしょう。

〇なだらかな丘は天まで草紅葉
大きな景・明るい景にはどうしても惹かれます。私もそういう景を詠んでいきたい。

○草雲雀袴田さんに選挙権
時事俳句は俳句作品としては廃れが早いので評価されないことが多いのですが、麦っこのように毎週句会の場では、
あってもいいんじゃないかなというのが私。草雲雀の音との取り合わせが優しく美しい。
不来方さん (8b8tdv36)2024/10/20 22:16削除
第668回選句

◯ 案山子立つ世に三人のそっくりさん
 案山子は人が作ったもの。誰かに似せたのは間違いなし。「三人」に納得。

◯ 市の無線防災放送聞く案山子
 地方都市の郊外の田園地帯はこんな感じかと。リアルな句。

◯ 草の秀の揺るるにまかせ赤とんぼ
 「草の秀」「揺るる」「赤とんぼ」の流れが佳い。作者の目線をそのまま追体験出来た。

◎ まほろばを火の海にして曼殊沙華
 大和路の曼珠沙華が眼に浮かぶようだ。

◯ うから住む寒村烏瓜熟るる
 赤くなるまで目立たない烏瓜の実は「寒村」に相応しい。街中の烏瓜はよく見かけるが何となく違和感あり。

すいません。またまた旅先からの選句。迷いながら取り敢えず。
返信10
まりさん (8md9x4e2)2024/10/13 20:10 (No.118634)削除
667回投句一覧&選句

螳螂
微動だにせぬ蟷螂の産卵期
蟷螂の石と化すらむ草の海
欄干で何に威嚇やいぼむしり
奪われたサドル蟷螂居座って
葉に隠る緑美し子蟷螂
蟷螂の光る眼玉や雨曇り
茅葺の小さき山門枯蟷螂
鎌切は宇宙の子かな鎌磨く
蟷螂の横顔さみし子規に似て
螳螂の威嚇の反り身光堂
雄を食らひ虚空を拝むいぼむしり
なんとなく気が急く朝の枯蟷螂


予報士の声も爽やか三連休
晩秋の真夜の海鳴り死の予感
予め聞いてはいたと酌む新酒
体調に予定は未定秋の旅
秋晴れて予約席より水平線
柿熟るる伊予の段畑遠汽笛
雁の棹沖より晴れて来る予感
小鳥来る予約必須の窓の席
秋刀魚焼く予定表にはなき客と
手馴れないネットの予約秋の宿
色鳥や鹿島の森の神の予知
鹿鳴くや暗号めいた予定表


手の甲の青き血脈十三夜
魂を放ちて軽ろき捨案山子
秋風や八尾の朝の石畳
青信号肩の擦れ合い秋気澄む
渇水の現れる村暮の秋
稲の花「第九」練習始まれり
秋思ふと下り列車の通り過ぐ
解体か震災遺構か小鳥来る
走り根の階の果て海冷ゆる
十月は母と姉の忌空を恋う
伐採の大樹秋空深くする
子ら走る拍手止まない運動会
返信
まきえっとさん (8rypn25h)2024/11/2 13:20削除
第667回選評

◎蟷螂の石と化すらむ草の海
石と化すから一生懸命に生きていたことを感じます。草の海にそっと最後をささげる潔さも感じます。
○秋晴れて予約席より水平線
水平線が見えてよかったですね。きっといい一日なんでしょう。
○雁の棹沖より晴れて来る予感
季語がいいですね。大きな景で好きです。
○伐採の大樹秋空深くする
秋空を大きくではなくて「深く」としたところがいいですね。
天馬さん (9b4l0skk)2024/10/21 17:27削除
667選句

○茅葺の小さき山門枯蟷螂
茅葺きと枯れ色の蟷螂の置き方に惹かれました。
○晩秋の真夜の海鳴り死の予感
眠れないと年齢と共に悲観的になります。
○秋晴れて予約席より水平線
行ってみたい!です。
○柿熟るる伊予の段畑遠汽笛
熟れた柿の色と集落の様子が目に浮かびます。
◎魂を放ちて軽ろき捨案山子
次の年のために納屋に置かれる案山子もあれば、役目を終えて解体してしまう案山子もあります。掲句は後者。
のんさん (8b8xe2bx)2024/10/20 22:29削除
第667回 選句

〇蟷螂の石と化すらむ草の海
 枯れ草に同化し、死を待つカマキリ、自然の厳しさ優しさを感じます。
〇晩秋の真夜の海鳴り死の予感
 真夜中の海鳴り、黄泉の国からの音にも聞こえるのでしょうか。下五の転換に惹かれます。
〇雁の棹沖より晴れて来る予感
 この句は明るい予感。爽やかで大きな景です。
◎魂を放ちて軽ろき捨案山子
 大切な役目を果たし終えた案山子の、魂の重さを捉えた処に感心しました。
〇十月は母と姉の忌空を恋う
 死者の魂はいつも高い所から見守ってくれているように感じます。「空を恋う」に共感しました。
ふたばさん (8augfkle)2024/10/20 20:27削除
第667回選句

◎蟷螂の石と化すらむ草の海
 蟷螂も枯れ色になり、草の海もやがて枯れて一体化していく。蟷螂の石としての存在感。想像が膨らみます。

○茅葺の小さき山門枯蟷螂
 わが村にもこんな風景があったことを思いだしました。郷愁が感じられます。

〇晩秋の真夜の海鳴り死の予感
 ふっと死を感じる一瞬。中七に説得力があり納得の一句です。

○雁の棹沖より晴れて来る予感
 「雁の棹」が巧みです。どんよりとした空が次第に明るんで…。雁渡る空と海。映像が浮かんできます。

○魂を放ちて軽ろき捨案山子
 魂を放つのは難しい。それ故、この句に魅力を感じます。
ハナハナさん (8ws7lb4p)2024/10/20 15:40削除
667回投句選句
〇茅葺の小さき山門枯蟷螂
茅葺の山門に枯蟷螂が命の終わりを告げているかのよう静寂を感じます
〇体調に予定は未定秋の旅
体調の変化は予定なくきますね実際に旅の予約もキャンセルした経験があります共感しました
◎魂を放ちて軽ろき捨案山子案山子
役目を果たした案山子なんとなく渇ききって積み重なれている、案山子さんご苦労様。「魂を放ちて軽ろき」に◎
〇伐採の大樹秋空深くする
大樹が伐採されて空高く秋を思わせる広さを深くするは素敵
ジュピターさん (8pymq0ud)2024/10/20 11:50削除
667回選句
◎蟷螂の石と化すらむ草の海
 草原の中にあって、石と化していく蟷螂とは、様々な姿が想像され奥が深い。
〇蟷螂の横顔さみし子規に似て
 蟷螂の貌は怖くて気味悪いがが、横顔は淋しく晩年のやせ細った子規に似ていると捉えた感性に拍手。
〇晩秋の真夜の海鳴り死の予感
 下五につながる十二音、共感の一句。
〇雁の棹沖より晴れて来る予感
 晩秋の清澄な景色がうまく詠まれています。
〇伐採の大樹秋空深くする
 秋空を深くすると詠んだところが、この句の肝だと思います。
太郎さん (8aq3zcoi)2024/10/20 11:34削除
麦っこ667選句
「螳螂」
◎茅葺の小さき山門枯蟷螂
 茅葺の山門は、京都の法然院がよく知られている。千葉県にもいくつ
か立派な茅葺の山門があるが、掲句は、「小さき山門」という。
 冬に入り蟷螂が枯れてじっと立ち尽くす姿に似つかわしい小寺の茅葺
き屋根であろう。
「予」
○柿熟るる伊予の段畑遠汽笛
「柿熟るる」景は、全国至る所にあるが、掲句のように詠まれてみると、
伊予地方が最も似合うような気がしてくる。遠汽笛は、今では限られた
地域でしか聞けなくなったが、上五・中七に相応しいBGMである。
○雁の棹沖より晴れて来る予感
 他の国のことは知らないが、日本の気象現象は、多様に、微妙に変化
するもののようである。掲句の「…予感」は、その辺のところをうまく
言い表している。「雁の棹」ととの曇りの空との上下の位置関係が少し気
になるのではあるが。
「雑」
○稲の花「第九」練習始まれり
 「稲の花」と「第九」の練習との取り合わせは魅力的である。「始ま
れり」は言わぬほうがよさそうだ。代わりに場所でも言ったらどうかと
思う。
○伐採の大樹秋空深くする
 森の中の大樹を伐り倒したら、ぽっかりと開いた空間に青空が…。
「秋空深くする」が的確な表現である。
メイさん (9b18fqgg)2024/10/19 09:13削除
667回選句

〇茅葺の小さき山門枯蟷螂
ふと目を留めたのでしょうか、枯蟷螂を置きたくなる景色ですね。

〇予め聞いてはいたと酌む新酒
どんな話なのか、話す人と聞く人の間を新酒がつなぐ。

◎雁の棹沖より晴れて来る予感
「雁の棹」と「予感」までのリズムとの絶妙なバランスが美しい。

〇魂を放ちて軽ろき捨案山子
「放ちて軽ろき」に役割を終えた案山子への感謝が、伝わってきます。

〇秋思ふと下り列車の通り過ぐ
「秋思ふと」の音の響きと、中七下五の列車の音の響き合いが心に残ります。

〇解体か震災遺構か小鳥来る
どちらの主張にも思いが籠っているので、難しい。小鳥来るの季語の力を思いました。

〇十月は母と姉の忌空を恋う
「空を恋う」に胸をうたれました。
まりさん (8md9x4e2)2024/10/18 10:03削除
667回選句

〇微動だにせぬ蟷螂の産卵期
作り方が説明調なのが残念ですが。産卵期に重点をおくのではなく、産卵を待つ蟷螂に重点がくるような語順にして臨場感を出せないでしょうか。

◎蟷螂の石と化すらむ草の海
うまいなあ~!

〇蟷螂の横顔さみし子規に似て
なるほど!そう見えなくもなし。目高の水槽に頻繁に水を飲みに来る蜂を狙ってか、蟷螂が一日水槽の縁から離れない日がありました。

〇晩秋の真夜の海鳴り死の予感
私にも無いことはない…下五。夜の海鳴りとの取り合わせに重量感があります。

〇魂を放ちて軽ろき捨案山子
偶然に、私も解かれる案山子と宙へ放たれる魂で句を作っていました。同じようなことを感じていたということですね、

〇伐採の大樹秋空深くする
空を広くするのではなく深くする、いいなあ。
こがめさん (8atk17xs)2024/10/17 13:52削除
第667回麦っこ選句
○雄を食らひ虚空を拝むいぼむしり
生きるためといえ、残酷かな。とメスが思っているような雄と雌の関わり方の気持ちを推し量っているいるように感じます。

◎晩秋の真夜の海鳴り死の予感
一読した時どきっとしました。海鳴りを聴きながら生と死のことを考えているのかなと。

○秋思ふと下り列車の通り過ぐ
小さい頃は上り下りの列車に合わせて生活していました。上りの列車の運転手はよく手を振ってくれました。今は運休しているので寂しいと義姉は言っていました。
きっと作者は列車に愛着を感じているのだろう。

○伐採の大樹秋空深くする
秋空の広がりを感じます。伐採されると寂しさを感じますが自然の変化を感じます。他の木も自然の恵みを受けて大きくなるだろうな。
ちこりんさん (8mmormpc)2024/10/17 12:19削除
667回 選句
○蟷螂の横顔さみし子規に似て

蟷螂の横顔にさみしさを感じた感性に惹かれました。
子規への斡旋にも意外性が。叙情を感じます。

○柿熟るる伊予の段畑遠汽笛

句全体から、豊かな伊予の秋が目に浮かびます。静かに、豊かに。


◎魂を放ちて軽き捨案山子

案山子に作者自身を投影しているのでしょう。人間とは何と厄介な存在でしょうか。
不来方さん (8b8tdv36)2024/10/14 16:06削除
第667回選句

◯ 茅葺の小さき山門枯蟷螂
 蟷螂を読む背景として、寂れた歴史ある寺の山門は独特の風情がある。

◎雄を食らひ虚空を拝むいぼむしり
 「虚空を拝む」に雌の蟷螂の性と人間の眼差しが交錯して味わい深い。

◯ 晩秋の真夜の海鳴り死の予感
 この晩秋は人生の晩秋でもあり、海鳴りは故郷の記憶の海鳴りと重なっているような気がする。海鳴りを介した生と死の感慨句として読んだ。

◯ 雁の棹沖より晴れて来る予感
 「雁の竿」の斡旋が巧い。

◯ 手の甲の青き血脈十三夜
 年輪を経た血脈、血筋としてと血脈。十三夜が醸し出す重層的な感慨が佳い。

旅先からの選句なので、見逃したく佳句も多そう。言葉も舌足らずかも。
返信12
ちこりんさん (8mmormpc)2024/10/30 10:14 (No.121166)削除
668回 選句
◎眠たげな山や案山子の貌畳む

眠たげや貌の斡旋からも分かるとおり、対象や景を自身に引き込んで詠んでいます。余り擬人化の句は選ばないのですが、作者の投影としての深さを感じる句です。

○浅草の夜や小上がりの今年酒

秋の夜の気分が伝わります。現在はインドアで賑わう浅草ですが、浅草のノスタルジーが効いています。

○まほろばを火の海にして曼珠沙華

まほろばは楽園。火の海にしては単なる比喩ではなく、地球の惨禍を感じての描写でしょう。
語順を替えた方がより比喩的ではなくなりそうですがどうでしょう。

○うから住む寒村烏瓜熟るる

うからは血縁者のことなのですね。初めて目にしました。やや説明的と思いますが、静かな山間の景が浮かびます。
返信
返信0
ハナハナさん (8wiupmvi)2024/10/20 10:21 (No.119283)削除
第669回 出題

季語 団栗
文字 紅
雑詠 自由
返信
まきえっとさん (8rypn25h)2024/10/27 16:44削除
第669回 投句

団栗のどの頭にも平等に
秋愁をかき混ぜる匙紅茶濃し
本番に発揮できない運動会
天馬さん (9b4l0skk)2024/10/27 16:33削除
669投句

妹に団栗足してあげて兄
甘酸っぱく香る紅玉秋の天
燃やすものみんな燃やして畑仕舞
匿名さん (9bbrsu9b)2024/10/26 18:11削除
第669回 投句

団栗を並べ宿題九九暗唱
頬紅を強く秋思を遠ざける
新蕎麦や店主こだわりの産地
ちこりんさん (92qvc6dm)2024/10/26 08:48削除
669回 投句

団栗を踏む音濁世うがつ音
雪国の道は紅柄鵙の声
ゆきゆきて刈田曼荼羅日が沈む
メイさん (9bb7n55f)2024/10/26 08:47削除
669回投句

団栗や女子合唱部走り込み
口紅のいらない暮し吾亦紅
残された時間のかさや障子貼り
太郎さん (8aq3zcoi)2024/10/25 17:05削除
麦っこ669投句
団栗や団栗眼の餓鬼大将
上野晩秋東天紅の昼灯
出窓から「小犬のワルツ」秋うらら
こがめさん (8atk17xs)2024/10/25 14:39削除
第669回麦っこ投句
丸形の団栗回す指体操

真っ直ぐに野草と競う吾亦紅

鳴子峡桜紅葉の遊歩道
不来方さん (8b8tdv36)2024/10/25 05:53削除
第669回投句

団栗のかたまっている古戦場

人恋し灯ともし頃の紅芙蓉

秋の昼一人の席の神谷バー
ハナハナさん (8wiupmvi)2024/10/24 19:04削除
669回 投句

団栗や宝探しの子等の耳
旅惜しむ寺の紅葉のはじまれり
童心のポケットコロコロ櫟木の実
まりさん (8md9x4e2)2024/10/23 22:17削除
669回投句

指を欠く仁王団栗降りしきる
渓紅葉貨物列車の通過音
立読みの男の鼻梁秋黴雨
ジュピターさん (8pymq0ud)2024/10/21 21:11削除
669回投句
どんぐりころころ少子化という祖国
今回は見えし摩周湖照紅葉
抱き返りしつつ見下ろす峪紅葉
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